第14話 2021年5月22日(土) 周囲の認識
今回の週末も実家に戻った。
5月に入ってからほぼ毎週末戻ってきているが、この時期はこれまでから、私が畑で春野菜の収穫や夏野菜の準備をするためにほぼ毎週戻ってきているから、今回実家に着いた時も母も特に普段通りだった。
ただ、今年は例年とは状況が違う。
今後のことを考えると、母の状況については私だけではなく、母の周囲の人間にもなるべく知っておいて欲しいと私は考えていた。
状況を共有できているほうが私のやることも理解してもらいやすいだろうし、何かあった場合でも協力を求めやすい。
だが、やはり母のプライバシーにも関わることなので、あまり勝手に他人を巻き込むようなことはできない。
実はこんなことを週の初めくらいから悩んでいたのだが、結局、母本人に確認するしかないので昼食の前に思い切って聞いてみた。
「お母さんが間質性肺炎であること周りはどのくらい知ってる? 妹くらいは知ってると思ってるんだけど」
「あの子たちにはもちろん同じように言ってあるし、親戚も知ってる。職場でも園長や仲のいい人たちにも伝えているよ」
自分が悶々と悩んでいたことは、拍子抜けするくらいあっさりと答えられてしまった。
ちなみに親戚は、母の兄や姉であり、その家族は実家の数㎞圏内で生活している。
もちろん知ってる人の中には、前の私のようにしっかりと病気について調べていない人もいるのかもしれない。
しかし、母の姉の子、つまり私の従姉には政令指定都市の大病院で勤務している看護師もいるのだが、話をしたところ病気が指定難病であることも理解していろいろアドバイスをくれたそうだ。
私よりよほど役に立っていて恥ずかしくなる。
ともあれ、これでいろいろ私が動きやすくなるのは事実だ。
一人の力でできることは知れているが、周囲の人間を巻き込めるのであれば、できることも大幅に増えてくる。
ただし、これは私のエゴで始めるものであることは、常に自覚しておかなければならないだろう。
母本人からはそんなことをしてくれと頼まれたわけでもない。
むしろ他人に負担をかけるようなことであれば、やらないでくれと言われる可能性まである。
だから、物事の進めるにあたっては、母が周囲に無理をさせていることを感じさせないように根回しや理由付けをしっかりと行うことが重要になってくるだろう。
そんな思いもあり、私はこれからのことで最も重要な取り組みについて、一番最初に母に伝えることにした。
この日の夕食のとき、私はこの夏から本気で婚活を始めるつもりでいることを母に伝えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます