第4話 2021年5月12日 やるべきこと

残された時間どうすればいいのか

母の日の夜から、その問は自分の頭の中をぐるぐると回り続けている。


そのせいもあってか、あれから寝つきが浅く、食欲もあまり沸かない。


人はいつ死ぬか分からない。

だから後悔しないように生きよう。


こんな感じの主張は、小説や映画、アニメやゲーム、漫画で何度も目にしてた人も少ないないだろう。自分もその一人だ。

作品を鑑賞している時は、特に意識することもなく、常識的な当たり前のことを言ってるだけに感じていた。


しかし、自分は視点が欠けていた。

この年齢になるまで、この「死」の対象は、自分だけではなく、自分にとって大切な人も含んでいることを意識していなかった。


自分の大切な人がいつ死ぬか分からない状況で、自分が後悔しないようにするためにはどうすればいいのかは、自分が死ぬときに後悔しないようにするよりも余程難しい。


もし大切な人が亡くなった時、自分が後悔することは何なのか考えると分かる。

大きく分けると二つ。


一つは大切な人の期待に応えられていなかったとき。


もう一つは、大切な人が喜ぶことをしてあげる機会がたくさんあったのに、してあげられていなかったとき。


難しいのは、どちらの満足の基準も、自分ではなく、相手が決めるのものという点だ。

つまり、その基準を満たすまで妥協や諦めはできないということだ。

自分で勝手にハードルを下げることはできないのだ。

もしも下げてしまったら、恐らくその日が来た時にきっと人生最大の後悔を味わうことになり、自分を許せなくなってしまうだろう。

そして、そんなことは当然、自分の大切な人は望んでいないだろう。


だから、やるしかないのだ。


では具体的に何をやる必要があるのか?


今度は、まずそれを考えてから行動する必要がある。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る