第3話 2021年5月11日(火) 難病

多くが原因不明。

肺が蜂の巣状になる。

治療が困難。

指定難病。

急性憎悪。


インターネットで検索し、記事を読み進めるが、ネガティブな言葉ばかりが目に入ってくる。


みぞおちから胃のあたりがとても重く感じた。

ベッドに入っていたが、とても眠れる心境ではなくなった。


特に心に重くのしかかるのは急性憎悪の存在だった。

これは簡単に言うと、風邪やインフルエンザなどがきっかけとなり、年間10%程の確率で文字通り死ぬほど症状が悪化する現象だ。


RPG等のゲームで例えるとすれば、ステータス異常等のデバフ状態になると、一定確率で落命する回復不能のスキルと言えるだろうか。

ゲームで敵キャラがこんなスキルを使ってきたら私なら即リセットだ。


けれども問題が起こっているのはゲームではなく現実だ。

今更やり直しはできない。


加えてこの病気は呼吸器系の基礎疾患にあたるため、この一年で世界中で猛威を振りまいている新型コロナウイルス感染症とは極めて相性が悪い病気であることも大きな問題だ。

新型コロナで重症化する場合は、肺炎がセットだ。

どう考えてもこの病気の人間が新型コロナにかかるのはまずいことになるだろう。


私や母の住む地域は都市圏ではないため、ニュースで見るような周囲に何百人も感染者がいる状況ではない。

しかし、この地域でも感染者は出ているし、小規模ながらクラスターの事例も存在していた。


この一年、母本人も周囲も意識していなかったかもしれないが、実はかなり命がけの生活だったのかもしれない。


そして、このリスクはこの先もずっと続くのだ。


そんなことを考えていると、私はある事を強烈に意識するようになってしまった。


それは、残されている時間だ。

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