2話 唯一の味方
俺の名前は、ルディ・エグル・アーサー。
Sランク冒険者で、『ドラゴンの牙』の一員……だった。
実は、さっきそのパーティーを追放されたところだ。
そして現在。
俺は、『ドラゴンの牙』の奴らが
山の中にポツンとある、落ち着ける拠点だ。
この拠点では、黙っていると
「落ち着くな~」
その時。
小さな幸せを感じていた俺に、誰かが拠点の外から話しかけてきた。
「アニキー!!! アニキー!!! おーいアニキー!!」
誰かが俺を、アニキと呼でいる。
(きっとこの声は……思い出した!
あの声は、モリスだ。
確か、
そうそう!
ヤンキーみたいな奴だ!)
俺が思いだしているうちに、モリスが近づいてくる音が聞こえる。
タッタッタッタッタッタッ。 バタンッ。
ドアが開く音がした。
そして姿を現したのは、やっぱりモリスだった。
「アニキ!!! ……って。なんだ、いるじゃないすか! 返事くらいしてほしいっす」
「ん? あー。 悪い悪い! お前のこと思い出してて」
「ま、まあそれならいいんすけど。それより大変っすよ!!」
モリスは、かなり落ち着かない様子だった。
そんなモリスの
だが、とりあえず話を聞くことにした。
「何かあったの?」
「何かあったのじゃないっすよ!! アニキが犯罪者として、指名手配されてるっす!」
「はぁぁぁぁぁあ!? なんでだよ!!」
なんてこった。
全く意味が分からない。
俺が、
「俺が、一体何したんだっていうんだよ!!」
「連続殺人をアニキがしたらしいっす! アニキは人を殺せるほど強くないんですけどね……」
はぁぁぁ????
俺そんなことやってないんだけど!!
なんで俺が連続殺人をしたことになってんだよ!?
「全然
「もちろんっす! それはっすね! ドラゴンの牙のメンバー達っす! 国王様に、直接
おいおい。
まじかよ……。
しかも犯人は、ドラゴンの牙のメンバーかよ!!
アイツら、何してくれてんだよ。
「本当に、アイツらの
「マジっす!! だからアニキやばいっすよ!! 兵隊がアニキを捕まえにここまで……」
ザッザッザッザッザッザッザッザッ。
「ああああ! ホラ!! 来ちまったっすよ!? ア、アニキ!!!!!」
どうやら、俺らが話している間に兵隊が来てしまったようだ。
そして、一人で
「アハハハハハハ。よし! 全体止まれ!! この建物の中に例の犯罪者。ルディ・エグル・アーサーがいる。気を引き締めて
「「「「「「「はっ!!!」」」」」」」
指揮官が合図をしたとたん、俺の拠点ごと一瞬にして兵に囲まれた。
もう少し早ければ逃げられたかもしれない。
だが、今からだと逃げようがなかった。
自分たちが兵に囲まれたのを見たモリスが、更に
ヤンキーみたいな見た目なのに、涙目になっていて、足もガクガク
どうやらかなりビビっているようだ。
「や、やばいっすよ! ア、アニキ。ど、ど、ど、ど、どうします??」
モリスが、かなり
それに俺が答える。
「うーん……。とりあえず話してみようかな。俺、人殺してないし」
「ア、アニキ?? 話し合いするつもりっすか?? 無茶っすよ!!」
「え? なんで??」
「アニキは弱いんすよ? 弱い人の言葉なんて聞いてもらえないっすよ!」
モリスは怖かったのか、外に出ようとする俺を必死に説得してきた。
だが、俺は兵隊の奴らと話し合うことをやめる気はない。
「あーそっか。でも、このままでもきっと捕まるだけだし、行ってくるよ。モリスはココにいていいよ」
「え……?」
「アイツら、俺
「そ、そうっすけど……いや! ア、アニキがいなくなるのなんて、自分絶対
「いーよ。危険な目に
「ア、アニキ! 本当に行くんすか!!!」
俺は、話しかけてくるモリスを置いて外に出た。
だが、
「お、おい……モリス、苦しいからあまり引っ張らないでくれないかな?」
あんなに俺を引き
「だ、だって、怖いんすよ……」
「だから、出て来なくていいって」
「いや、1人よりはアニキがいるほうが100倍いいっす。こ、怖いっすけど」
「お前な……。まあいっか」
俺は、頑張って必死にしがみついてるモリスが可笑しく、嬉しかった。
そして、ようやく外に出た俺たち。
その目の前には、1000を超える数の兵隊たちと
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