第24話 作ろうぜ、最強の美少女④

 放課後、俺と鹿島と篠木は今朝ランニングした公園に集まっていた。茉莉は今日バイトなので来ていない。


「そういえば、目標体重を決めていなかったな」


 何気なく発言した俺に、鹿島がぎょっとする。


「え、もしかして体重を発表させる気?」


「…………それはマズいな」


 俺としたことが、女子に体重を訊いてしまうとは……。大失態だ。


「大丈夫ですよ。滝藤さんは協力してくれてるわけですから」


「そういうわけにはいかない」


 俺はプロのトレーナーではない。練習方法だって、ネットで調べたものをそのまま試しているだけなのだ。


「鹿島に言えばいいよ。それも嫌だったら自分で決めればいいよ」


「じゃあ、鹿嶋さんと一緒に決めます」

 

 ということで、小説を書いて待つこと10分。


「一応……決まったよ」


 篠木と、少々困惑気味の鹿島が俺の方にやってくる。


「これが理想の体型だって」


 どれどれ、と鹿島が見せてきたスマホのディスプレイを見る。露出度が高い衣装を着た女性アイドルの画像があった。


「これは……なかなかの目標だな」


 うっすらと割れた腹筋に、細く綺麗な脚。これは、アイドルの中でも相当絞っている方だ。


 ダイエットで辿たどり着くスタイルというか、日々努力してやっと保たれるスタイルだ。


「なんかね、和子の推しのジョニーズアイドルが、このめっっっちゃスリムなアイドルと付き合っているらしくてね。この子ほど絞れば、推しに認められたも同然って言ってて」


 なかなかにぶっ飛んだ発想だな。篠木ってこんな思考回路していたのか。


 ジョニーズとは、イケメンアイドルグループの大手事務所だ。


「お、おこがましいですよね。私のようなデ……デブがこんな」


「いや、目標は高い方がいい。問題は目標が高すぎて、辿たどり着く前に挫折ざせつしたり妥協だきょうしたりしやすいってところだが、覚悟はあるんだよな?」


「はいっ!」


 篠木はやる気に満ちあふれた表情で大きく頷いた。ここは篠木を信じよう。


「あ、そうだ」


 俺は、ポケットからスマホを出す。


「せっかくだから記録に残しておこうぜ」


「あー、100日後に〇〇的な?」


「そうだ」


「アリだねそれ! 見比べることで成長も感じられるし」


 鹿島は好意的だった。


「それに、辛い時に見返して勇気を貰えるようになるしな。篠木はどう思う?」


「さ、賛成です。努力した証が残るって思うと、頑張れそうです」


「よし、じゃあ、決まりだな! 気合い入れていこうぜ!」


 その後、食事・運動内容を決めた。


 食事は基本的に炭水化物をカット。


 朝はランニング、放課後はその時に応じて筋トレやダンスなど様々な練習を行うことにした。


 篠木は文句言うことなく、全てやると決めた。


 この日を境に朝昼晩、天候関係なく、篠木はダイエットにがむしゃらに取り組んだ。


 ――――ダイエット2日目の早朝。


「2日目にして、雨なんか降らなくていいのに」


 鹿島が絶望した表情で立ち尽くしている。


 地面をえぐるような雨が、横風の影響を受けながらざーざー降っていた。


「すみません、私、雨女なんです。意気込んだ日はいつも雨が降って……」


「俺は晴れ男なんだが、俺の日本晴れパワーが負けるとはな。相当な雨女だぞ」


「でも、絶対に雨が降ってほしい時に限って、晴れなんですよね」


「人生なんてそんなもんだ。さ、やっていこうぜ」


「は、はい」


 すでにジャージの上にカッパを着た篠木は、俺に言われた通りウォーミングアップを行ったランニングを始めた。


 制服姿の俺は、走っている篠木を応援しつつ、スマホで録画する。


「滝藤も走りなよ。カメラ代わってあげるから」


「無茶言うな。筋肉痛が酷くて走れない。公園に行くだけでも大変だったんだぞ」


「でも和子は走ってるよ。ヒィヒィ言いながら、時折太ももを揉んだらしながら」


「篠木はな。俺にダイエットは必要ない。つか、今日はお前が走れ」


「イ・ヤ」


 子どもっぽい言い方で拒否してきた。


「努力はしない主義なの」


「そんなんでよくウチの学校入れたな」


 俺達が通っている高校は、横浜市内でもトップ5に入る進学校だ。努力しなければ入ることは難しい。俺は茉莉の丁寧かつ熱心な指導と、菜月さんの愛ある体罰でギリギリ合格した。


「要領良いんでね」


 ドヤ顔かましていてウザかったので、篠木に目を向けた。


 篠木はひざに手をついて、息を切らしている。


「止まるなぁー! 走れー!」

「和子がんばれー!」


 篠木はまだ膝に手をついたまま、こちらに反応せず地面を見つめ続けている。そんな弱りきった篠木へ、雨風が容赦ようしゃなく襲ってくる。自然に慈悲なんてものは無いと、改めて理解した。


 あいつ、自分に負けてやがる。


 仕方ない。秘密道具を出してやるか。


「滝藤、なにかばんを漁ってるの? エナジードリンクとか?」


「それよりももっと強力なものだ」


 バッグから取り出した秘密道具を鹿島に見せる。


「じゃーん、これだ」


「じゃーんって、え……」


 鹿島の顔が引きっていた。


「デコレーションうちわだよ」


 秘密道具とは、ジョニオタ御用達ごようたしの、推しのうちわだった。


 推しの写真の周りにはハートやら『ダイスキ』やら、愛を伝えるイラストやメッセージが散りばめられている。


「しかも、後ろは―――」


「げっ……」


 推しの写真の後ろにはそれぞれ、『走って!』『痩せて!』『諦めないで』『勇気をありがとう!』とコメントがでかでかと書かれている。


 制作時間2時間、費用0円の特製うちわを篠木に向けた。


「ほら、お前の好きなエンペラー&プリンス平川翔だぞ!」


「滝藤って、意外と暇なの?」


「わりとね。これだったら篠木も勇気振り絞れんだろ。ほら、お前の分も作ったから、一緒に応援するぞ」


 うちわを2枚を、困り顔の鹿島に押し付ける。


「ガラじゃないんだけど」


 文句をれつつも、鹿島はしっかりとうちわを握った。


「頑張れ、篠木! 平川翔が見てるぞー!」

「雨に負けるな和子! せたら翔くんと付き合えるぞー!」


 篠木はのっそりと上体を起こし、再び走り出した。


 完走後、俺達の持つデコレーションうちわへ駆け寄ってくる。


「やったよ、私。翔く――――っ!?!?」


 篠木は絶句していた。


 無理もない。


 なぜなら、うちわにある推しの顔が雨風によってぐしゃぐしゃになっていたからだ。


 ハートのデコレーションとか、両目を隠すような位置にずれてしまって犯罪者のようになっていた。


「しよ………翔くん……わたし…………」


 ヘナヘナと地面に崩れ落ちる篠木。


「ちょ、ちょっと和子、地面に座ったら汚れちゃうよ!」


 鹿島が支えようとするも、重すぎて支えられず、篠木はペシャンと地面に尻をつけた。そのまま、しくしく泣く。


 悪天候も相俟あいまって、ちょっと見ていられない。


「まぁその、なんだ……。一生懸命作ったから、あげるよこれ。つか、いらないし」


「私もあげる」


 うちわ4枚を胸に抱き、篠木は咆哮ほうこうした。


「翔ぉぉぉぉぉぉぉくぅぅぅぅぅぅんんんんん!!!」



 ――――ダイエット3日目の昼。


「きょ、今日は頑張ってみました」


 篠木が弁当箱を開けて、俺と鹿島と茉莉に見せる。


「お、ついに、手作り弁当デビューか!」


 俺はスマホを用意して、弁当を映す。


「今日は、篠木が初めて手作り弁当を作ってきましたー」


 俺がナレーターっぽく言うと、


「なにやってるの?」


 茉莉が怪訝けげんな目で俺を見てくる。


 これはね、と鹿島が経緯を説明すると、茉莉は理解した。


「初めての料理は、スクランブルエッグと、ひき肉とブロッコリーのミックスと、玄米のリゾットでーす」


「へぇー美味しそう」


 俺のナレーターに、鹿島がコメンテーターのように感情豊かに言った。


「あれ? これ……」


 茉莉がボソッと何か言ったと思ったら、篠木が暗いトーンで、


「えと………卵焼きに、ハンバーグとブロッコリーと玄米です」


「あっ…………」


 4人全員が目をせ、どーんと空気が重くなる。


「……ごめん」


「私も……ごめん」


 俺の心からの謝罪に、鹿島も続いた。茉莉はあきれていた。


「いえ、大丈夫……です」


 全然大丈夫じゃない。表情がとても暗い。暗すぎて、暗黒面に片足突っ込んでるんじゃないかと思うくらい。


「えっとー………撮り直すか」


「そ、そうだね。滝藤、ナイスアイディア! 仕切り直そう!」


 俺と鹿島がこのどんよりした空気を払おうとするが、


「いえ、大丈夫です。それもよりも、食べてみます」


 篠木は弁当に目を向けたまま、はしを持つ。


「あ、そうだな!」


「絶対美味い!」


 やけくそだった。


 篠木が「いただきます」と丁寧に挨拶し、スクラン―――じゃなかった、卵焼きを一口を食べた。


 モグモグモグ、ゴックン。


 箸を置き、篠木が前を向いて俺達を見る。


 首を横にゆっくり振った。


「…………………………」


 俺と鹿島と茉莉は顔を合わし、篠木の作った卵焼きに箸を伸ばす。


 3人同時に食べた。そして、3人同時に箸を置いて篠木を見る。


 誰かが何か言わなくちゃいけない。


 だから、俺が言おう。


「頑張った……………頑張った」


 篠木はそっと微笑んだ。そこには哀しみとか切なさとか、色んなもんが詰まっていた。


 —――ダイエット4日目の朝。


「おはよーございます」


「お、おはようごうざいます……」


 4日目となると、お互いめちゃくちゃ疲弊ひへいしていた。


 鹿島は寝坊こそしないものの、コックリコックリと船を漕いでいた。


 篠木はもう、気絶しそうになっていた。よくここまで辿り着いたものだ。


「4日目だが、どうだ、調子は?」


「辛いです。ベッドでゆっくり眠りたいです」


 本当に辛そうだった。エナジーをチャージしないと倒れるかもしれない。


「今日は1人、一緒にトレーニングしてくれている方が来ている」


「え? きゃーッ!」


 篠木は悲鳴を上げて鹿島の後ろに隠れる。いや、歓声かんせいか。


 なぜなら、校内きってのイケメン吉田昴流が現れたからだ。


 推しアイドルの平川翔と同じ正統派イケメンの彼が来たら、一緒に頑張れるだろう。


「ここまで喜ばれると思ってなかったよ」


 吉田が苦笑しながらも、篠木の方へ向く。


「はじめまして。吉田昴流です」


「は、はい、え、えっと篠木、かっ、和子です」


 めちゃくちゃ照れながら、篠木は言った。完全に乙女の顔になっている。あんな篠木、見たことない。


「え、あの、どうして、きっ、来てくださってんですか?」


「鹿島と滝藤から朝走ってるって聞いてさ。俺も体育祭で長距離出るし、丁度走りたかったから来た。一緒に走った方がやる気出るしね。それはそうと、何分走ってるの?」


「いつも大体40分くらいです」


「40分!? 凄いね!」


「いえ、そんな……」


 プシューッと湯気が噴き出しそうなくらい顔が赤くさせて、身体を縮こまらせる篠木。


「じゃあ、さっそく始めようか」


「は、はい!」


 吉田と篠木はウォーミングアップする。それをぼんやりと眺めていると、


「滝藤と鹿島も走れよ。障害物競争出るんだし、体力つけて損はないぞ」


「え、2人も障害物競争、でっ、出るんですか?」


「も、ということは、篠木も出るのか?」


 篠木は沈んだ表情で弱々しく頷いた。


「なんか、押し付けられちゃって……それで……」


「俺と同じじゃねぇか」


「え、同じなんですか?」


「ああ、ジャンケンに勝ったんだけどな。クラスがそれを許さなかった」


 俺の発言で、吉田は思い出したように笑った。


「そうですか」


「私は誰もいなかったから、立候補したんだけどね」


「立候補っ!? だって、競技の内容聞きましたよね!?」


 篠木が目を見開いて驚愕きょうがくした。無理もない。雰囲気からして、汚れ役を引き受けるようなタイプには見えないもんな。


「まぁ、面白そうだから? 今までめんどくさいことには首を突っ込まなかったんだけど、なんかね」


 鹿島が真っ白い歯を見せて微笑んだ


「――――――っ」


 その綺麗で活発な笑みに、俺は不覚にもぐっと吸い込まれていた。隣にいる篠木も、吸い込まれていた。


「ま、体育祭は明日なんだし、無理のない範囲で走ろうぜ?」


「ちっ、わかったよ」


 舌打ちしつつも、俺は了承りょうしょうしてしまった。


 鹿島の笑顔と吉田の爽やかな笑顔、そして篠木のこれまでの頑張りを見て、走らないという選択肢は取りづらかったからだ。


「はぁ……努力はしない主義なんだけど、走らなきゃいけないよね、この空気。汗かきたくなかたんだけどなぁ」


「たしか体育館にシャワーがあったと思うから、そこで流せばいいよ」


「滝藤、変態」


「なんでだよっ!?」


「覗くつもりでしょ? 言っとくけど、想像するのもダメだからね」


「誰がお前のようなまな板を想像するんだ。ふざけんな!」


「滝藤……言ってはいけないことを……」


「ま、まぁまぁ2人とも」


「喧嘩は学校でな。さぉ、走るぞ」


 篠木がなだめ、吉田が着替えるよう急かした。


 この日だけ、4人で公園を走った。ちなみに順位は吉田、鹿島、俺、篠木だった。


 鹿島のやつ、意外と速かった。


 ――――ダイエット4日目の放課後。


 今回は公園ではなく、1年4組に集まった。


「明日体育祭じゃない? 体育祭くらいはおしゃれしないとね」


 こう仰るのは何と、皐月立花さつきりっかだ。「滝藤ばかり人を集めてちゃ、私の立つがないからね」という謎の理論を展開した鹿島が呼んだのだ。


 鹿島の理論は理解出来なかったが、鹿島の行動は完璧であった。


 これを機に皐月とお近づきになるぞ。


「皐月って――――」


「立花って、化粧めちゃくちゃ上手いんだよ。私もいつも教えてもらってるし、なんなら同じもの使ってるよね」

 

「うん。和子にも教えてあげるね」


「あっ、ありがとうございます」


 女子達で盛り上がっていた。篠木なんか、俺に先んじて名前呼びされてるし。


 いや、焦るな。チャンスはまだある。攻めろ。


「そーいや、化粧―――」


「和子は化粧、あまりしないの?」


 今度は皐月が俺の質問をかき消した。


「は、はい、したことないです」


「えーなんで?」


「わ、私みたいなデっ、デブが、そんな化粧だなんて……」


「それは違うよ、和子」


 皐月は優しく、でも真剣なトーンで続ける。


「化粧は、女の子をプリンセスに変えるマジックみたいなものなの。どんな人でもやっていいんだよ」


「皐月さん……」


「だから、和子もやっていいんだ」


 皐月の温かい言葉に続いて、


「文句言ってきたら私が守ってあげるから、安心して言って」


 鹿島が勇気ある言葉をかけた。


「じゃ、じゃあ、お願いします」


「うん、任せて!」


 皐月がかちゃかちゃと化粧ポーチから道具を出して、机の上に並べる。


「化粧の種類ってこんなにあるんだなー」


「まぁね。あ、滝藤はあっちむいててくれない?」


「えっ、なんでっ!?」


 皐月の思わぬ発言に、思わず声が裏返る。


「驚かせたいから。それに、種がわかったらマジックって面白くないでしょ? それと同じ」


「えぇー……」


 そんなふうになったら話しかけられないじゃないか。


「ごめんね、滝藤。お願い?」


 皐月は両手を口の前で合わせて、可愛くおねだりするように首を傾げた。


「うっ………わ、わかったよ。後ろ向いている」


 俺はくるっと後ろを向いた。


 あのお願いポーズは反則だろー。波対手の男なら何でも聞いちゃう可愛さだよ。


 仕方が無いので、女子達の会話を聞きながら”ヒロイン争奪戦”の続きを書くことにした。


 それにしても皐月って、良い人なんだな。


 今日、本当は鹿島と遊びに行く予定だったんだが、鹿島からの話を聞いて協力したいとのことだった。


 顔も良くて性格もいいって、これもう無敵じゃん。


 逆に、皐月の恋愛事情が気になったぞ。いったい、どんな人間なら彼女と付き合えるんだろうか。というか、彼氏がいたことあるかどうかめちゃくちゃ気になってきた。


「もう、こっち向いていいよ」


 鹿島の声で俺が振り返ると、そこには見知らぬ太った美女がいた。


 え、美女?


「滝藤のやつ、驚いてる」


「どう、私のマジックは? すごいでしょ」


 皐月が自慢気に言ってくるが、これは本当に凄い。SNSで変身動画を出しても良いくらい、篠木の顔が綺麗になっている。


「ど、どんなふうになってるんでしょうか……?」


「いやもう、見違えるくらい可愛くなってるよ」


 というか、別人と思うくらい変わっている。


 でも、こんなふうに綺麗になるっていうのは、篠木の目や鼻立ちという、顔のパーツが良いからというのもあるはずだ。


 これを機に自信につながればいい。


「ほら、和子も見てみなよ」


 皐月が自分の手鏡を和子に向ける。


「え、これ、本当に私ですか……!?」


「そうだよ」


「すごい……」


 篠木は言葉を失っていた。そりゃあそうだろう。


「こんなに変われるんですね」


 篠木の問いに、皐月が自信満々の笑みを浮かべてしっかり頷いた。


「可愛いは、本当に作れるんだから」


「皐月が化粧しているところ撮っといたから、あとで送っておくね」


「は、はい! ありがとうございました」


「「どういたしまして」」


 2人が意図せずハモり、3人で笑い合った。俺は愛想笑いしたが、乗り遅れて場違いな空気になった。


 あれ、もしかして俺、邪魔者?


「あ、あの、お願いがあるんですけど……図々しいと思うんですけど……もしよかったら……なんですけど……」


 モジモジする篠木だったが、意を決して言う。


「このあと、もしお時間があればっ、いいいい一緒に化粧品、買いに行ってくれませんか?」


 思いがけない大声に皐月と鹿島は一瞬驚くも、すぐに満面の笑みで返事した。


「もちろん!」


 こうして、俺達の”作ろうぜ、最強の美少女”計画は順調に進んでいった。


 周りを気にせず思いつくままに突っ走っていったが、上手くいっていたと思う。


 篠木も、敬語こそ抜けないものの、人と会話することに慣れていった。


 4日目には、鹿島や皐月を買い物に誘った。こちらが指示したわけでもないのに。


 篠木はどんどん成長している。このままだと、最強の美少女になる日も近いだろう。


 このまま荒波一つなく成功すると、俺も鹿島も確信していた。


 が来るまでは。

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