第3話 ―魔女の方が道具―
私は
その日も
そうして
意識のない、しょうもない裏町の姫を、大事そうに抱えて歩く影のような姿を。
ああ、ここに居たのか。
まだ生きていたのか。
どんな風に、その
今日まで繋いできたのか。
ああそれを、
おまえは、
愛しているのか。
路地の煙になって消えるその日まで。
建物から出てきた男は、ずぶ濡れのお姫様を見て驚き、そして、姫を助けたのはその男ということになった。
雨の中に消えた子のことは、誰も知らない。
それを見届けて私は、酷く久し振りに石川のもとへ足を運んだ。
私が預けた
私はそして、命の終わりということを考える。
私が
私が殺すわけではない。求められた魔法に自ずと限界があるのだ。それでも構わないからと乞われて魔女は魔法を使う。
魔法というものが何をするのかを最後まで見る責任があると、私は初めて思ったのだろう。使い手として。
これほど長く魔女として生きてきて今更にも程があるけれど、つまり、魔女は主体ではないということだ。
魔法と、魔法が
どうしてなんだろう。
魔法を望む人間のことなんか、これまでは全然気にしていなかったのに。
魔法と引き換えに命を獲れる、私が喰べる命が
どうして今回だけ、こんな風に。
自分が生まれて殺された日の雨を思い出すからなのだろうか?
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