第4話 発動! 魔力感知!
スライムを十匹くらい狩ったところで。
――ぴんぽんぱんぽん~
なんだなんだ、迷子センターのアナウンスか。
――てれれってってってー
その音はマズい気がする!?
というかミケだろ、なんなんだ一体。
――レベルアップのお知らせです田中さん。
レベルアップ! そういうシステムもあるのか!
うん、好みの異世界だ。出来れば戦うんじゃなくて富豪の家にでも生まれて楽々と生きるのが夢っちゃ夢だったが、まあよし。
こうして戦っていると嗜虐心が満たされていくのが分かるのだ。
して、レベルアップすると何が起きる。
――各ステータスがD+に上がりました。
……。
――……。
えっ、それだけ。
――次に。
あ、まだあった。
――スキル『魔力感知』を習得しました。これで魔物の位置や強さを推し測る事が出来ます。
おお! それはいい! このだだっ広い森の中を無駄に歩き回るのは疲れてきていたところだ。
――とはいえ初期スキル。対して役には……。
それでもいいさ、さてどう使うんだ?
――使い方は「
じゃあ、さっそく。
「
するとどうだ、自分の感覚が広がっていくではないか、増幅された感覚器は森中の命を把握する。
残り五匹。
魔力探知に引っかかったのはそれだけだった。
五匹が森の最奥に集まっている。
一か所にとどまっているならやりやすい。
俺は森の最奥に向かった。
そこは泉だった。
そこに居たのは四匹のスライムと。
大きな鹿。
人面。
三つの蹄。
あれは――。
「いやマズいっしょ……」
フォルムが有名アニメ映画の神様そっくりだった。
ソイツと目が合う。するとどうだ。
俺の目の前にスライムが湧いた。
スライム五匹目。
こいつがスライムを、いやモンスターを生み出していたのだ!
「
スライムを吹き飛ばす。
俺はその神様から距離を……。
どうする。
取るか。
詰めるか。
選択の時だ。
――詰めて下さい、多勢に無勢は危険です。
ミケ、ありがとう。助言に従い、一気に距離を詰める。
スライム四匹を「
「あっは、神様だけになっちゃったね!」
俺は軽やかに笑う、
イラスト化とかしたいに違いないぜ。
いやこういう時は絵画というべきか。
戦斧を構える幼女、いや戦斧を携える聖女というのはどうだろう。うむ、完璧だ。
対峙する神様は一歩踏み出す。
すると樹が生える。
勢いよく生えた樹木が顎をかすめる。
戦斧を振るって樹を切り倒す、そのまま神様の首を狙う。
しかし。
通り抜けた。
魔力感知ではさほど大きな魔力は感じなかった。
違和感、こいつの正体は。
またもスライムを生み出す神様もどき。
「
一芸特化は趣味じゃない。早くレベルを上げてスキルを覚えねば。そのためにもこいつを倒す。
スライムを倒した余波が神様もどきに届く。
すると奴は体を震わせ、その姿を溶かした。
「……それが正体だね! だっさーい!」
さしずめ、マザースライム。
それがこいつの正体。こいつで最後。
俺は考える、こいつを倒す方法を。
「仕方ないけど一択だね!」
倒れるまで
というわけで俺は
「はぁはぁ……おわりだよっ♪」
ドロドロになった緑色の巨大スライムに最後の赤い衝撃波を叩きこむ。
飛び散り蒸発する。
「……あっは! ざぁこ♡」
居た場所を踏みにじってやった。
ぷるぷると身を震わせる、勝利の余韻。
ふとここが泉の近くだと気づく。喉が渇いた。
幸い、泉の水は綺麗だ。
俺あそっと掬いごくりと飲んだ。
「うーん、おいしい♪」
勝利の美酒という奴だろうか。
ともあれ、これでモンスターの殲滅は完了した。
俺は村に帰る事にするのだった。
まさかあんなものが待っているとも知らずに。
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