3
「黒猫……猫ヶ原凛の事や」
やっぱりこの二人は凛の
だけど、凛は私がこの女学校に入学して初めての友達なんだ。そう簡単に引き下がる事は出来ない。引き下がったら凛も悲しむ。
そんな事を考えている私の方へ紫陽花が近づき、私の肩に手を掛けようとしてきた。
……その瞬間
私は彼女の手首を掴み相手の懐へと入り込むと同時に投げた。
一本背負い。
これ以上なく綺麗に決まった。床に叩きつけられ目を回している紫陽花。私はぎろりと夕顔を睨む。先手必勝。
「……えぇっ!!」
突然、妹が投げられ驚きを隠せない夕顔に私は警戒を解かず、一歩近づいた。
「なんしとんの!?私らは黒猫の事を少し……」
慌ててそう言う夕顔は、それでも警戒を解かない私を見ていたが、すっとその表情が変わった。
「そか……ならやるか」
今までの雰囲気と変わった。トイレの洗面所に張り詰めた空気が流れていく。
隙がない。
まさかお嬢様達が集まるこの女学校に、こんな気を発する女の子がいるなんて。
私の額に一筋の汗が流れ落ちていく。
「油断しとったとはいえ、紫陽花を倒した腕はほんもんやろからな」
夕顔はぼそりとそう言うと、とんっと軽く地面を蹴った。
思った以上の速さだった。あっという間に間合いを詰められた私は寸での所を半身で躱すと、逆に無防備となっている夕顔のがら空きのボディーへ天を突く膝蹴りをお見舞いしようとした時だ。
にやりと笑う夕顔。それを常人とは思えない身のこなしで躱すと私は夕顔に背後を取られた。
「取ったでぇ」
ぞくりとしたものが背中を伝い流れ落ちていくと同時に、夕顔の手が私の首筋に触れる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます