2
「……わ、私ですか?」
恐る恐る振り返りそう尋ねると、ショートカットの女の子はずいっと体を近づけて来た。
「お前以外に誰がおるんやっ」
大きな声である。トイレの洗面所と言う狭い空間で出すような声の大きさでは無い。
「……あの、あなたは?」
「うちか?うちはなぁ……」
私が名前を尋ねると、何故かその女の子は腰に手を当て胸を張りふんぞり返りながら、自分の名前を言おうとした。
その時である。
ふんぞり返っていた女の子の頭が大きな音と共に、勢いよく前のめりになった。女の子の後頭部を誰かが叩いたのだ。
「ふへっふへっふへっ……悪いなぁ、華小路さん」
頭を叩かれ、後頭部を押さえている女の子の後ろから出てきた人影を見て私はさらに驚いた。
出てきた人影は肩くらいまで伸びた髪を二つ結びでまとめた女の子。その顔は気の強そうな眉毛に大きな目。そしすっとした鼻筋は凛に負けず劣らずの美少女である。
さらに驚いた事がもう一つ。
ショートカットの女の子と二つ結びの女の子の顔が同じなのである。
瓜二つ。
まさにその言葉の通り、違うのは髪型だけ。
私がまじまじと二人を見ていると、二つ結びの女の子がぽりぽりと頭を掻きながら私へと話し掛けてきた。
「ふへっ、ごめんな、私ら一卵性で同じ顔やからびっくりしたやろ?私は
えぇっ!!
双子っ!!
しかも、こんな美少女なのに……
「そんでな……華小路さん。あんたにな話しがあったんよ?」
私の胸中など知らんとばかりにに、犬丸夕顔が何か言いたそうにしている紫陽花の口を押さえこみながら言った。
「……なんですか?」
ちらりとトイレの出口を見る。しかし、そこには犬丸紫陽花が仁王立ちになり扉を塞いでいる。私は小学一年生の頃から空手と柔道をしてきた。だから、他の女の子よりも多少は腕に自信がある。好戦的な性格ではないけど、身を守る為には仕方がない。覚悟を決めた私はすっと左足を半歩前に出し、いつでも反撃できる体勢となった。
「あのな、話しって言うのは……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます