第3話 兄と英語

 兄の高広が心を閉ざしてしまったのは、自分が国立大学に合格した時からだと、隆二は理解していた。安易に電子辞書を使う奴は結局は英語ができるようにならないと説諭していた兄は、結局のところ英語の成績に足を引っ張られて四流私大に行った。そんなことを理由に兄のことを軽んずることはないのだと、隆二は何度も思ったのだが、こういう気持ちを上手に伝えるやり方がわからず、以来40年間兄は依然として心を閉ざしてしまっている。

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