第2話 母の質問
「『勝つぅとぉ思うなぁ思えば負けよぉ』の次は何だっけかね?」と母の幸代に尋ねられたのだが、もとよりそんな古い歌を知らない秋穂は「知らない」と言うべきか、無視するべきか少し躊躇した。何故か幸代は時々こういうことを尋ねてくるのだった。娘がきっと知るはずもないことをさらりと尋ねてくるという母のやり方が、何かに関する高等技術であることを秋穂は知ることになるのだが、そのことを身にしみてわかるようになったのは、もっと後のことだった。
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