柳十兵衛 室生の山賊を討つ 2
道中、勘九郎と春豪を加えた十兵衛一行はいよいよ山賊たちの塒を襲撃した。
彼らは囮を使って敵の背後を突くことに成功。そして上手いこと鬼蜘蛛丸を引き出すこともできた。
十兵衛と鬼蜘蛛丸は一年以上の時を経て、廃寺境内にて向き合った。
「まさかまた会うことができるとはな、柳十兵衛!三ケ日での恨み、今こそ果たさせてもらう!」
鬼人がごとき表情で叫ぶ鬼蜘蛛丸。その鬼気迫る様子から三ケ日以降のこの十数か月、彼がどのような悲惨な目にあってきたのかがうかがい知れる。
そんな憎しみの籠った罵声を浴びせられた十兵衛が何を思っていたかというと、実はこの時十兵衛は鬼蜘蛛丸が素直に表に出てきたことに安堵していた。
(ふぅ。どうにか引きずり出すことができたか)
実を言えば十兵衛たちは襲撃の最初の一手で鬼蜘蛛丸を討つつもりだった。しかし彼が寝転がっていたところから移動したことでこっそりと近付く手は不可能となり、仕方なく手前の賊から切り崩していく強硬策に変更した。その後鬼蜘蛛丸が本堂に逃げ込んだ時はどうしようかと内心焦ったが、十兵衛が挑発することによりどうにか彼を引きずり出すことに成功したというわけだ。
(あとは俺がこいつを討てばいいだけだ)
十兵衛は手で合図を送り、そばに控えていた友蔵と藤五郎を遠ざけた。これは仲間を鬼蜘蛛丸の攻撃から守るためであったが、相手はこれを一騎打ちの誘いだと解釈した。
「ほほう。俺の相手など一人で十分ということか。つくづく舐めやがって……!」
十兵衛はすぐに相手の勘違いに気付いたが、一対一を望んだことは確かなためそのまま挑発することにした。
「ふん。敗走した分際でよく吠える。仲間がいないと何もできないのはお前の方だろう?」
「ほざけっ!餓鬼がぁっ!」
挑発に乗った鬼蜘蛛丸は一足に飛び込み、気迫の乗った突きを繰り出した。だがこれはあながち悪手でもない。刀の十兵衛に対し鬼蜘蛛丸の得物は八尺を越える素槍。間合いは有利な上に、待っていてもどうせジリ貧になるだけなのだ。ならば半端なことはせずに攻めに集中するというのは悪い選択肢ではない。鬼蜘蛛丸もそれを自覚しているのか怒涛の攻勢を見せる。
「はあああああっ!」
踏み込み過ぎず、離れ過ぎず、槍の間合いを生かすように攻め立てる鬼蜘蛛丸。その圧が想定以上だったため十兵衛はしばらく守勢に専念するしかなかった。
「オラオラオラァッ!さっきまでの威勢はどうしたぁ!?口先だけかぁ!?」
「……」
一合二合三合と打ち合う二人。深山の廃寺境内に鋭い金属音が響く。
戦局は一見すると鬼蜘蛛丸が一方的に攻めているように見える。しかし十兵衛の方にも紙一重でかわし続ける余裕があった。そうして攻防を続けることもう数合、やがて二人の間に明確な優劣ができ始める。
「はぁっ……、くそっ!このっ!ちょこまかとっ!」
「……」
息を切らしながら槍を振るう鬼蜘蛛丸に対し、紙一重でかわし続ける十兵衛の息は全く上がっていない。ここにきて日ごろの鍛錬の差が如実に表れてしまった。
(勢いが落ちて来たな。そろそろか……)
もはや鬼蜘蛛丸の攻撃はただ槍を前に出しているだけだった。そんな魂の入っていない攻撃は何の脅威でもない。
十兵衛は相手の攻撃に合わせて大きく踏み込み、伸びてきた槍の穂先を狙う。
「はぁっ!」
ガキィン
「なっ!?」
低い体勢から繰り出された十兵衛の神速の逆袈裟切り。それは鬼蜘蛛丸が伸ばした槍の穂先をすっぱりと切り落とした。
ガキィン
十兵衛はうまく相手の猛攻をかいくぐり、鬼蜘蛛丸の槍の穂先を切り落とした。落ちた穂先は石畳に当たり、カランと透き通った音を響かせた。
刀使いが間合いの長い槍を相手にしたとき、その伸ばされた穂先を切り落とすのは基本的な対抗手段の一つである。特に鬼蜘蛛丸が使っていた槍は袋槍と呼ばれるもので、穂先と柄の境目がわかりやすい槍だった。
とはいえ言うは易くて行うは難し。やろうと思ってそう簡単にできるようなものではない。それが出来たのはひとえに十兵衛の腕と、そして切れ味抜群の得物があってこそのことだった。
(行けるとは思ったが、まさか本当に切り落としてしまうとはな。なんという切れ味だ……)
十兵衛はちらと手中の刀を見る。宗矩より送られたよく切れる妖刀。それは硬い木材を切ったにもかかわらず刃こぼれ一つなく、乱れた刃紋は変わりなく妖艶な雰囲気を醸し出していた。
(相変わらず怖いくらいの振り心地だ。油断すると呑まれてしまいそうになるが……まぁこれで決着は見えたんだ。焦ることはないだろう)
十兵衛は冷静に落ちた穂先を回収し、背後の茂みに適当に投げた。これで鬼蜘蛛丸の間合いは半減。体力も考慮すれば決着がつくのは時間の問題だろう。
しかし十兵衛はそれが甘い考えだったとすぐに思い知らされることとなる。
「鬼蜘蛛丸様!俺の槍を使ってください!」
「なにっ!?」
叫んだのは本堂にて成り行きを見守っていた鬼蜘蛛丸の山賊仲間。彼は鬼蜘蛛丸の槍が切り落とされるや自身の槍を鬼蜘蛛丸に放り投げたのだ。
「させるかっ!」
十兵衛は慌ててとどめを刺そうとしたが、そこに鬼蜘蛛丸が持っていた柄を投擲する。
「こんなものっ!」
投げられたのは槍の残りの部分。大したものではないだろうと軽くいなそうとした十兵衛であったが、ふと見ればその先端は竹槍のように鋭く尖っていた。
それに気付いた十兵衛は思わず大きく距離を取る。そしてその判断は正しかったのだろう。投げられた柄は背後の土にグサリと刺さり、数秒立ったのちにパタリと倒れた。それだけ先端が鋭かったということである。
こうなってしまった原因は妖刀の切れ味が良すぎたことにあった。
(しまった。すっぱりと切りすぎたか)
十兵衛が竹槍と見間違えたもの――それは先程穂先を切り落としたときにできた切断面だった。皮肉なことに十兵衛があまりに綺麗に切ってしまったがために、柄の切断面が槍にも似た鋭さを持ってしまったのだ。
そしてそれに気を取られている間に新たな槍は鬼蜘蛛丸の手中に収まった。
(くそっ!仕切り直しか!)
舌打ちをして構えなおす十兵衛であったが、ここで鬼蜘蛛丸は思わぬ行動に出た。
「はああっ!」
バキッ ボキッ バキッ
「な、何をしているんだ、あいつは……!?」
なんと鬼蜘蛛丸は自らの手で与えられた槍を折り始めたのであった。
「はああああっ!」
与えられた槍を自ら壊し始めた鬼蜘蛛丸。思わず唖然とする十兵衛であったが、これは別に鬼蜘蛛丸の気が触れてしまったためではない。
鬼蜘蛛丸は槍を三つに折るとその断面を自らの能力――クモの糸でつなぎ合わせた。
「槍でダメならこいつならどうだ!?」
(あれは……
三節棍。棍棒の一種で節と節の間を鎖や縄でつないだものを指す。多節棍として分類されることもあり、二節棍であるヌンチャクなどがよく知られている。
使用方法は主に遠心力を生かした打撃で、時には先端部だけを回してフレイルのように使うこともあった。特に鬼蜘蛛丸のそれは元が槍なため、先端部には重さと切れ味を持つ穂先がついている。
決して甘く見ていい武器ではない。そう思った十兵衛は気持ち数歩後ろに下がるが、鬼蜘蛛丸はそれを咎めた。
「逃がすかっ!!」
鬼蜘蛛丸は三節棍の先端部を回し、遠心力を付けたところでそれを投げるように飛ばしてきた。もちろん普通の三節棍ではそんな真似はできないが、関節部に用いられているクモの糸の伸縮性がそれを可能にしていた。
「なっ!?……くっそ!?」
思わぬ挙動に大きく横っ飛びでかわす十兵衛。だが鬼蜘蛛丸は攻撃の手を緩めない。彼がそのまま横に薙ぐように棍を振ると、先端部の穂先が十兵衛の鼻先を掠めるように通り過ぎた。
「うおっ!?危なっ!」
「ちっ。外したか」
穂先を手元に戻した鬼蜘蛛丸は再度先端部を回転させて攻撃の機会をうかがう。その動きは棍や槍というよりは鎖分銅や鎖鎌のそれに近かった。
(鎖分銅か。昔何度か修練した時以来だな)
鎖武器は色物のように見えるかもしれないが、武芸十八般の一つに数えられており十兵衛も何度か触ったことがある。とはいえ所詮は片手で数えられる程度。完璧な対策ができているわけではない。
(どうにか突破口を見出さなければ!)
そう決心する十兵衛であったが、鬼蜘蛛丸の変則的な猛攻はやはり十兵衛を守勢に回させた。
「さあさあさあっ!どうした!?もう終わりか!?」
「この……!調子に乗って……!」
三節棍の間合いは先程の槍の倍以上。しかも大きく動かないため呼吸もなかなか乱れない。それどころか鬼蜘蛛丸の猛攻によって十兵衛の方が息が荒くなってきたほどである。
(まさか、このまま負けてしまうのか……?)
十兵衛は今日この日初めて自らの敗北を意識した。
敗北、つまりは死。それは自分だけでなく仲間たちの死でもある。そしてそれを意識するや、十兵衛の背中にぞっと冷たいものが流れた。
(俺は……負けるのか?)
(俺はこのまま負けてしまうのか?殺されてしまうのか?)
劣勢に陥り寒気を覚える十兵衛。呼吸は荒くなり、足はどんどん重くなる。意識も散漫になりつつあり、気を抜けば発狂してしまいかねない。
(これが追い詰められる側の感覚か……!)
いよいよ心までくじけそうになった十兵衛であったが、そこで二人の攻防を見守っていた春豪が十兵衛に向かって叫んだ。
「気負うな!臆していては何も得られんぞ!」
「!」
その言葉で十兵衛は自分が難しく考えすぎていたことを悟った。
十兵衛は自分が勝利することにこだわり過ぎていた。なにせ自分以外ではあやかしである鬼蜘蛛丸に対抗できないのだ。ゆえに確実に自分が仕留めなければならない。あるいは因縁のこともある。彼に引導を渡すのは自分でなければならないはずだ――そんな気負いが知らず知らずのうちに十兵衛の足を重くしていたのかもしれない。
(そうだ!やることは何も変わらない!俺はただ、全身全霊を持ってこいつを倒すだけだ!)
それに気付いた途端、十兵衛の動きは目に見えてよくなった。余裕を持って攻撃をかわし、時には間合いを詰めて相手に圧をかける。そういった動きを繰り返していくと、変則的な攻撃の中にもいくつかの法則性や癖が見えてくる。
(薙ぎ……突き……回収……。なるほど。ならば次は……!)
「ここだっ!」
勇気を持って飛び込む十兵衛。うなる穂先は十兵衛の頬を軽く裂いたが、仕留めるまでには至らなかった。
そしてきらめく妖刀。十兵衛が狙うは再度の武器破壊。ただし今回狙うのはその穂先ではなく、節と節とをつなぐクモの糸であった。
「はあっ!」
「しまったっ!?」
十兵衛の一閃は伸びた棍をつなぐ糸を断り切った。すると連結部を断たれた穂先は遠心力に従い、ひゅうと境内の外へと飛んでいった。
そして鬼蜘蛛丸がそれに気を取られた瞬間に、十兵衛は体を回転させるようにして一気に踏み込んだ。もう武器の供給などさせはしない。
「なっ……!くっそ……っ!」
間合いに入り込まれた鬼蜘蛛丸は腕で防御の構えを取るが、十兵衛は構わず刀を振るう。
(この刀ならば切れる!)
「はぁっ!」
踏み込み一閃。回転の力を上乗せした横薙ぎは、見事鬼蜘蛛丸の右腕を断ち切った。
「がっ……はっ……!」
勢いのまま回転しながら崩れ落ちる鬼蜘蛛丸。
十兵衛の一撃は防御に回した鬼蜘蛛丸の右腕を断ち切り、左腕も骨が見えんばかりに肉を裂いた。持っていた三節棍も遠くに転がり、背後で見守っていた山賊仲間も青い顔をして固まっている。
決着である。十兵衛は軽く息を整えてから転がる鬼蜘蛛丸の傍らに立った。
「……面を上げろ。おとなしくするすれば、すぐに楽にしてやるぞ」
「くっ、このっ……!」
鬼蜘蛛丸は少しもがいたのち、涙と脂汗でぐちゃぐちゃになった顔を十兵衛に向けた。
「何でっ!?どうして……どうして俺ばっかりこうなる!?」
「さあな。まともな道を歩んでいればこんなことにはならなかったのだろうが……まぁそれも今更だな。さあ、あまり動くなよ?」
「くっ……!」
鬼蜘蛛丸はもはやどうにもならないという諦観と、まだ死にたくないという渇望でごちゃ混ぜになった顔をしていた。
「……ふっ!」
十兵衛の妖刀はそんな想いをまとめて一閃で切り落とした。
ごろりと転がった首は、一つの因縁が終わったことを告げていた。
十兵衛と鬼蜘蛛丸の決着は、大局が決したことを意味していた。
「うわぁぁぁっ!鬼蜘蛛丸様がやられたぁ!?」
鬼蜘蛛丸の首が転がるや、本堂に残っていた残党たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。意外にこうやって雑に逃げられる方が対処が難しいもので、友蔵たちが慌てて押さえつけようとしたが、何人かは上手いこと包囲の輪を抜けようとしていた。
(面倒な真似を……。まぁ鬼蜘蛛丸を討った今、他の者はどうでもいいのだがな)
彼らがあやかしでないことは確認済み。一人二人逃げたところでたいした問題ではない。もちろんわざと逃がすつもりは毛頭なかったが、それでも上手く逃げおおせられたのならそれもよしと十兵衛は考えていた。
しかしここで声を張り上げたのが春豪であった。
「お前たち、逃げてどうする!?逃げた先に生きる価値などあるのか!?」
「……春豪殿!?」
驚き言葉を失う十兵衛をよそに春豪はなおも言葉を続ける。
「逃げたところで死ぬまで今日の敗北を思い出す日々が続くだけだぞ!それが嫌ならば戦え!戦えば勝者になれる可能性はある!あるいは『強者に勇敢に挑んだ者』として死ぬこともできようぞ!」
ふざけた主張である。彼の言い分は、要はここで名誉のために潔く散れというものだった。
目的があるのならばそれもいいかもしれない。しかしこんな出来て間もない山賊同盟に命を張るような価値などないはずだ。
そう思っていた十兵衛であったが、しかしこんなメチャクチャな理屈であっても響く者には響いたらしく、何人かは足を止め刀を抜いて構えた。もちろん死への恐怖がなくなったわけではない。顔面は蒼白で歯をがたがたと鳴らし、膝は生まれたての小鹿のように震えている。それでも彼らは戦う道を選んだ。
「ぶっ、ぶっ殺してやるよ、お前らっ!」
春豪はそんな彼らの姿を見て満足げに頷いた。
「良し。それこそが生きた証だ。」
「……本当に返り討ちにする気か?」
「無論だ。でなければ彼らに誉れ高き死を与えることはできないからな」
「誉れだと!?そんなもの……!」
春豪の目に曇りはなかった。どうやらこれこそが彼が信じている『救い』らしい。十兵衛は反論したかったが、それより先に残党たちが打ってきた。
「はあああああっ!」
「ちっ!この死にたがりどもめ!」
山賊たちの必死の特攻。しかし悲しいかな、覚悟をしたところでその力量差が埋まるわけでもない。彼らは十兵衛たちに一太刀二太刀のもとに切り捨てられる。
そうしてものの数分と経たぬうちに、廃寺境内には十兵衛たち五人以外に立つ者はいなくなった。
「……くそっ!なんてザマだ!」
十兵衛は悪態をつきながら刀を振って血を払う。肉薄の刀は血の切れもよかったが、残った寂寥感までは拭い去ってはくれなかった。
「これが貴殿の望んだ光景なのか?春豪殿」
見れば境内は死屍累々、地獄と評してもいいほどの惨状だ。それでもなお春豪の瞳に曇りはない。
「乱世を望んだのは彼らだ。そしてこれは望んだ先の光景。善しも悪しもない、純粋な帰結の光景だ」
「貴殿が煽らなければ素直に逃げていた者もいたはずだ。生まれ故郷に戻って平穏に暮らす未来もあったはずだ」
「平穏?それが本当に幸せな人生なのか?」
「なっ!?」
気付けば春豪は十兵衛の傍らに立ち、その真っ黒な双眸を十兵衛に向けていた。
「貴殿とて武士ならば一度は夢見たことがあるはずだ。自分が戦場に立ち見事に活躍してみせる様を。無様に敗北し泥にまみれて地に伏す可能性があると知りつつも、そんな戦場を望んだことがあるはずだ」
「それは……確かに全くないと言えば嘘になる。しかしもうそんな時代ではないだろう!」
「時代?ならばお前は言えるのか?これから先、武士は何も成さずに生きるのだと。何も成さず、何も残さず、それどころか何にも挑まずにただ無為に生きるのが男の生き様だと言えるのか?」
「それは……」
返答に詰まる十兵衛。彼とて武の頂を目指して精進している者。年長者たちの昔話を聞いてうらやましく思ったことは一度や二度ではない。
しかし青臭い夢と、今現在目の前に広がっている地獄じみた光景のギャップは看過できるものではなかった。あるいはこれこそが本当の戦場の光景なのかもしれない。
「それは……」
十兵衛も、友蔵や藤五郎も言葉を無くす。そんな中一人彼の考えに強く共感する者がいた。
「素晴らしいお考えです、春豪殿。……しからば某にも生の実感をいただきたく存じ上げる」
そう言って改めて刀を構えたのは勘九郎だった。
「勘九郎殿。何を……」
「おっと、今度こそ止めてくださるなよ、十兵衛殿。こっちは約束を守ったんだ」
ここで十兵衛は思い出す。勘九郎の目的が春豪との一戦だったこと。そして山賊退治が終わった後なら好きに戦っていいと言ったことを。
春豪の方もそれを覚えていたようで、文句も言わずに得物の長巻を構えた。
「貴殿の『救い』とならんことを……」
山賊騒動に決着がついたのもつかの間、未だ血霞漂う境内にて勘九郎と春豪房とが対峙した。
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