柳生清厳 『天狗薬』の噂を聞く 1

 大和国(現奈良県)は比較的降雪量の少ない地域だと言われているが、それはあくまで平野部だけの話である。標高の高い所では年越し前後からちらほらと降り始め、天候次第ではうっすらと積もることも珍しくない。

 これが笠置山地のような高山部になると降った雪は膝丈あたりまで積もりそれが次の春まで融けずに残る。こうなると人の行き来は一気に厳しくなり、周囲の多くの集落が冬の間いわゆる陸の孤島と化す。

 柳生庄はそんな笠置山地の盆地部に位置する集落であった。


 朝一で部屋の戸を開けた三厳はすっかり雪化粧が施された里に感嘆のため息を吐いた。

「これはまた……昨日今日で随分と積もったな……」

 時期は師走のまもなく年越しという頃。昨日の夕刻辺りから見えていた雪はどうやら夜の間もはらりはらりと降っていたようだ。

 積もったのは草履が沈む程度だがこうなるともう冬本番である。三厳は久方ぶりの柳生庄の冬を思い早くもぶるりと震えた。そんな三厳に偶然外に出ていた下男が声をかける。

「あっ、三厳様!おはようございます。お早いですね」

「うむ。お前も早いな、源助げんすけ

 屋敷の下男の一人、源助である。見れば彼の手には堅めの竹ぼうきが握られていた。

「雪かきか。早いのに精が出るな」

「いえいえそんな。ちょっと雪をどかしてくるだけですよ。万が一に滑る人がいたらいけませんからね」

「謙遜することはないぞ。いい心がけなのだからな。それにしてもいよいよ今年もこの季節が来たのだな」

「そうですね。今年は少し早いですから冬仕度が間に合ってない所もあるかもしれませんね」

 源助の言葉に三厳が「おや」と反応する。

「おや、今年は早いのか?毎年このくらいだと思っていたのだが……」

「あー、というよりここ数年が暖かかったんですよ。雪は降っても残らないくらいで本格的に積もるのは年を越してから。だから油断して冬ごもりの準備を済ませておらず、今朝の雪を見て慌てて準備をするなんて家もあるやもしれませんね」

 源助はちょっとした世間話程度のつもりだったが、これに三厳は思ったよりも真剣に食いついた。

「ふむ、それはよくないな。どれ、冬の間に問題が起こらぬよう今日は少し里を見て回ろうかな」

「えっ!?三厳様直々にですか?」

「そこまで驚くようなことでもないだろう。たまには領主の嫡男らしいこともしないと江戸に帰ったときに父上にどやされる」

 柳生庄領主の宗矩は江戸にいるため現在この柳生庄で最も力を持っているのはその嫡男である三厳である。しかし実際の行政業務は柳生家と縁の深い小沢家の代官・小沢頼元よりもとに一任していた。知識や経験を鑑みればそれが妥当だろう。

 だがいつまでも頼元におんぶにだっこでは柳生家の威信にもかかわってくる。せめて冬ごもり前の声掛けくらいはしておかなければ里の者からの心象も悪くなるだろう。

(ただでさえ最近は大坂に行っていたからな。だがそのおかげで少し余裕ができたところもある)

 三厳はつい先日大坂の廻船問屋と密約を結び新たな情報網を手に入れていた。そこには信頼できる伊賀の忍びたちを配置しているため、こうして領主仕事に精を出すだけの余裕ができたのだ。

「というわけで頼元殿に後で参ると伝えておいてくれないか?あぁ急ぐ必要はないぞ。俺もゆっくり飯を食ってから行くからな」

「はい。承知いたしました」

 だが生真面目な源助は頭を下げるとすぐにぴゅんと頼元宅へと駆けていった。

「あぁもうまったく、急ぐ必要はないと言ったというのに……。まぁいい。さてそれじゃあ俺も飯と……あと景気付けに一杯飲むか」

 急ぐようなことは何もない。三厳はのどかな冬の日光を浴びながら大きく一つ伸びをした。


 さてこうして三厳が柳生庄に腰を据えて自らのお役目をこなしていたのとほぼ同じ頃、他の者たちもまたそれぞれの地で各々のお役目をこなしていた。そう例えば尾張の柳生清厳などもだ。

 柳生清厳。柳生利厳を家長とする尾張の柳生、いわゆる尾張柳生家その嫡男である。歳は数えで十二歳と若年ながら、御三家の一角・尾張の徳川義直の小姓を務めていた。

 そんな清厳もまた役儀の真っ最中であった。もちろん小姓関係の仕事である。しかしその顔にはやる気も何もなく、まるで能面のような感情を殺した顔で先輩小姓らの話し合いを聞いていた。

「だから毎度わざわざ菓子を用意する必要もないと言っている」

「いやいや、もてなし一つもできないと噂になればそれこそ我らの恥となるだろう」

「しかし最近はやけに高い菓子も出てきたからなぁ」

 先輩小姓らの議題。それは小姓同士の会合の際に出す茶菓子についてだった。

(はぁ……。なぜ私がこのような話を聞かなければならないんだ……)

 清厳の小さなため息は誰の耳にも届くことなく、先輩小姓らの熱量の前にあえなく掻き消されたのであった。


 先輩小姓らの茶菓子についての話し合い。一応断っておくとこれは冗談半分の雑談ではなく、彼らにとってはとても意味のある真面目な会議であった。

 まず前提として、役儀を問わずこの時代は情報の並列化のための会合が頻繁に行われていた。なにせネットも何もない時代である。仕事に関わる情報の共有・認識の齟齬を防ぐためには直接顔を見合わせて話し合う回数を増やすしかない。

 つまりは会合であるが、しかしその会合とて簡単に開けるものではない。議題や参加者の選定に始まりその参加者の都合の調整。必要とあらば事前に資料等を用意することもあるだろう。

 そんな面倒くさい幹事業務を一人に押し付けては後々角が立つかもしれない。というわけで尾張の小姓組の間では会合の主幹は年長者たちが持ち回りで務めることになっていた。主幹の仕事は先程述べた日時の選定や会議内容の整理、そして参加者たちへの茶菓子の用意であった。

 ここまで聞いた者の中には「茶菓子など必要か?」と思う者もいるかもしれない。実際のところ本題は情報の共有であるため茶菓子は特別必要というわけでもないし、故にそれに関する規定もない。しかしそれはそれとして礼儀というか見栄というか、ともかくもてなす側である主幹が茶の一つも出さないのは儀礼を重視する彼ら武士にとっては引っかかるところではある。というわけで始めは各々の裁量で茶や菓子を出していたのだが、ここでその規定を定めていなかったことが問題となった。

 問題の根幹は茶菓子についての上限がなかったこと、そして武士が見栄を張る生き物だったということだ。例えば前の幹事が茶を出したというのに次の者は水を出したとなれば、その者は貧乏だの吝嗇家だのといったそしりをうけることだろう。つまり誰かが一度茶を出せば、それ以降の者は皆茶を出さざるを得なくなる。

 またある日の茶菓子が一個一銭の菓子だったとする。これで次の者も一銭の菓子を出せばいいのだが、ここで少し見栄を張ろうと二銭の菓子を出したとする。すると菓子の基準は二銭となり、そこから見栄を張ろうとすれば三銭に。その次は四銭、次は五銭、六銭、七銭……と続いていけば、いずれもてなす側は見栄のために一個一両の菓子を出さなければならなくなるだろう。

 馬鹿げた話と思うかもしれないが武士にとって面目とは時に命よりも大事なものである。それを守るためならば借金ですら厭わない。しかし一方でこんなことで身を崩すことなど誰も望んではいない。またあまりに華美になれば外からの苦言も来るかもしれない。そのような複雑な背景から一度きちんとした規則を立てようではないかというのが今回の話し合いの主題であった。

「小姓全員から銭を徴収してそこから出すというのはどうだ?」

「それだと会合に参加しなかった者が不平を言うぞ。あまり言いたくはないが小姓内でも家格の差はあるしな。いっそあまり厳格に決めない方がいいのでは?」

「それではまた同じことの繰り返しになる気もするが、まぁ今日焦って決める必要はないか……」

 先輩小姓らは真剣に規則について話し合う。この会議が今後のより良い御小姓仕事のためには必要不可欠であるということを理解しているからだ。もちろん清厳とてそのことはよく理解している。よく理解していてなお、あまりのくだらなさに辟易していた。

(あぁくだらない……。何が菓子だ。こんなことよりも私は稽古がしたいというのに……)

 しかし清厳はこの中では群を抜いての年少者である。当然勝手に席を立つという無礼な行為は許されない。結局清厳は部屋の隅でじっとたっぷり一刻半、このくだらない会合に耐えたのであった。


 下手な稽古よりもはるかに疲れる会合を終えた清厳はうの体で柳生屋敷――言うまでもないことだが江戸柳生のそれではなく、利厳率いる尾張柳生の屋敷――へと戻った。それを出迎えたのはよく清厳につく下男の武藤儀信よしのぶだった。

「あっ、お帰りなさいませ、清厳様。いかがでしたか、御会合の方は?」

 儀信がこう尋ねると清厳はそれまで溜め込んでいた不満をすべて吐き出すかのような大きなため息をついた。

「はぁ……どうしたもこうしたもない。まったく菓子がどうだの茶がどうだの、武士とは思えぬような話し合いだ。はっきり言えば時間の無駄だったよ」

「そ、それはまた大変でしたね。ですが年長様方もふざけているわけではないでしょうし……」

「そんなことくらいわかっている。しかしそれにしても雁首揃えて話う合うような話題ではないだろう。まったく、これなら素振りをしていた方がまだ有意義だった……!」

 吐き捨てた清厳の顔にはいら立ちの他にわずかに焦りの色が見えていた。

(そう、こんなことをしている場合ではないんだ……!)

 清厳は無意識のうちにまだ届かぬ遠い背中を思い起こしていた。

 一月ほど前、清厳は柳生家父祖伝来の地・柳生庄を訪れた。目的はこの地で自分のルーツとも言えるようなものを見つけるためである。しかし尾張で生まれ育った清厳にとって柳生庄とは話に聞くだけの遠い土地であり、実際その地に立ちはしたものの特に感じ入るようなものは何もなかった。

 自らのよりどころを一つ喪った清厳であったが、それはむしろ自分を見つめ直す契機となった。土地に執着できない自分は果たして何をよりどころにすればいいのだろうか?自問の末に清厳がたどり着いたのは『柳生新陰流』という剣術そのものであった。

(そうだ、『新陰流』だ!宗矩様でも三厳様でもない、私が新陰流で当代一の武士となるのだ!それこそが私の在り方なのだ!)

 こうして自らの生きるしるべを見つけた清厳は気持ち新たに稽古に励むことを誓った。しかしそんな清厳の想いに影を差すかのような存在が次々と現れる。

 まず一つ目。それは江戸の三厳の存在である。三厳は清厳よりも八つ年上で新陰流の腕前も抜群。また役儀も将軍・家光の小姓と公私ともに清厳の一歩先を行く存在である。無論いずれは追いこすつもりではあるが、それはそれとしてその背中はあまりにも遠い。それこそ時にはくじけそうになるくらいに。

(果たして私が追い付ける日が来るのだろうか……。いや、弱気になってはダメだ!今はともかく自信を信じて剣を振り続けるのみ!)

 清厳は自らの焦燥を振り払うかのように稽古に励む。しかしここでもう一つの障害が水を差してくる。それは稽古のできない時間――つまりは役儀の時間であった。

 もちろん仕事をないがしろにするつもりはない。義直の小姓はやりがいのある誉れ高い役儀である。しかし一方で(果たしてこれは私がしなければいけない役儀なのか?)というお役目も少なくなかった。先の茶菓子の会合などがまさにそれだ。価値がないわけではないが武士としての高みを目指すには不要な役儀。できることなら御免こうむりたいお役目であるが、それができるほど清厳も柳生家も偉くはない。結果稽古に使えたはずの多くの時間をつまらない役儀に持っていかれがちにたっていた。

 そこに最近では父である利厳経由でのお役目も多くなってきた。実はこれが目下一番清厳を悩ませているものでもある。そろそろいい加減に何か手を打たなければならない。

「儀信、父上はおられるか?」

「殿ですか?今日は屋敷にいらっしゃられますよ。……まさかいよいよ殿に考えを言うおつもりで?」

「ああ。もういい加減稽古に専念したいのでな」

 口調は穏やかであったが有無を言わせぬ迫力に儀信は一瞬ひやりと肝を冷やした。

「……色よい返事がもらえることを祈っております」

「あぁぜひ祈っておいてくれ」

 その後清厳は一度自室に戻り、覚悟を決めてから利厳のいる部屋の戸を叩いた。


「父上。いらっしゃいますか?」

 清厳が声をかけるとふすまの向こうから返事が返ってくる。

「清厳か。帰ったのか」

「はい、ただいま。少しお時間よろしいでしょうか?」

「……」

 利厳は清厳の不穏な気配を感じ取ったのだろう、一瞬言葉に詰まるが結局は追い返す理由もなかったため中に招き入れた。

「うむ。入れ」

「はっ」

 中で利厳は何かの書をしたためていたが、入ってきた清厳の様子を横目で見ると少し面倒くさそうに息を吐いてから語り掛ける。

「……どうだ?息災なくやっているか?」

「はい、問題ありません。ですが少し申し上げたいことがございまして……」

 どうやら清厳は前座の無駄話すらする気はないようだ。利厳は先程よりも少し大きなため息を吐いてから「……申してみよ」と許可を出した。

「では単刀直入にお聞きします。父上はなぜ私にあのようなお役目をさせるのですか?」

「……『あのような』とはどのようなものだ?」

「はぐらかさないでください。剣術とは関係ない、中身のない役儀のことです。父上。私は柳生家の嫡男です。柳生新陰流を継ぐ者です。ならば私に必要なのは剣の腕を磨くことで、役儀のせいでその時間が削られるというのは本末転倒ではないでしょうか?」

 熱く語る清厳。その激しい剣幕は柳生家嫡男としての自負、そして何より利厳に対しての憧れから来るものであった。


 柳生利厳には剣豪としてのいくつかの逸話があった。

 まずよく聞くのは数十年間修業を積んで新陰流を修めた当代有数の剣豪という話だ。これは単なるうわさではなく、実際利厳は柳生庄にて柳生新陰流の開祖である石舟斎から直々に薫陶を受けていた。その後熊本の加藤清正の元に出仕するのだがその時の利厳の年齢は二十四歳。これは当時としてはかなり遅い出仕であり、つまりそれだけ剣の修行に没頭していたということだ。またその清正のもとを去った後も諸国行脚・武者修行を続けており、その腕前は加藤清正や福島正則その他多くの武将らが高く評価していた。

 またこんな話もある。それは利厳が今の主君・徳川義直の剣術指南役に決まる直前のことである。利厳は尾張国附家老・成瀬正成の推薦で家康と顔を合わせていた。

「ふむ、貴君が柳生利厳殿か……」

「……」

 この頃は既に大坂の役を征しており天下をほぼほぼ手中に収めた時期である。また宗矩も家康に続き秀忠の剣術指南役に就き武術家としては順調に道を進んでいた。ならば利厳も家康に媚びでも売って仕官の道を目指すべきだろう。だが利厳はそうはしなかった。

「某は叔父上(宗矩)のような諸役・御奉公は一切できませぬ。できるのはただ剣術のみ。その指南のみならば奉公できますが、もしその他の方向をお望みと言うのなら不躾ながらこの話謹んでお断り申し上げます」

 これは要は剣術指南役以外の仕事をしなくていいのなら雇われようということだ。立場を考えれば不遜極まりない発言であったが、家康はこの潔さを大いに気に入り義直の指南役に決めたという。


 清厳はこの話が好きだった。聞いたのが酒の席だったために多少の脚色はあったのだろうが、それでも数多の英雄が生まれた戦国の時代に剣の腕を愚直に磨いた父の話。剣に生きる者として自分もそのような生き方をしてみたいと幼心に憧れた。

 しかし当の利厳は息子・清厳にそのような生き方をさせなかった。清厳はよわい十になるやすぐさま元服し(当時は元服の年齢は定められていなかった)主君・徳川義直に謁見、そのまま義直の小姓となる。またそれとは別に利厳や成瀬正虎の伝手で非公開の役儀に同行することも多々あった。例えば罪人の処罰や郊外に潜んでいる牢人の取り締まりなどだ。三厳と邂逅するきっかけとなった『今切の渡し』の監視も正虎の縁で参加したものである。

 当初は清厳もこのような扱いに不満はなかった。憧れは所詮憧れに過ぎなかったし、役儀をこなせば父母その家臣たちが喜んでくれる。それに戦火の絶えてしまった今の時代、数少ない実践の場である。腰に刀を差して山道を走り回った後は一つ大人になったような心持ちになれた。

「ですが最近の父上が紹介なさる仕事は何なのですか!?最近は帳簿付けや書類の分類、贈答品のお礼書きや歌会への参加……。剣術とはまるで関係のないものばかりではないですか!?」

 清厳の指摘通り、ここ最近利厳経由で割り振られる仕事は事務仕事や社交系のものばかりであった。先の利厳と家康の逸話でいえば利厳が絶対にしないようなお役目である。しかもこれが柳生庄からの帰郷後、もっと新陰流の剣士として恥じぬ腕前になりたいと申し出た後からこのような傾向になった。もはや当てつけを疑うほどの冷遇に清厳の口調もおのずと強くなる。

「よもや父上は私を新陰流の跡継ぎにしたくないのですか」

「……何を世迷い事を言っておる。柳生家の嫡男はお前だ。お前に継がせずして誰に継がせるというのだ」

「ならばなぜなのですか!?このままでは私は……」

 思い浮かぶのは父やその他門下、そして三厳の大きな背中。数年以内に清厳が追い付き、そして追い越さなければならない背中だ。

 だがこんな半端な稽古では追いつけるものも追いつけやしないだろう。拳を握る清厳にさすがの利厳も思うところがあったのか、少しばかり雰囲気が柔らかくなった。

「……お前の焦る気持ちもわかる。しかしこれも必要なことなのだ。今はわからぬかもしれないが、いずれわかるようになる。いずれな……」

 そう言うと利厳は庭を眺めるようにぷいと顔をそむけた。清厳は知っていた。これは利厳がもう話を聞き流す態勢に入ったしるしであるということを。

「くっ……!」

 もはやこれ以上の問答は無駄である。そう悟った清厳は一礼して部屋を辞す。その後自室に戻った清厳はおもむろに竹刀を手に取り庭に出て、そして渾身の力を持って振り下ろした。空気を裂く一閃は誰もが目を見張る素晴らしい一振りであった。間違いなく清厳は強く、そして成長もしている。しかしそれでもなお清厳の心には力なき自分への焦りがあった。

(……ダメだ。この程度では最高の剣士には程遠い……!)


 ちょうどそんな頃であった。尾張の町に、使えば人知を超えた力を得ることができるという薬――『天狗薬てんぐやく』の噂が流れ出したのは。

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