第12話 僕は過去から君を知っている

俺は女性を好きにはならない。

だけど人は.....好きだ。

だから他人と仲良くしたいと思っている。

それはアイツが言ったから、だ。

湊が最後に俺に、だ。


『他人と付き合う事は絶対に悪い事じゃないわ』


それもあり.....俺は孤独が嫌いなのだ。

俺は思いながら幸子を見送ってから.....家の中を見渡していた。

そんな感じでゆっくりしていると夜になり。

今度は.....土方先輩がウチに来た。

俺は驚愕しながら.....土方先輩を見る。


「すまなかったね。色々と。事情があって付き合ったフリをしていたんだ」


「まさか謝りに家に来るとは思ってなかったです」


「そうだね。.....謝るなら早めの方が良いかと思って部活帰りに来させてもらったよ。御免な。突然に来てしまって」


「.....別に怒って無いですよ?俺。明日でも良かったんですが.....」


「.....実はね。.....僕は昔から君の事を知っているんだ。だから協力したっていうのもあるんだよね」


俺は?を浮かべて目を丸くして土方先輩を見る。

土方先輩は、それも茅場湊って子に任されてね、とも言う。

更に俺は目が点になる様に驚愕した。

それから.....土方先輩を見る。

土方先輩は、いつか君に接触しようと思っていたんだけど.....まさかこんな形で接触するとは思って無かったからね、と苦笑いを浮かべる。


「.....まさか湊と.....接触があったとは思いませんでした」


「.....偶然だったよ。彼女はかなり大人っぽかったからね。小学校では噂の対象だった。そしてスポーツ万能だったからそこで知り合ったよ。僕は茅場湊さんと小学校が一緒だったんだけど.....何というか茅場湊さんに君の事は弟の様に守ってほしいって言われたよ。アハハ。.....まさか亡くなるとは思ってなかったよ」


「.....そうっすね」


「.....君はもしかして茅場湊さんが好きだったのかい?」


「.....はい」


そうか。

それで恋には臆病なんだな。

と土方先輩は少しだけ苦笑する。

それから、茅場湊さんは本当に綺麗で魅力の有る子だった。9歳ながらにして、ね。僕も彼女の魅力は凄いと思ったよ、と懐かしむ様に笑みを浮かべる。

俺はその姿に、ですね、と答える。


「.....君の恋路が上手くいく様に応援しよう。.....僕も協力するよ」


「そんな.....良いですよ!?」


「僕は君に幸せになってほしいと思っているからね。.....君はどうやら付き合ってはいるけどモテモテの様だからね。アハハ」


「.....そうですね。.....確かにそうです」


「君には魅力がある。.....俺には無い魅力だ。.....だからきっと幸せになれるさ。今は無理でもね」


土方先輩は言いながら、さて、と立ち上がる。

それから、そろそろお暇するね、と言い出した。

俺はその姿に、そうですか、と見る。

ああ、と答えた土方先輩は手を差し出してくる。

そうしてから笑みを浮かべる。


「.....これから宜しくね。改めて」


「.....はい。土方先輩」


「.....うんうん。その顔だ。.....良い笑顔だね」


「.....相変わらずっすね」


僕は格好良いとか言うけど腹黒だしね。

でも君は腹黒じゃない。

その点で差が見事にあるから.....君は幸せになれるよ。

と笑顔を浮かべる土方先輩。

俺は.....少しだけ恥ずかしくなって頬を掻く。


「正直羨ましいよ。君が。.....愛を持ってモテるみたいだから」


「確かにみんな愛してくれますしね。.....本当に嬉しいです」


「君は本当に好きにはならないのかい?.....周りに居る女性達を」


「.....そうっすね。俺は.....付き合ったら彼女達を不幸にするって思っています。だから付き合う気はないです」


「.....そうかい。.....それも人生だね」


土方先輩は柔和に俺に接してくれる。

優しい先輩だな、と思いながら俺は玄関先まで見送った。

そして送り出す。


それから1日が経過して.....俺はビックリする事になる。

何故かと言えば.....だが。

こういう理由だ。



「よーちゃん」


「お、おま!?何してんだ!?」


「ベッドに入ってるよ?よーちゃんの」


「ふざけんな!?」


俺のベッド。

起きると何故か.....俺の胸元付近に幸奈が居た。

愕然としながら俺は真っ赤に赤面しつつ慌てるが。

寝ている為に動けない。


「.....このままリベンジキスしようか」


「幸奈。スイッチが入ってるって!何だよこれ!?いきなりだな!」


「だって我慢出来なかったんだもん。よーちゃんが可愛かったから」


「だからって男のベッドに入るな!お前は将来痴女にでもなる気か!?」


「ち.....痴女!?よーちゃん最低!!!!!」


起き上がってから俺を赤面で見てくる幸奈。

それからカアッとなりながら頬に手を添える。

俺はその姿に盛大に溜息を吐いた。

そうしてから起き上がる。


「だってそうだろ。間違ってはないぞ」


「.....じゅ、純白な身体を傷付けるつもり無いもん」


「.....いや。今の状態を見たままでは.....そんな言葉は信じられない」


「よーちゃんのアホ。変態」


「.....どっちが変態だよ.....」


そ。それはそうと。

お話があって来たんだよ。よーちゃん、と見てくる幸奈。

何だよ話って、と思いながらジト目で幸奈を見る。

すると幸奈はこう言った。


「.....誕生日が近いよね。私」


「.....そうだな。4月26日だろ。それがどうしたんだ?」


「.....よ、よーちゃんと1日で思い出を作りたいし.....湊のお墓参りもしたいから.....その」


「.....何だよ」


「.....来週、おうちデートの意味で家に泊まって良い?」


思いっきり吹き出した。

何言ってんの!?

いや、良いけど.....恥ずかしいんだが。

この有様では、だ。

というかさっきのさっきでは、だ。


「.....お前.....」


「な、何?何か文句でも?」


「.....恥ずかしいんだが」


「.....私だって泊まり込みは恥ずかしいんだけど.....」


「.....」


「.....」


モジモジしながら俺を上目遣いで見てくる幸奈。

何この初々しい感じ?

全国の高校生が悶えるよ?


そんな感じだった。

全くこの野郎。

可愛いんだよ!!!!!

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先輩が好きな幼馴染が俺に恋愛相談してきた。.....ってかそれなんか俺の様な? アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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