第5話 どうなっているんだ?

アイツが俺を好いている?

そんな馬鹿な話があるのか?

俺は衝撃を受けながら.....幸子に別れを告げてから登校していると。

目の前を人だかりとヒソヒソ話が過った。

そこには.....幸奈と土方先輩が居る。


俺は見開きながらその様子を見るが。

あり得ない感じだった。

やっぱり土方先輩を好いているんだな、という感じだが.....本当に幸子の話はマジなのか?

でもあの様子は、うーん。有り得ないな、という感じだ。


「.....アイツが俺をねぇ。まあこんな感じでは無いな」


「先輩♪」


「.....お?遠島。どうしたんだ」


「おはようございます♪.....どうしたんですか?そんな深刻な顔をして」


「深刻っつーか考え事だな。.....まああまり気にすんな」


そうですか?、と笑顔を浮かべる遠島。

それから俺の腕に腕を回した。

俺はその事に、お。おう、と赤面する。

そうしてから周りに見せつける様にする。


「恥ずかしいってばよ.....」


「良いじゃ無いですかぁ。先輩をこんなに好いているのに」


「.....そうか。.....有難うな。遠島」


「何がですか?」


「.....俺なんかを好いてくれて」


中学時代から大切で好きでしたよ。

だから全然大丈夫です、と笑顔を浮かべる遠島。

俺はその姿に、成程。そうなのか、と笑みを浮かべる。

それから.....互いに互に笑み合う。


「私、先輩となら一緒に何処までも行けそうです」


「まあ確かにな」


そうしていると。

目の前を歩いている.....幸奈が俺達を見ているのに気が付いた。

俺は手を挙げて、幸奈、と声を掛けるが。

幸奈は悲しげな顔で去って行った。


いやいやオイオイ.....。

と思いながらも。

そうだよな。付き合い始めたらこんな感じだもんな、と思う。


だって俺達も周りしか見れてないし。

俺は感慨深い感じで納得しながら.....遠島を見る。

遠島は俺に笑みを浮かべていた。


「まあこんなだよな。普通は」


「.....うーん。ですね。何だか周りが見れなくなるんですよね付き合うと。男の人と女の人が、です」


「だな。うーん」


「でもあの感じは.....まさかですよね」


と遠島は顎に手を添える。

それから、先輩。ちょっとだけ満田先輩を借りて良いですか?、と言ってくる。

え?借りるって何だ。


思いながら俺は見ていると。

テクテク歩いて行ってから。

満田先輩。ちょっとお話が、と遠島が幸奈に声を掛けた。

俺は目を丸くする。


「.....」


「.....」


何かヒソヒソ声で話している。

その様子を見ながら居ると.....土方先輩が俺を見てからやって来た。

俺に爽やかな笑みを浮かべながら、だ。

やっぱでかいなこの人、って思う。

考えながら圧巻されて見ていると.....土方先輩は口を開いた。


「すまないね。.....幼馴染ちゃんを貰って」


「ちょっと意外でしたけど.....でも良かったです。おめでたいです」


「.....そうかい。有難うね」


「.....意外でした。土方先輩が俺の幼馴染を好いているなんて、です」


「.....そうだね」


俺に笑みを浮かべる土方先輩。

その姿に笑み返す俺。

しかし次の瞬間。

土方先輩は.....こう話す。

それは.....こんな言葉を、だ。


「でも運命はまだ決まってないからね」


「.....は?」


「.....これでサイは決まらないよ。.....君も油断は禁物だね」


見開きながら俺は.....見つめる。

どういう意味だ?、と思って見ていると。

目の前の幸奈と遠島の会話が終わった様に.....遠島が戻って来る。

その顔は笑みを浮かべていた。

何だったんだ?、と思っていると.....遠島が言葉を発する。


「私は.....負けないです」


「.....?.....へ?」


「.....私は.....うん。.....絶対にこのまま負けないです。まだゴールじゃ無いです」


「.....へ?へ?」


意味が分からないんだが。

考えながら遠島を見る。

遠島は意を決した様にして目を燃やしていた。


いやいや、ちょっと待ってくれよ。

何がどうなっているんだ?

俺は唖然としながら居ると。


「.....こんな感じだ。君は.....運命に抗うべきだ」


「.....?????」


土方先輩はそう言ってくる。

目がパチクリとしか動かない。

誰も明確な答えを言わないんだが。

全てがはっきりしない。

鈍感だからどうしようも無いんだけど俺.....。


しかし何だこのスッキリしない感じは。

うーん。

何だか知らないけど土方先輩は運命とか格好良い言葉を言うし.....。

割とマジに誰か助けて欲しいんだが.....。

考えながら俺は苦笑いを浮かべる。


というか幸奈は本当に俺を好いているのか?

有り得ないと思うだが.....。

こんな感じで土方先輩と付き合っているのに、だ。

考えられないんだが。

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