第2話 後輩と付き合う事になった

何か.....しっくりこないな。

だけどまあ幸奈はそれだけ恥ずかしさを隠しているという事だろう。

俺は納得しながら娘を嫁に送り出す様に.....涙を拭う。


それはまるで乙女の様に、だ。

全く.....許さんぞ.....。

そんな感じで土方先輩を恨みながら。

俺は翌日、授業を受けていた。


「.....全くな。分からん。アハハ」


俺は顎に手を添えながら休み時間、勉強する。

それからやっていると.....幸奈がやって来た。

何をしているの?、的な感じで、だ。

良いね.....優秀な人は。


「テストが有るだろ。試験対策だよ」


「.....あー。.....そうなんだね。.....私、教えようか?」


「有難いけど.....良いのか?お前、土方先輩が好きなんだろ?俺なんかに近付いたら.....」


「え?.....まあ.....よーちゃんだから問題無いんだけど.....」


「.....そうなのか?」


そうしているとガラッとドアが開いた。

それからテクテク人が近付いてくる。

それは見慣れた顔だった。


俺は目を丸くしながらその顔をにこやかに見る。

身長が145センチしかない顔立ちが童顔の小柄な女の子。

だけど可愛い女の子、遠島恭子(とおしまきょうこ)。

俺の後輩に該当する女の子だ。

何て言ったら良いのか、中学からの後輩である。


「先輩♪」


「おう。遠島」


「どうしたんですか?また満田先輩と話していたんですか?」


「そうだな。まあ満田の好きな土方先輩の話だよ」


そんな会話をしていると.....何だか幸奈は困惑した様に見ていた。

少しだけ悲しげな感じで、だ。

何でこんな顔をするのか分からないが.....噂をしないでくれ、って事だろう。

そうなったら仕方が無いな。


「ゴメンな。幸奈。あまり話さない方が良いよな」


「.....う、うん.....まあ.....」


悲しげな感じを見せたままだが何で?

俺.....何か悪い事言ったっけ?

考えながら俺は.....手を叩いた。

そ。そうだ、と話題を切り替える様に、だ。


「.....あ。そうだ。幸奈。えっとな。俺.....実は遠島の事が好きでな。それで付き合う事にしたんだ」


「.....え.....」


「そうです。満田先輩。私.....実は好きだったんです。先輩が。だから告白しました♪」


「.....」


ますます困惑する幸奈。

それどころか泣きそうな顔をしている。

な。何かマイナスになっていっている気がする。


何でだ?幸奈って.....土方先輩が好きなんだよな?

俺、何か間違えているのか?

え?そんな訳無いよな?


「そうなんだね。.....おめでとう。.....じゃあね」


「.....???」


「満田先輩も頑張って!」


「.....」


その応援も雲の上の様な。

そんな感じで去って行く幸奈。

そして女子達に混じった。


俺は何かしっくりこないまま。

そのまま.....俺はこの日、付き合う事にした。

俺を好きな遠島と、だ。

その遠島も?を浮かべていたが。


「でも付き合う事が出来たのが嬉しいです」


「.....そうだな。つーか応援してやらないとな。アイツの事も」


「ですね。.....でもその。.....何でしょう。何かしっくりこないです」


「それは確かにな。.....俺もしっくりこない。どうなっているんだろうか」


「.....うーん?」


そんなこんなで遠島と別れるとチャイムが鳴った。

それから.....手を振って笑顔で去って行った遠島を思い出しながら。

ムフフ、とニヤニヤする。

初めての彼女だ。

嬉しいな、と思いながら、だ。


ピコン


「.....?」


授業中なのに。

何故か幸奈からメッセージが入った。

俺は?を浮かべてメッセージを読んでみる。


そこにはこう書かれていた。

よーちゃんのバカ。アホ、と。

へ?何だこれ?

思いながら.....目を丸くして幸奈の席を見る。

そこには幸奈が一生懸命にメッセージを打っている姿があった。


(.....違うのに。.....だけど.....もう終わりだよね。アハハ。逃がした私が悪いね)


(え?え?ちょっと待って意味が分からないんだが.....俺何かした?)


(私が悪いんだよね。うん。.....ゴメン。馬鹿とか言って。ゴメン)


(これって全部、土方先輩の事だよな?)


(.....まあね。.....まあそれならそれで、うん)


話に齟齬があり過ぎる気がするが。

どうなっているのだ。

考えながらも謎が謎を呼ぶだけで。


何も分からなかった。

纏める事が出来そうにないな.....。

何でこんなに齟齬があるんだ?

意味が分からん。


(お前も頑張れよ。まあそれはそうとして)


(.....そうだね。.....うん。どうでも良くなってきたけどね)


(オイオイ。そんな事言うなよ。やけくそなんて止めろ)


(.....うん.....まあそうだよね.....)


気分は下げ下げの様だ。

何でか分からない。

本当に分からないのだが.....うーん.....どうしたら良いのだろうか。

考えながら.....俺は顎に手を添える。

しかし答えは浮かばない。


マジに拗れている感じはしたが、だ。

とりま相談すっか。

友人に、だ。

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