第34 日目 落ち込んでいるのは、誰?

「お父さん、今日お爺ちゃんの家に行くなら置いてきたリップ持って帰ってきてよ!絶対、忘れないでね!!」

起き抜けリビングに来たなり、娘からそう言われた。なんて、言いっぷりなんだ。内心腹を立てていたが、


「おいおい、どこに置いてきたんだ? 」

「多分、ソファー? 」

「分かったよ。んとに、人使い荒いったらねぇな」


土曜日、俺は実家に行く用事があったがすっかりリップの事など忘れていた。翌日、


「お父さん!! リップ持って帰って来てって、昨日言ったよね?? 何で忘れてんの? ありえない。 私の唇がガビガビになってるのに、平気? もう、忘れないようにしてやるから」


そう言って、なにやらゴソゴソしてからこっちにやって来た。


「このマスクして行けば、お婆ちゃんがリップのことを教えてくれるよ。これ着けて行って! 」

「そんなもんか? 今度は、大丈夫だって。心配すんな」


こうして渡されたマスクを素直に着けて実家に向かうと、マスクの効果があったのか俺を見た母親がすぐさまリップを差し出した。


「掃除機してたらソファーの下に落ち込んでたのよ。ほらね。また、あの子に怒られちゃうわよ。ふふっ」


俺は家に帰るなり、娘を探して言ってやった。


「お前、 このマスクに“リップ”って書いたな!!

なんてヤツ! ほら、リップ。おばあちゃんが掃除機してて、見つけたらしい。これな、落ち込んでたんだってよ。普通なら、見つかりっこなかったぞ 」


その日の日記に、こう書いてあった。


「私は、おじいちゃんの家にリップを忘れました。取りに行ったお父さんが、リップを忘れないで持って帰れるようにマスクに“リップ”と書いてあげました。とても、怒られました。私のせいで、落ち込んでいたそうです。悪かったです。でも、誰が落ち込んでたのか分かりません。」


『優しいお父さんで良かったな!

多分、この日記を読んだらお父さんが落ち込むと思うぞ』




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イマドキJK娘と先生の交換日記を読んで親父呟く100日間 @michiseason

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