第7話「VS修道女アリアン」
アリアンと呼ばれる元公爵夫人の事を知った教皇猊下であるノシルさんと聖女認定された日野は驚きを隠せずにいた。
取り敢えず彼女が何かしでかすかもしれないという不安を払拭するべく聖殿に着いた。
因みに聖殿の後ろに聖教国がある。
創造の神であるヴィレイシア様が大聖堂にて祭られているらしい。
「ここか聖殿・・・この先に行けば聖教国に行けるんだな?」
「はい、すでに私の部下が話を付けているのでご心配なく」
ノシルさんがそう言って俺や日野は難無く聖殿を通る事が出来た。
教皇猊下と言う立場上、通さなければいけない。
お偉いさんの場合はその人自身の"
だが彼女の場合は厳しい検査さえも従順に従って行動するのでその点、聖教国の人間は生粋の真面目人間だと認識出来る。
「着きました。ここがレート聖教国です」
「あの大きい建物が・・・大聖堂・・・」
確か情報によれば例のターゲットは大聖堂で今、働いているらしい。
大聖堂の隣に木造建築の古い学校のような構造になっている孤児院では彼女が担当しているらしい。
「・・・なぁ、一旦大聖堂に――――」
「あっ、先に大聖堂に寄るので大丈夫ですよ?」
「(・・・マジか)そうか、んなら少し祈らせて貰ってもいいか?」
俺がそう尋ねるとノシルさんは頷いて
「私の知り合いが居るのでその人に話を通しておきますね」
「助かる」
そしてそのまま大聖堂へ赴き―――
「教皇猊下様!エビル様から許可下りました。」
「良いタイミングね、丁度エビル様の方へ赴きたかったから助かるわ」
「それと・・・教皇猊下様の下へ足を運ぶそうです」
聖騎士の一人が用意周到に許可を貰っておいたらしく、余計な手間が省けたらしい。
そのまま大聖堂へ足を運び―――
御年配の先輩修道女らしき人が両扉の前に立っていた。
修道女エビル・ヴェン
「ノシル様、お待ちしておりました」
「待たせてすいません、エビル先生。こちらが――――」
「聖女として召喚されました。キョウコです」
「ヴィレイシア様から言伝を貰っていたので把握しております。してこちらの御方は――――」
エビルさんは俺を見ると―――慌てて片膝を床につける。
ノシルが慌ててエビルさんを立たせて話を聞くと
「ヴィレイシア様からの言伝のついでに一言ありましてね。『私の使者がここへ赴く事があるので顔パスでお願いしますね』と。私は"天眼"と言う"鑑定眼"の上位を取得しているので相手を見れば分かるのですが・・・ましてや貴方だったとは」
「こ、こちらこそ宜しくお願いします」
挨拶を終えた後は早速エビルさんの先導の元、大聖堂の扉の奥へ入った。
元は"教会"と同じ類いなので真正面に創造神を模した像、その後ろに高価そうなステンドグラス。
銅像の斜め前に教壇で、周囲にはきっちりと幅の感覚を空けてある木製の横長椅子が置いてある。
「さて・・・祈ろうと思ったけど・・・出て来るの早くないですか?ヴィレイシア様」
俺がそう言うと、創造神像から――――ヴィレイシア様が出て来た。
「バレてしまいましたか。貴方をこの世界に送ってから数日ほど経ちましたが・・・やはり相変わらずで」
ヴィレイシア様が出て来て早々そう言った。
自分でも自覚はあるから否定はしない。
「あ、あの~」
「失礼、よくぞここまで戻って来ました。お疲れ様ですノシル」
「こちらこそ労いの言葉をありがとうございます。ヴィレイシア様」
取り敢えず当初の目的の二つは終えたんで――――
その場からどす黒いオーラを感じ
「ヴィレイシア様」
「貴方の裁量に任せますね」
創造神である彼女のその一言を貰い
「さて、やるか」
背後の両扉から40代らしき修道女がおかしな動きをしながら近づいて来た。
明らかに目が逝ってる。
なので俺は―――
修道女アリアン
「!!!!」
「ウォラッ!!!」
身体能力を上げる魔法を使い、高速で悪意のこもった瞳のその女―――ターゲットでもあるアリアンに蹴りを入れ込む。
「ノシルさん!聖騎士たちで出入口塞ぐよう指示を!エビルさんは外の様子がおかしければ自己行動で!」
「分かりました、貴方達!大楯を持って入り口付近を構えて塞いで!!」
「分かりました!裏口から出て外の様子を見て来ます!!」
修道女アリアンの攻撃をかわしつつ蹴りや殴りなどで反撃しながら
「日野!!!俺がこの女を構っている間に聖魔法を使って浄化を頼む!」
「分かったわ!!!」
日野は答えるように瞬時に聖魔法を―――アリアンに掛ける。
「私もエビルさんの下へ向かいます!貴方達は彼に従ってください!」
「「はっ!」」
ノシルさんがそう聖騎士たちに指示を出した後裏口を使って外の様子を見に行った。
「そろそろのタイミング――――今だッ!」
「聖魔法―――【
「ヴアアアアアアアアアアアアアアアァアァァァァッ!!!!」
俺が無理矢理体を反らし、そのタイミングで日野は魔法を使ってアリアンに反撃し――彼女の体から、悪魔が出て来た。
いや、もしくは魔族だろう。
上位魔族カレス
「キィッ!!!こんな屑共にやられるなんて!!!」
聖騎士たちや日野が驚く。
魔族が堂々と大聖堂のど真ん中に居るからだ。
「その姿と魔力・・・・上位の魔族か」
「くっ・・・流石にあの聖魔法の威力可笑し過ぎるッ・・・このぉ~!!!」
その格好が妖美な上位の女魔族の目の前に立ち
「ヴィレイシア様、後で修繕するんで―――魔法使います」
「!!!(い、いつの間に――――)」
ヴィレイシア様から貰ったあの"スキル"を使うか
「――――【"
「んなッ?!」
息を吸って吐くと同じにヴィレイシア様から貰ったスキル【掌握】を使ってみた。
するとその女は力が抜けたようにへたり込み
「あ、あれか、身体が・・・う、動かないっ」
「(全て"奪った"か・・・)さてと」
「ヒッ!?」
俺が一歩ずつ近づき、女魔族は俺に怯えながら必死に這いずって下がる。
もう一つ、俺が所持している一つ目のスキル・・・創造魔法を使ってみた。
「【
「ッ!!!!」
俺は創造魔法で特殊な奴隷の首輪を作り、その女魔族に無理矢理つける。
するとその女魔族は動かなくなった。
「ゴメンナサイゴメンナサイユルシテクダサイ」
一応決着がついたので聖騎士の一人に二人を呼び戻して貰い、他の二人の聖騎士は女魔族と身体を乗っ取られていたであろう修道女のアリアンを連れて孤児院の一室で待っていた。
「さてと・・・・暴れて欲しくないから拘束させて貰うぞ」
俺はそう言って魔封じの手錠を創造で創り、その女魔族の両腕に手錠を取り付けた。
「・・・・っ」
「私、アリアンさんを回復させておくね」
「おう、事情聞きたいから頼む」
そう話している間に二人が来たのを聖騎士たちが確認して扉を開ける。
「お疲れ様です。魔族が身体を乗っ取っていたとは本当ですか?」
「あぁ、しかも長時間乗っ取った所為で精神が相当参ったらしい。回復させておきながら目が覚めるのを待ってる」
「・・・まさかアリアンが魔族に体を乗っ取られていたとはねぇ」
エビルさんがそう言って女魔族の方を向いて睨む。
「!!!」
女魔族がそっぽを向いて怯えるのを見てやらなけりゃ良かったのにと心の底から思った。
「――――っ・・・・」
「お、目が覚めそうだな」
「――――ここは・・・孤児院・・・?」
俺は起きたばかりのアリアンさんに軽く説明をした。
「そんな事が・・・分かりました。向こうへ戻る際、私も同行してもよろしいでしょうか?」
「俺は構わん。日野は?」
「私も良いわよ、修行する手間が無くなっちゃったから話し合いをしておく必要があるけど・・・」
日野はそう言ってアリアンさんの背中を摩って落ち着かせていた。
その後、日野とエビルさんにその場を任せて俺は奴隷状態の女魔族を連れてノシルさんと大聖堂に戻った。
丁度そのタイミングでヴィレイシア様が来て
「貴方の考えている事は分かってます。私に相談しなくともあなたの判断で構いませんよ」
「そうですか、わかりました」
俺とノシルさんはヴィレイシア様に一礼し、女魔族――――カレスを肩に担いで孤児院の個室に戻った。
その日は一泊する事を決めて俺はカレスに魔封じのアイマスクを装備させてそのままベッドに入ってる事にした。
「さて、良い朝だな・・・・っと」
「!!!!!!!!」
俺はそのまま立って寝ているであろうカレスを奴隷化の首輪を弄って起こした。
因みに
「おはようございます」
「あっ、おはようございます・・・・その
「気にする事は無いですよ、俺流の調教なんで」
「そ、そうですか」
孤児院では暫くエビルさんとアリアンさんが動かしていた。
「んで・・・体の調子はどうです?アリアンさん」
「ぐっすり眠れたので快調ですっ」
「おはよぉ~」
後から日野が起きて来た事で早速朝ご飯を食べる事にした。
因みにあの後、エビルさんは別件で留守にしていてノシルさんは今日で丁度早朝に会議があるとかで早起きしてそのまま支度して出たらしい。
「―――でその後は完全に記憶が?」
「はい、あの日以来完全に覚えていないので。それと・・・この後エビルさんが戻って来る手筈なのでその時に孤児院を任せて貰います」
記憶が曖昧な事もありそこら辺は気にする事は無いなと思って朝食を取る。
「さてと、帰りも大変だなー(棒)」
俺はそう言ってご飯を食べ終えた。
因みに孤児院は今現在引き取っている子供達はいつも通りの時間帯に起こしてからご飯を食べさせるらしいので結構静かである。
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