第6話「愛しき友との再会」

商業ギルド総括者リグレ・ルースア

「あたしゃあそこの大きな建造物のハンマーとスパナが目印である商業ギルドのギルマスのリグレ・ルースアってんだ、宜しくなボウズ」


「よろしくお願いします。リグレさん」


挨拶を軽く済ませた俺はリグレさんにこういった一軒家が欲しいと言う事を伝えた。


「ふ~ん・・・大きすぎず逆に小さすぎないそこらの普通の貴族が好む一軒家だね。こういった家が欲しいのかい?」

「えぇ。あまり大きすぎると掃除も大変ですしメイドとか執事とか雇うにせよそこまで有事的な余裕は無いんで」


リグレさんが何度も無言で頷き、何か決めたような眼付きでソファーから立ち


「そいじゃ、住処はあれで本契約として・・・土地はどうだい?」

「・・・土地もそうだな・・・畑とか付いている庭が欲しいからこんぐらいの広さを確保したいな」


俺はリグレさんから見取り図に載っている家を参考に仮の印としてどういった広さかやってみた。


「ふむ、成程ねぇ~・・・まぁそれ位の広さならこの値段でどうだい?」

「銅貨が300枚で銀貨が30枚で金貨が3枚か・・・・」


因みに支払える硬貨は値が高ければ高い程その硬貨の必要枚数分となる。


例えば――――


・鉄貨は1枚で1円。

※だが使用するのは大体一部の領の村民のみ。

・銅貨は1枚で日本円換算で10円、それらが10枚で銀貨1枚。

・その銀貨は10枚で金貨1枚でその金貨が10枚で大銀貨一枚。

・金貨100枚で白金貨一枚。

・白金貨10枚で黒銀貨1枚である。

・白金貨100枚で大白金貨1枚相当。


だが白金貨以上の硬貨の場合は使用するのは王家同士の取引のみとなるので、めったな事が無い限りはあまり目にする事は無いのだ。


なので―――


「金貨と銀貨は手持ち少ないから銅貨300枚・・・っと」

「毎度アリ。それと建設に関してはあたしの方から直接凄腕を用意して建てさせておくから完成するまでの間はウチの子の息子が経営してるあの宿屋で暫く過ごしてな」


冒険者ギルドから数件の建物の先にある食事兼宿を提供している立派な建物を指している。


ギルドに用が無い際はその宿屋に入って食事をするか借りている部屋で1日過ごすかぐらいしか無い。


自分の場合は一気に冒険者ランクがC直前にまで上がって行った為、試験と特殊依頼を受けるまで暫く手は空いている。


「―――と、リグレさん。その特別依頼の件も受けて良いですか?」

「あぁ、いいよ。その前に腕利きの良い連中に先に頼んでおくから少し待っててな」


リグレさんがそう言うと席を立ってその場から去る。


俺はリリさんに進級する為の一つの特別依頼を聞いてみた。


「今回の特別依頼はですねリグレさんが御贔屓にしている隣国のお偉いさんが居まして・・・その方を隣国へ護衛する依頼を受けて欲しいんです」

「・・・もしかして」


リリは頷く。


そう、例の昨日のリリさんが関係する関連のものだ。


「実を言うと・・・その隣国のお偉いさんは――――教皇猊下なんです。もうそろそろこのギルドに着くはずなんですが・・・」

「御免下さい」


リリさんと話している途中に、背後から女性二人が扉を開けて入って来た。


女性・・・・二人?


「!!!もっ・・・もしかして・・・レン君!?」

「日野・・・おまっ、何で此処に?!」


少し騒ぎが起こりそうだったのでギルマスの部屋を借りて話の続きをする事にした。


「ほぉ~お前達二人が・・・」


俺自身が実は神達にしか入れる事が出来ない特別な場所に居た事。


今居る世界とは違って数億年程の数えきれない位の年月の間に修行をした事。


そして――――


「自分がこの世界で平穏に暮らす為―――です・・・かね」

「そして私や他の何人かもグロリアス王国から召喚・・・正しくは転移魔法でこっちに来させられたんです」


そして魔王の配下達が真偽不明の噂である魔神の類による復活?の為に襲撃して来たりするらしい。


未確定な情報だが、その対策として各国の代表騎士達がグロリアスに集まっているんだとか。


「そしてお前ひのは聖女として教国にノシル教皇猊下と護衛を連れてここに来たのか」

「そうなの。でも途中で魔物に襲われたり盗賊の奇襲にあったりで疲弊し切ってるから今日1日休んで明日出発する予定なのよ」


成程、それじゃ・・・・


「ノシル教皇猊下、依頼受けさせてください」

「分かりました。特別依頼としてご同行お願いします。」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


特別依頼

内容:教皇猊下ノシル・レートと聖女キョウコ・ヒノの護衛。

期限:終了期間は聖女の目的達成まで。

【依頼了承】


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「それじゃあたしは商業ギルドに戻るんでの。体にきぃつけや、大聖女様」

「はい。リグレ御婆様もお体にお気を付け下さいませ」


二人がそう話しをし終えた後にリグレさんが俺の所に来て


「アンタが依頼を終えて戻って来る頃にゃ家具含めてご要望通りの外装と内装になってるからね。期待しな」

「分かった。それまでに特別依頼頑張るよ」


話を終えて宿に行こうとなった時に――――


護衛騎士ドルド

「―――と言う事で聖女様と教皇猊下様と同じこの馬車の中でお休みください」


護衛騎士のオッサンがそう言って矢鱈やたらと王族御用達の馬車の中で休むように言われた。


「えーっと・・・良いんですか?俺まで中で休んでも」

「勿論です。何しろ聖女様のご要望ですので」


日野の頼みなら仕方ないな・・・・と思った俺は


「分かりました。何かあった場合は直ぐ駆け付けるんで」

「宜しくお願いします」


そしてその日一日馬車の中で過ごす事となった。


因みに・・・・馬車の中は魔法の拡張効果により結構広かった。


流石、王族御用達。


「――――久しぶりに目が覚めたな・・・」

「おはよ~」


朝早く目が覚めてしまった。


俺が早く起きたと同時に日野も起きたらしい。

ちょっと色っぽいシースルーのパジャマの格好が目立ってるじゃないか・・・


「ほれ、外套。そのまま外に出たらかえって目立つぞ」

「あっ・・・ありがと」


今現在真っ暗になる前に森を出て草原にまで出たが・・・もちろん魔物は居ない訳無いので特殊な魔法をその日、寝る前に創った・・・


「中に入ってろ、結界の外の様子見て来るから」

「ん、分かった」


俺が何かやったのを察したのか日野はそのまま部屋の中に戻った。

自分はというと―――


「うわぁ・・・自分が言うのもなんだが・・・結構引っ掛かったな」


俺の作った結界は防衛機能が付いている。


その防衛機能が一夜明けるまで動いた結果―――馬車の周りの辺りにまで倒された魔

物が囲う様に倒れて行った。


「魔力吸収は流石にやり過ぎたか・・・護衛の人達呼んで来よ」


結界の中に戻って野宿をしていた護衛の騎士達を起して結界の外に出した。


「うっわぁ~すげぇ~」

「流石に倒され過ぎじゃね?」


等々。護衛騎士たちはそう言いつつ綺麗に魔物達を解体し始めた。

売れない魔物の一部は土に埋めて聖魔法を掛けておけばアンデット化を防ぐ事が出来るのだ。


「―――と、こんなもんだな」

「リーダー、どうする?この多くの魔物の肉」


護衛騎士達のリーダーでもあるドルドの指示に従って

他の騎士達も一斉に処理し始める。


「・・・早朝に得する事があって助かるわ」

「そーだなー」

日野がそう言うと俺は生半可な返事で返す。


「ステーキ美味しい~向こうに戻ったら店に寄るか」

「おう、そうだな」


騎士達がそう言いながら和んでいる。


「さてと・・・」

「今から結界外に居る魔物を討伐か?」


ドルドがそう言う。


俺は否定して


「今回・・・俺の目的は三つあってな、一つはランクの昇格。もう一つが・・・二人の護衛。最後に―――教会に拠点を構えてちょっとした巻き込まれ事件の真犯人をとっ捕まえる。その3つなんだ」

「マジか、それじゃあ」


俺が真剣な顔で


「少し急ごう・・・一人御者頼む」


そして準備を終えたのか、教皇猊下が呼びに来たので早速、出発し始めた。


「リリさんっていうあの受付の人が狙われてる?!」

「その話、詳しく」


俺が事前に伝え、詳しく二人に話した。


「―――まさかあの人が長年リリさんを苦しめてたなんて・・・」

「俺の考えだと・・・今すぐ教会にまで急ぎ足で行かないとその人何かやらかしそうなんだ」


そう含むような言い方で言い、警戒心を上げさせた。


「その人を捕まえたらまずアスト王国にて法に則って裁いて貰う」

「それじゃ・・・わたしとノシルさんから離れないでね?」


俺は大丈夫だと言い


「万が一って事も無ぇんだ。心配すんな」


俺はそう言って黒チョッキを着て仕込み刀銃を腰の耐刃ポーチの中にセットした。

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