第3話「Eランク冒険者との遭遇!」

下界、つまり異世界デュロンダルに降り立った俺は早速行動すべく資金調達の為の魔物狩りや神界から資料にあった薬草や食料などを獲っていく。


「少し多すぎたな・・・ん?」


遠くから男女の言い争う声がした。


俺は神転移テレポートを使い、声のする方へ近づいた。


剣士ライラック

「くっそこんな時にランクAの魔物が現れるなんて」


魔法使いウィノー

「リリさんはあたしの魔法で守ってるからさっさと片付けて!」


「分かってるよ!・・・このっ!」


豚の顔をした魔物に対して喰らい付き、冒険者の持っている剣で次々と切りつける。


だがその冒険者を嘲笑あざわらうかのようにその豚の魔物は遠くから見ている俺にもわかる程、皮膚が異常に固く逆に冒険者の持っている剣の方が刃こぼれしていた。


リリ・シーク

「【豚戦士オークウォリアー】の特異種は皮膚が固いので銅剣ブロンズソードでは太刀打ち出来ません!一旦みんなで引き下がるべきです!」


職員のような格好をした女性がそう言って逃げるように最速を促すが

冒険者の男は逃げ切るタイミングを掴めずに魔物の猛攻を受け流し続けていた。


「(ありゃ~ヤバいな・・・よし)」


俺は傍に落ちていた折れたての木の枝に【支援:火力+10】と【支援:頑丈さ+10】を付与し――――その魔物の腹を目掛けて思いっきり投げた。


「ブゴッ?!」

「なっ何だ今の?!」


投げた枝は神速の如く魔物の腹の上から片腕に掛けて片腕を吹き飛ばした。

咄嗟に片腕で防いだその魔物は失った腕を見て興奮気味にその冒険者に襲い掛かる。


「プギィィィィッ!!!」

「ちょっ、明らかに興奮状態じゃんどうなってんの?!」

「くそッさらに猛攻さが増してきやがった!!スマン盾て防ぐから支援魔法を掛けてくれッ!!!」


冒険者の女は頷き支援魔法でサポートする。


興奮状態の魔物の攻撃を防ぎながらもその冒険者は片手の盾でその攻撃を防ぐ。


「あと2、3回程度で盾が壊れちゃいます!回避!回避をしながら攻撃に専念を―――」


その女性が言いかけた所で俺は冒険者の男に加勢し、片手で装備している杖を使ってガードする。


「大丈夫かい?」

「あっ、あぁ。アンタは一体・・・・」

魔物が手に持っている斧を使って圧している―――が、俺はびくともせずに平然と杖でガードしている。

その魔物の攻撃は単調の様だ。


「自己紹介は後にして・・・君、そちらの魔法使いの子の結界バリアの中に入ってくれるかい?」

「えっ、でも――――わかった!」


冒険者の男は俺の顔を見て察したのか、すぐに後ろに引き下がる。


「どっ、どうしたの?」

「いや・・・リリさん、冒険者のカンってやつは―――この場じゃ敏感らしい」

「えっ?」


俺は瞬時にその魔物の腹に蹴りを入れて数メートルほど吹き飛ばす。


「なぁ、あの魔物って他と比べてヤバイ奴なんだろ?個体名教えてくれないか?」

「・・・えっ、あっはい!Aランク冒険者5人、Sランク冒険者3人でやっと倒せる魔物でAランクの【豚帝オークロード】と言う【豚戦士オークウォリアー】の特異種です!皮膚が異常に硬いうえに魔法系でも効かないAランクに位置する魔物なんです!」


豚帝オークロードと言う魔物が起き上がって再び突進してくるが、俺にはあまりびくともせず、何度も手持ちの斧を振りかざすが、俺の杖には一切刃が入らない。


俺は女性に礼を言ってから豚帝オークロードをはじき返し、距離を取る。


「さてと・・・【風魔法:鎌切りサイス・カッティング】。」

「プギョォォォォォオオンッ!?」

風魔法を使って手に持っている杖に風で作った刃をそのまま豚帝オークロードの首と残った片腕、両脚を切断し、倒した。


「まっ・・・マジかよ」

「噓でしょ・・・?!」

「あの特異種の豚帝オークロードを倒すなんて・・・」


背後に居た3人は俺がAランクの魔物を倒した事に驚きを隠せずにいた。


数分経って―――――


「助けていただきありがとうございます。冒険者ギルドの受付をしていますリリ・シークと申します」

「あたしはウィノーで、こっちが相方の―――」

「剣士をしている冒険者のライラックだ。宜しく」

「俺はレン。宜しくな」


早速馬車の下へ行くが―――魔物との戦闘で車輪が片方壊れたらしい。


それに引いていた馬も魔物との遭遇に逃がしてしまったらしい。


「成程・・・んなら俺の移動用の魔法で丸ごと移動するか。」


俺がそう言うと3人は驚き


「まさか・・・転移魔法使えるのか?!」

「魔法使いのアタシさえ覚えようにも魔力の消費が激しいのに?!」

「レンさんは一体・・・何者なんですか?」


俺は3人を落ち着かせて


「事情が事情でな。それより移動先は城門の前で良いか?」

「えっ、えぇお願いします」


3人の許可を貰って無詠唱で転移魔法を使い、城門前に移動した。


番人騎士ドラン

「ウワァッ?!なっなんだッ・・・・ってリリさん達じゃないか一体どうした?」


騎士の格好をした男が聞きに来た。


3人は魔物との遭遇で馬が行方不明になったり車輪が片方壊れたりしたという説明と突然出て来たAランクの魔物に遭遇したが旅人の俺に助けられた事を一言一句説明した。


「――――ふむ、成程・・・ん?こいつは人為的なモノだな」

「どっ、どういう事ですか?!ドランさん!」


その騎士はどうやら鑑定スキル持ちらしく、事細かく調べたら「人の手による車輪の破損」と言う事が分かったと言う。


「詳しい話はまたいずれ話すとして・・・冒険者の二人とリリさんを助けてくれてありがとうな」

「気にしないでくれ。俺も丁度こういった所に冒険者になりに来たんだ」

「そうか、あー優遇する事は出来ねぇが―――」

「大丈夫だよ。ほい、銅貨10枚」


騎士は俺から銅貨を受け取るとすんなりと通してくれた。


因みに事前に各国の入場料を調べたら今居るアスト王国の王都では他とは違って国王が人徳者らしく入城料を均一化にし銅貨10枚で入れるようにしたらしい。


「俺等は先に一旦宿に戻るからリリさんに冒険者ギルドに案内してもらいな」

「分かった。リリさん、宜しく頼む」

「はいっ!お礼に案内致します!」


リリさんはそう言って俺に冒険者ギルドを案内して貰った。


意外と宿屋を挟んだ2件の家の先にあったのでわかり易かった。


冒険者ギルドの中に入り、彼女がカウンターの中に入ってすぐに対応をしてくれた。


「それでは改めまして・・・ようこそ、冒険者ギルドへ!」


彼女がそう笑顔で言う。


「―――と言う訳で早速冒険者カードを作りますね!」


リリさんがその場を離れると、他の冒険者が近づいて来て


戦士ガドール

「おうおうおう!テメェのような素人が来るような場所じゃねぇぞ?!」


「(職業は・・・戦士で装備は大剣か)」


俺がその男を調べると男は無視されたと勘違いしたのか途端に喧嘩腰になり


「このガドール様を無視するとは良い度胸じゃねぇか・・・一発ぶん殴って解らせてやるッ!!!」

「・・・・はぁ」


ガドールと言うその男は拳で殴りかかって来るが―――俺は咄嗟に避けてから足を引っかけてその男を転ばせる。


「んなッ?!――――糞がぁっ!!!」


男は再び殴りかかって来るが―――

中年の白髭を生やした男が来て


ギルドマスターデトス

「そこまでだ!ガドール!」


「ギっギルマスッ!?」


どうやらその中年男性はギルマスらしい・・・その男を見ると―――


「おっと、余り警戒しないでくれ。私はただこのバカを止めに来たんでな」

「そうなのか」


俺がそう言うとリリさんがは息を切らしながら戻って来て


「だっ・・・大丈夫ですかっレンさん?!」

「あぁ大丈夫・・・カード出来た?」


彼女は頷き、ギルド会員のカードを差し出す。


俺はそれを受け取り、ギルマスに


「ギルドってのは性格が荒々しい人も居るのか」

「スマンな、どいつもこいつも新人が増えないのはこのバカの所為でな」

「いっ痛てぇよギルマス!」


ギルマスがそう言って男の耳を引っ張りながら中へすっこんで行った。


一部始終を見ていた冒険者達が見て


冒険者の男その①

「やるじゃねーかルーキー!」


冒険者の男その②

「俺等もアイツに扱き使われてたからな!ルーキーのお陰でスッキリしたぞ!」


他の冒険者達がそう言って俺に感謝をする。


リリが小声で


「ギルドには多少強い人も採用しているんですが・・・ガドールさんがギルドに入ってからは色々やりたい放題で・・・ギルマスのデトスさんが忙しい時に限って扱き使うんでみんなイライラしてたんです。」

「そうなのか」


彼女は頷き


「えぇ。だからみんな感謝してるんですよ」


彼女にそう言われた俺は納得し、早速腰につけてる収納魔法のポーチを取って依頼の紙を何枚か取って彼女に差し出した。

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