第2話「異世界召喚―京子視点―」

※ヒロイン視点です。


日野 京子

「・・・え?今なんて?」


「錬が・・・行方不明なんだ」


私は男女4人で親とも仲が良いグループを形成していた。


その内のひと家庭である日野ひの家は昔から錬君の家庭である信楽しがらき家と代々良き関係を持っていた。


「これもあのバカの所為だ・・・クソッ」


まこと君がそういって机を思いっきりグーで叩く。


今現在、放課後で少し居残りしていたのだ。


北野 玲子

「南雲、落ち着きな。確かに突き放したあの女が悪いけどあの男の前じゃアンタ・・・手も足も出ないっしょ」


「はぁ・・・・、スマン玲子」


真君を落ち着かせたこの子こそが仲のいい家族グループの内のひと家庭の娘である北野 玲子きたの れいこ


私はいつもレイちゃんと呼び、家族同士で仲が良いのだ。


「それより、消えた時に何か証拠とかは残していなかった?」

「そう言えばそれあたしも気になる」


レイちゃんがそう言って聞き出してきたので私も聞いてみる事にした。


「その事なんだがな・・・アイツ、俺が勧めたゲームを片付けずにそのまんまにしてたみたいなんだ」


真君が行ったそのゲームとは神ゲー・・・とまではいかないけどマニアの間では太鼓判を押される程でソコソコ人気であるRPGゲームだ。


「それじゃあもしかして――――」


私が言いかけた途端――――


勝浦 堅三

「お、何だお前等まだ居たのか」

見回りをしに先生が扉を開けて来ていた。


「先生・・・あ、もうこんな時間か。続きは明日にしようぜ」

「っとちょっと待って。・・・っと先生、これお願いします」


私は手に持っていたものを仕上げて先生に提出した。


「おっ、やっと課題終えたか、今日はもう遅いからさっさと帰れよ~」

「「「は~い」」」


私達がそう言って鞄を持って帰ろうとした瞬間――――


「うぉッ?!眩しッ!!」

「な、ナニよコレ・・・・ってキャーッ」


謎の魔法陣的なものが突然現れてまばゆい光に包まれて―――

気が付いた時には別の知らない場所に来ていた。


騎士長リンド

「国王陛下!転移魔法成功いたしました!」


見るからに分厚そうな英国風の甲冑かっちゅうを着た威厳の高そうな男の騎士の人がそう言って白髪の男性に報告をした。


どうやら私は仲良しメンバーと先生と・・・錬君をないがしろにした屑カップルが共に見知らぬ場所へ連れて来られたようだ。


ディーノ国王陛下

「うむ。貴殿等を招いたのは他でも無い、国を脅かす魔王の反乱軍を倒して欲しいのだ」


国王様らしいその人はそう言って私達に面と向かって頭を下げた。


私達よりも先に先生が立って


「いっいえ、国王様とやらお偉い方が私達に頭を下げないで下さい」

「むっ・・・貴方は・・・」


先生は私達を立たせてから咳払いをして


「申し遅れた。私は彼等の教師をしていまして・・・堅三けんぞうと申します。この場所について教えて貰ってもよろしいでしょうか?その後に生徒ら5人を紹介しやすいので」


先生はそう言うと国王様が頷き


「ふむ・・・一理ある。失敬した、この世界はデュロンダル。貴殿等が住まう場所とは別で、魔法やスキル、アビリティなどが使える世界だ。そんな世界の一つの大陸の我が国であるグロリアス王国なのだ。そしてグロリアス王国の国王がこの私、ディーノ・グロリアス三世だ。よろしく頼む」


私や真君、レイちゃんは先生に促されて自己紹介を済ませる。


が、残る二人だけ国王様に対して偉そうな態度を取って来た。


西風 楓

「ねぇ~あたし達ちゃんと元の世界に帰れるんですかぁ~?」


「そーだよ~オッサンどうしたら帰れるんだよ」


二人がそんな失礼な態度を取り、国王様は綺麗で美しい格好をしたその女性から二人でボソボソと話をしていた。


「コラッ楓さん!盗真君!相手は私達よりも偉い方なんだぞ!何だその態度は!」


そんな二人を先生は叱るが、二人は全く以て耳を貸さない。


「――――ふむ、どうやらここには勇者の資格は無いが・・・聖女ならいるようだな」

「「「!!!」」」


周囲に居る全員が驚き、何かボソボソと話し始めた。


国王様が鎮まるようにとその場で言い、周囲の人達は皆落ち着いた。


「その前に・・・お前達、そこの二人を捕らえて牢に入れよ!」

「はっ!」

「ちょっと?!」

「おっ、おいなんだよ、離せよっ!オイ!!!」

国王様の指示により騎士達は皆、屑カップルだけを捕まえてその場を後にした。

ひと段落付き、別室にて国王様からのお詫びの謝罪を貰った。


「先生とやら、申し訳無い。当面のいざこざが集結して無事和平を結んだ後に返す予定となっているので・・・」

「いえ、あの子等もこれで頭を冷やしてくれると良いんですが・・・」


レイちゃんが手を挙げて


「あの・・・我々にも魔法が使えると言う事は・・・どうやったら確認できますか?」


国王様が頷き


「うむ、自身にしか見えないんだが・・・"ステータス閲覧えつらん"と言えば自分自身の能力が見られるぞ」


国王様が言った通りに私達もやってみると―――本当にステータス画面っぽいのが出て来た。


そして・・・・私の職業には【聖女】の二文字が。


「おっ、俺は火魔法と雷魔法が得意なんだな・・・どれどれ・・・職業が【魔導師ウィザード】?」

「私の得意とする魔法の属性は・・・水と氷ね。職業が【錬金師アルケミスト】ね」

「私はそうだな・・・得意とするのは土と無の属性魔法と・・・職業が【守護騎士ガーディアン】だな」


私以外が皆そう次々と答えていく。

私は意を決して


「私の得意とする属性魔法は・・・"全部"です。そして職業が【聖女せいじょ】です」

「ふむ、やはりか。現聖女様の仰っていた通りだな」


国王様がそう言うと隣に居たその女性が頭を下げた。


ノシル教皇猊下

「今は帝国と王国の国境間に挟まれている聖殿を管理している教皇猊下をしておりますノシル・レートと申します。」


ノシル様が言うには私達が来る事と、私達の中に世界デュロンダルへ災いと崩壊を招く者が二名。


そして―――この世界に転生者として私達と同年代の男を送ったとの事をこの異世界を管理する神々から聞いたのだそう。


「先ずその方と合うのは遠くはないですが・・・今は自分達の力を強くする為に王国で鍛えて下さい。それと・・・聖女であるキョウコ様は私と一緒に聖殿にて聖女としての特訓をします」


そして話し合いをした結果―――先生が納得し、私とレイちゃん達三人は別の道となった。


「ご安心ください。時が来れば何れ皆さんが合流出来る時が来ると思います。」

「・・・分かりました。それまでにアタシ・・・頑張ります。自分自身強くなってみせます!」


私はそうキッパリと言い切って護衛の神官達やノシル様がうんうんと納得した。


「―――それじゃあ魔法に関する事、全てイチから教えて下さい!」

「分かりました。期間は先程の3人の方々と合流するまでの1ヶ月程です。それまでに全てを詰め込みましょう!」


その日からあたしは後悔しない様に一生懸命全属性の魔法の取得や魔力を循環させたり、魔力を扱った特訓などを色んな講師の人達に教えて貰いながら特訓を投げ出す事無く続けた。


男神官

「凄いな・・・普通の人であれば途中で投げ出すのに」


女神官

「それ程に我等が一人の神、オーディス様が判断なさった結果でしょうね・・・」


次第に他の新案の人達から教師をして貰い、世界に関する事やその他諸々・・・忘れないようにすべて頭の中に叩き込んだ。


そして――――


「聖女らしい修行・・・ですか?」

「えぇ。我々は年に数十回程全ての村を見回って無料診断をし、見返りとして食料を得たり、話し相手となって相手の気持ちを和らいだりしながらやっていきます」


その後は注意事項などもしっかり聞いて行動を移す事にした。


「それじゃ・・・村に出発致しましょうか」

「はい!師匠!」


数人程の腕の良い戦闘修道女バトルシスターと呼ばれている職業の女性達の構成を練り込んで出発した。


この先々苦労はするけど・・・彼に会う為ならいとわない。

そう思いながら前へ進む事にした。

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