第1話「いざ特訓!」

「なにが始まるんだ?」

判決の神とも呼ばれているオーディス様は無数のトランプの柄のようなカードを重ねて俺の前に差し出した。


「我等の母君である創造神ヴィレイシア様は貴方を死なせてしまったお詫びとして数億以上もあるスキルを3つ貴方に自由に選ばせる権利を差し出したのです」

判決の神オーディスはそう言って懐から一枚のトランプ柄のカードを差し出した。


「これは?」

「錬さんの為にあの御方おかた自ら差し出したスキル・・・固有技能ユニークスキルのうちの一つ"掌握しょうあく"ですな」


そう言って何か呪文らしき文言を言う。


すると、オーディスの手にあるそのカードが光り輝き始めて――――

俺の体の中に入った。


そして一瞬にして――――


「ッ!!!」

「スキルを覚える者は大抵そのような動作にはなるからの」

オーディスはそう言って指を鳴らし、お茶を出して飲み始める。


「時間は沢山あります故、下界に降りるまでの間は色々貴方に教える事がありますが・・・・まずは常に発動する系統の常時能力パッシブアビリティを選んで下され」

「パッシブだと"スキル"以外の別の言い方があるんだな」

俺がそう言うとオーディスは一息ついて頷き


「そうですな・・・元々スキル自体は常時発動系と元から備わっている所有固定・・所謂いわゆる固有系、この二つを我々神々は総括して"スキル"と呼ばせて頂いたのです。」


オーディス様は目を細める。


「じゃが・・・・」

「?」


オーディスはさらに懐からおせんべいを取り出して一つ俺に差し出してくれたので食べる事にした。


「神々の者達以外の種族の場合は・・・考えが絡まってしまったが故に分かり易く"常時能力パッシブアビリティ"と"固有技能ユニークスキル"と別けてしまっての・・・じゃから人間に合わせて儂らのような一部の神々もそう呼ぶ様にしたんじゃよ」

「成程・・・あっ、決まりました」


俺はそう言って常時能力パッシブアビリティ3枚を手元に寄せて残りはオーディスに返した。

俺の選んだ3枚を見てオーディスは小さく笑い


「その3つを選んだか、良いのか?もう一つ選ぶ事が出来るぞ?」


俺は首を横に振り

「いや、一つは既に貰ったやつだけで良いと思ったから3つまでにするよ」


俺のその答えにオーディスはうんうんと笑顔で頷いた。


「次はパッシブとユニークの使い分けじゃが―――」

「あっ、そこは大丈夫。自分のやり方で体に覚えさせるよ」


俺はそう言ってオーディスからスキルとアビリティを上手くこなせる為のメニュー表を貰い、修行する事になった。


「(まずはステータスを見ずに一通りの修行をやるか)」

そう考えた俺は―――今いる空間の中で約1億年の分の間にこなしていった。


一つは魔力強化、もう一つは魔力操作。

この二つを先にやらなければどんなに膨大な魔力を持っても発動しようと体に負担を掛けてしまう事があるらしく、こうして足を組んで座禅をする形でやってみた。


最初の数十年間はまだまだ成長途中の為、上手くいかず、弾け飛ぶような感覚を何度も引き起こし、気絶しかけた。


「・・・・スゥ――――――フゥ―――――ッ。」


途中から約500年間かけてマスターし、次は取得した常時能力パッシブアビリティの3つを9000年程上手く使いこなせるように頑張ってやってみた。


「――――よし、これで取得した3つのアビリティを使いこなせたぞ・・・」

「頑張っているようですね、錬さん」


時の流れを余り詠まない為、創造神であるヴィレイシアさんが近くに居る事を気付かなかった。

今現在選んだ3つの常時能力パッシブアビリティを上手く使いこなせたと彼女に話した。


「――――って事で後は固有技能ユニークアビリティの"掌握"何だけど・・・・一つ注意する事ありますか?」

俺がそう言うと、ヴィレイシア様が頷き


「そうですね、特に貴方であるからこそあまり意味は無いのですが・・・"掌握"は本来、王族などの国と一部の陸の区間を治める人間のみに備わっているんですが」


彼女はそう言ってiPadアイパットなる超薄型の機械を取り出して実例を紹介してくれた。


「そんな王族や一般の人間が使う場合は"使用後の所持数"制限が設けられています」


実例であるので分かり易く言うと―――

"掌握"持ちの一介の冒険者が相手のスキルをステータス表示を視て一部のみを"奪う"。

そうした場合、元々所持していた相手はそのスキルを"奪われた"為、口や手の動作を起しても発動せず無反応。

つまり奪われた相手は"スキル無所持者"である為に、そこらの一般人扱いとなる。


「そして"掌握"の持ち主ですが――――」


本来所持できるスキル数は【掌握】を除き、生まれてから数十年以上経ってもランダムで勝手に保持数が決まる。


「つまり、それ以上持ってしまえば場合によっては体に異変が起きて挙句の果てにアレルギー反応を起こして死亡する場合があるんです」

「・・・ん?って事は俺の場合は―――」


彼女は苦笑いし、

「恐らくは、無制限。保持数の限界値は無いと思います」


そう言われて、今までの数千年間を思い出した。


「定期的に真面目に取り組んでやった修行の影響か」

俺がそう言うと彼女は頷く。


「しかもオマケですが・・・今居るこの場所は神界と異世界との間、"次元の狭間"である為、貴方の体は徐々にこの場で馴染んでいき――――我々と同じ神格を持っています。そうですね―――錬さんの場合は現人神の使者と言う感じですね。あっ、私は創造神でもあり"現人神"であるので言わば私の"秘書"の様なものですよ」


キッパリと言い切る彼女に俺は驚きを隠せず

「それじゃあれか、俺の今の肉体・・・霊体で良いのかな?んでその霊体が天使以上か"同等の立場"って事?」


俺がそう言うとオーディスが笑いながら来て

「錬さんの場合は長年修行をしてきた影響で神格化してしまったんじゃよ。それも上位天使と同じ位置でな」


オーディスのその答えに俺は納得し


「それじゃあ何度も【掌握】を使っても体への負担が一切ないのか」


取り敢えず自分でも多めに得ていても使うものを最小限に活用すると決めて―――【掌握】を使って得た魔法や技などを使って残りの数億年程修行に徹した。

そして――――


「準備は出来ていますか?」

「勿論」


俺はそう言って現世門ゲートを通った―――。

一人の男が去った後―――、


「オーディス、貴方の信者である教会の人間に重大な事を伝えて下さい」

「畏まりました。我等が母君。」

オーディスはそう言って一礼し、別の部屋へ行った。

一人残った創造神ヴィレイシアはその場から去って行った。


――どうか、彼に良き幸在らん事を――

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