THE NEW WORLD~一人の全知全能の魔導師~

ユウタ

序章【始の章】

第0話「新たなる人生」

人とは善と悪の2つを兼ね備えている。


善は人の為に人に尽くす事、悪は人を害し人の全てを奪う事。


だがしかし、世の中ではいつも―――


加我 盗真

「オラッ!どうしたよ雑魚ッ」


信楽 錬

「――――ッ!」


"力"を持つ者が常に上なのだ。


そう――――俺はただ単にとあるお偉いさんの息子に虐められていた。


俺の全てを奪って。


「チッ、これじゃあ足しにもなんねぇや・・・オラッ」

「ッ!!!」


ヤツはそう吐き捨てて俺に唾を吐き、その場を去る。


体育館裏って言うのは大体告白か友人同士のコミュニケーションの場でもあるが――喧嘩や虐めをする場でもある。


そんな場所に無理やり連れて来られた俺は殴られたり蹴られたり...eto

そんな俺に居場所はなくなった。


自分が"居たい"という場所が―――今の俺の人生の一つに過ぎない。


南雲 真

「やっぱり・・・・今日も?」


錬 母

「えぇ、説得しているんだけど・・・ご飯は食べてくれるんだけどやっぱり出て来てはくれないみたいで」


「・・・・・」


あの日から1週間以上も経ち、完全に引き籠りになった。

あの日以来幼馴染みでもあるかえでとも完全に連絡を絶った。

あの時、俺に対して無言で突き放したのだ。

彼女のあの目が今でも弱い自分を見下すように蔑んでいる。

そんな彼女に俺は少しの苛立ちと罵倒を小言で言いながらもゲームをしている。


唯一俺自身の心を安らかにさせてくれるのはオンラインゲームである【THE NEWニュー WORLDワールド】、通称【TNW】と呼ばれているこのゲームは人一人の特殊メイクだったり、自分好みにアバターを作れるといった自由度の高いゲームだ。


因みに10代から人気の幅が広いゲームでもある。


次の日、俺はいつも通りにゲームをやる準備をしていた。

心が壊れた俺に振り向く人なんていないし、それなら死ぬまでこのゲームTNWをやり続けようとまで思うからだ。


「・・・・今日はここまでだな。接続終了ログアウトしよう」


今終えた時間帯は昼だがいつも通りパソコンから離れてご飯も食べ終えて歯も磨いた俺はベットに潜り込み、そのまま寝る。


―――このまま新しい人生を歩めるなら、そんな世界に生まれ変わりたかった。


―――分かりました。どうかこの地に新たに安らげる生活を―――


「・・・?(幻聴か?遂に俺にも死期が来たか・・・)」


深く眠りにつこう――――としたが、まばゆい光に充てられて目を覚ました。


「・・・・っ!(ど、どこだ?ここ・・・)」


辺りを見回した。


神々しい建造物の中のその場所に俺は一人で居た。


今の時間帯であれば他の連中は午後の授業だろうと思い、身勝手ながらその場から立ち上がって辺りを散策した。


「(一体何処なんだ?ココ・・・・)」


???

「やっ・・・やっと見つけましたッ!信楽 錬しがらき れんさん・・・っ!」


例えるなら何だろうか、会社に通勤している美人なOLが副業としてバーの仕事をする様な格好――――


創造神ヴィレイシア

「あっ、名前を言わず申し訳ありません。わたくしの名はヴィレイシア、異世界デュロンダルを管理する唯一神です・・・っ」


彼女はそう息を切らしながら答える。

俺は取り敢えず彼女が落ち着くまで背中をさすった。


「有り難うございます。信楽 錬さん」

「取り敢えず―――ここが何処なのか教えてくれますか?」


俺がそう言うと彼女は頷き


「ここは先程言った貴方の住む地球と同じようにかたどった異世界であるデュロンダルを管理する為の神殿です。私は此処の唯一神として創造神として全てを管理しています」

「そうなのか・・・って事は俺、死んだんですか?」


彼女は首を横に振り


「いいえ、ここは言わば境界の狭間、魂が時折迷える所なのです。それに――――」


真剣な顔で俺の方に向き


「この度は申し訳御座いませんでした。貴方の住む所を管理する神が手違いをしてしまいまして・・・」


彼女の話はこうだ――――


ず、本来、今居る場所は神々が管理する為の場所であり、彷徨える魂が決して来る事は無いと言う。


時々来る魂は年老いた方々だったり、輪廻転生する人の魂だったり。


「でも・・・貴方のような未だうら若き方がここに来るのは向こうの代表の神の手違いであって決してなってはならない行為なのです。」

その為、完全なる人型の魂のままこの場所に俺は辿り着いてしまったと言う事だ。


「それじゃあ元の世界での俺の肉体って」

「此処に来た時点で完全に消えてしまっています。・・・そうだ、アレやっておかなければ・・・オーディス、こちらへ来て下さい。」


彼女はそう言って何もない所から一人の神を呼び寄せた。

俺と彼女の目の前にその男は現れた。


判決の神オーディス

「御呼びですか?我が母君。」


その男が来た事により、彼女―――ヴィレイシアさんは、とんでもない事を言い出した。


「私の全てを・・・私の持つ"全知全能"のスキルの一部である"掌握"とスキルを選ぶ権利の譲渡する準備をお願いします」

「まっ、まさか"アレ"をやるおつもりですかっ?!」


その日、俺は新しい世界で――――変わらない姿で降り立つ事になった。

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