不老不死について

海 月 あ め

第1話 不老不死について


音楽を聴くことが唯一神様の片鱗に触れることだと思っている。確かな体温と( それこそ鱗のような )ざらついた体温を孕んだ剥き出しの感情、そういうのも今時はSNS上で無残に整理整頓されてしまうらしいよ。毒づいたあの子も、手首を切ったあの子も、そうすることで何かが解決してしまうというなら、もしかしたら、デバイス上での不老不死が身近になった時代の中で、私たちがこうして詩を書くということは、とてつもなく滑稽で、どうしようもなく美しいことなのかもしれないね。いつかはどうせ全てが等しく土になるというのに、僕は本を読む。音楽に触れる。人間と神様が擦れる音がして、そうやってまた、僕たちは、だんだん死ねなくなっていく。

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