第23話


「湖が一発で蒸発とか…どんな威力なのよ…」


「ん?エレナはいつもソフィアの魔法を見ているんじゃないのか?」


目を剥いて驚いているエレナに、俺は尋ねる。


「いやいや…いつものエレナの魔法はこんなんじゃないから…威力はすごいけど…でも湖蒸発とかあり得ないから…」


「そうなのか?」


「あんたの支援魔法、本当どうなってるの?」


「うーん、どうなってるのと言われてもな…」


俺とエレナがそんな会話をしていると、ソフィアが戻ってきた。


「すごいわアルト!!まさか私の魔法がこんなに強化されるなんて!!ありがとう!最高の一発だったわ!!」


ホクホクの笑顔でそんなことを言ってくる。


「おう、そうか。役に立てたようで何よりだ。じゃあ、魔石を回収しようぜ」


「そうね」


俺たちは、ついさっきまで湖だった場所まで歩いて行って、あたりに散らばっている魔石を拾い集める。


「うーん…これ以上入らないわね…もったいないけど置いていきましょうか」


「そうね…これならもっと大きめの魔石袋を持ってこればよかったわね…」


エレナとソフィアの魔石袋はすぐに一杯になってしまったようだ。


残った分は置いていこうなどと勿体無いことを言っている。


どうやら二人とも収納魔法を使えないようだな。


「おーい、二人とも。魔石袋をこっちに持ってきてくれ。俺の収納魔法に収納しておくから」


「ええっ!?アルトあんた収納魔法が使えるの!?」


「もちろん。サポート役として、少しでも荷物を軽くするのは当然だろ?」


「本当、万能よね…」


なぜか呆れた表情とともに魔石袋を持ってくる二人。


俺の収納魔法で作ったスペースに魔石を放り込むと、また魔石を拾う作業に戻った。


そんな中、怪しい男を追いかけて行ったガレスが現場に戻ってきた。


「すまん!取り逃した!!」


ガレスが申し訳なさそうに謝ってくる。


「いや、ガレスが無事なら問題ないと思うぞ」


「すまんな…俺としたことが…あの野郎、結構な逃げ足で」


「まぁ、クエスト失敗したわけではないし、あの男が原因で大量発生が起きたとも限らないしな…」


「すまんな、慰めてもらってるみたいで…それはそうと、アルト」


「なんだ?」


「湖どこ行った?」


ガレスが周囲をキョロキョロ見渡しながら首を傾げる。


間も無くして、湖が全て蒸発したことを知ったガレスの大声が、周囲に響き渡った。




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