第9話:攻撃は最大の武器 vs 私の処女よどこへゆく。

交渉決裂の大ゲンカ。

当然のごとく、残された父と私と母と村上篤志で家族会議。

興奮冷めやらない父を村上篤志が必死でなだめる。

「俺は譲らねえぞ!。スキャンダルを商売に出来ない奴はこの世界では食っていけない!。交渉っていうのは一歩引いたら負けでそれまでだッ。譲った方の負けなんだ!」

父は語気を強める。

村上篤志は父の強引さに半ばビビッて私と母に意見というか助けを求めてきた。

母は腰砕こしくだけで確実に家計のために5千万欲しいという。

そのおよび腰に怒鳴どなる父。

咄嗟に村上篤志がしずめるが、しかし、父がこんなに「攻め」の人間だとはなあ……。普段、私には紳士なのに。

私は、父が何だか得体の知れないものに思えてブルッとした。

そう震えると、母は困りものだ……。

父に金だけを求めている。

父は母に「仕事に口出しするな」とハッキリ言った。

母は、私に父を説得するように頼ってくる。

でも、私も正直、5千万よりは7千万の方がいいに決まっている。

「そりゃ多くもらえる方がねえ……」

と私がやんわり母を否定すると

「これがビジネスだ。よく見ておけ」

と父が刺すように言った。

ウッと不意をかれ思わず突き刺さっちまった。

そして母に

「俺の金だ。勝ち取ってお前に贅沢ぜいたくをさせてやっている。俺が5千万でオトされたら、お前、2千万稼げるのか!?。文句があるなら稼いでみろ!」

悔しい!……。

でも、何も言い返せない。

そんな自分がもどかしい。

思わず母をいたわりたくなる心が出てくる。

母は泣いて出ていった。

母は自分の食いぶちしか考えてないんだろうな……。ちょっと呆れて疲れる……。

父はその私の隙間すきまを突いてくる。

「なあ彩。芸能界へ来ないか?」

ドキッとしたが、私は処女のヘタレな力で断った。

「公私混同しないでよ」

「そうか?。でも君は美人だ」

「そりゃどうも」

胸がバクバク言っていた……。


学校へ行くと新井渉がエリック・クラプトンのブートレグの輸入盤が手に入ったと喜んで飛び込んできた。

そうかい……お小遣いで買ったんか……。

正直うぜえな。

こっちは差額2千万でモメてたんだよ。

ちっちぇーなあ、もう……。

まあ、でも、かわいいよ、新井渉。

私と喋るときゴハンもらえる犬のように目をキラキラさせてさ。

部室でレコード聴いていると窓からプールの永山先輩が見えた。

必死に練習している。

思わず股間に目がいった。

なにもかも太い。

オオウッ!もりっとしたよ!。

私の処女よ、どこへ行く?。

このまま新井渉になるのかねえ……たぶん……。

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