第2章 生きるとは、自立するとは、処女を卒業するとは。そんな大そうな事かよ。
第8話:大人の世界。盗人猛々しいとはよく言ったよ。正直、処女にはビビる。
父がめかし込んでいる。
しかもバババッと超高速!。
ヒゲを剃り、髪の毛を整え、眉毛を描いて、香水を手首に
スゲー色気……!。ギラギラしている。
俳優の父の底力を見せ付けられるような気がした。
客観的に改めてハンサムだと思う。
私が男装したらそっくりあの顔になる。
血を感じる。
なぜ父が見栄を切っているのかというと、
本日我が家で広告代理店の連中とCM契約の打ち合わせがある。
家っつーのも変だけど、あの事件以来、父は事務所から外出を制限されている。
だから、ジャーマネの村上篤志を含めてウチでやることになった。
母は
私も『業界の交渉』ってヤツがどういうものか知りたかったのでお茶くみとして見物してやった。
ところがビジネスとは程遠く、広告代理店の営業マン宮崎健吾48歳はなんと女を連れてやってきやがった。
しかも、この女……。
なんちゅうヤツやねん……。
部下の女は横澤
こってり唇、どっぷりおっぱい、ぶりんぶりんのケツってやる気マンマンじゃん。
グレーの豹柄のスーツってどこに行きゃ売ってんだよ。
まあ、たぶん、父の機嫌取りに連れてこられたんだろうな。
いきなり父の真横に座ったもん!。
そんな横澤茜に父は興味津々で
「なんだ?、お前は結婚してるのか?」
といきなりツッコんでいる。
横澤茜はニコニコ笑って喜んでいる。
この女も父と寝るつもりなのか?、父はこの女と寝たいのか?、いや、もう寝たのか?。
私の頭の中は、父と横澤茜の関係でグルグルのた打ち回っている。
でも、いざギャラの交渉になるとたちまちリビングは真っツァオに
7千万と5千万。双方譲らない。
横綱相撲。
父は普段メディアに露出しない付加価値で7千万。
宮崎健吾は今回のスキャンダルでその付加価値は堕ちた、と5千万。
となると、父はすかさず、そのスキャンダルが売りになるだろう!、とさらにフッかける。
商魂たくましいやら図々しいやら……とにかく超強気。
あのスキャンダルに対して1㎜の恥じらいも無ければ自覚も無い。
ある意味やりやがるよ、まったく。
これが社会で金を稼ぐってことなのかねえ……。
やれやれとなるがちょっと自分が小さく見えた。
議論が白熱すると、もう、モメ出してケンカ。
私は村上篤志に言われて停戦協定のお茶を出しに行った。
すると、宮崎健吾はやッッッぱりかと私に飛びつく!。
「お嬢さん、お綺麗ですねえ!。デビューさせませんか?」
またかよ、もう慣れてる。
私が笑顔で会釈すると宮崎健吾は上機嫌でよだれを垂らす。
しかし、どこまでも金に執着する父はそのよだれを足の裏で
「娘を入れるんなら1億だッ!」
またケンカ、というより今度は大ゲンカ。
結局、この日は交渉決裂で次回に持ち越しということで広告代理店は撤退していった。
経験ない私は正直しんどい。
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