第6話:私はあなたの便座です。処女卒業すると自信ってのがつくんじゃねえのか?

母と銀座を歩いているとき。

「北島さんとこの奥さんと娘さんッ。大変よねえ」

まるこえでヒソヒソやられた。

ムカつく。

もっとムカついたのが、卑屈ひくつになってそそくさと視線を下げて逃げていく母。

逃げんなよッ。

〝北島の妻ですが何か?〟ってガツーンと言ってやればいいのに。

まるで罪人が市中引き回しの刑にあうように自分を恥じて去っていく。

逃げる必要ないじゃん、何も自分は悪いことしてないんだから。

それでも、ほっかむりするように帽子を深くかぶってタクシーを探して走っていく。

もう、情けなくて私よっぽど一人自分で電車で帰ってやろうかと思ったよ。

すると

「彩ちゃん、一人にしないでよォ~」

と情けなく寄っ掛かってくる。

もう、これはいかんッと私はその場で怒った。

「ママ、ナメられたらダメだよ!」

「ケンカしたらパパが困るでしょう……?」

「困らせりゃいいじゃんッ、浮気してんだから!」

「仕事が来るか来ないかの大事な時なんだから……」

「ママ、悔しくないの!?」

「私、言えないのよねえ……性格だもん……」

「泣き寝入りする気ィ!?」

「分からない……」

「なっさけないッ!」

「イジメないでよ……」

「パパと別れて働けばいいじゃんッ。私だってバイトだって何だってやってやるよ!」

「怖いこと言わないで……」

「腹立つじゃんパパ!。盗っ人猛々たけだけしいっていうの?。全然反省してない!」

「でも、私たちを食べさせてるのよ……」

「だから、自立しようよ」

「怖い……」

「ッ!!、このまま負けてていいの!」

「分からないの……」

泣ける…………………………………………。

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