第7階 Guess Who's Coming to Dinner

私はドゲート城の寝室で白亜剣を見つめていた。

これの剣は一体なんだろう...?


 (「ハハハ、ようやく話しかけてくれたね!」)


 「貴方は誰?」


 (「俺かい!?俺は宗茂 斗羅むねしげとらだ。

こんな美少女さんと会話が出来るなんて嬉しいなぁ!)


 私は顔を真っ赤にさせていた。


 「何処にいるのよ!」


 今は一人でいるからいつもよりかなり軽装だった。


 (「いや〜何処って目の前にいるじゃないか!?それにしても綺麗だね〜」)


 「折るわよ!!!」


 (「いやいや、俺の大切な部分なんだけど...

その持ってるの...」)


「え、う、わぁ!!!」

 私は耳を真っ赤にさせて白亜剣を放り投げたけど、何事もなかった様に白亜剣は空中に浮遊している。


 (「だって俺この剣が本体だし...ってあれ..何を思ったの?...」)


 白亜剣から愉快そうな笑みが零れ落ちるのが分かった。


(「人間の俺とで会えたらよろしくね!」)


 私は揶揄われて悔しくて打ち震えていた。


「よろしくされないわよ!!!!」


 私はなんだか勝てなかった気がして床に伏せていた。


 (「ねぇー、ねぇー、気にしてないからさぁ」)

斗羅は相変わらず白亜剣として浮遊していた。


 「何?もうほっといて」


 (「いやいや〜ほっとけませんよ〜こんなとてつもない美少女さん」)


 「いいから!」


 気配を消す様に白亜剣は小さくなっていく。


(「色々教える事あるから、集然とか。だから気が向いたら呼んでね」)


「うん」


 私のむずがゆい夜はこうして過ぎていった。



 そんな事もあり寝坊した私はマスカリアに起こされていた。

優しく起こしてくれた、マスカリアにとても癒されていた。


 私は私の目の前で笑みを絶やさないマスカリアを持ち上げ抱き抱えた。

まるでぬいぐるみのように。

そしてとっても軽かった。


「あわわわわわ!」


 驚くマスカリアに私は


 「連れていってあげる」


と一言添えた。


 納得としたのかマスカリアは力を抜いて私に身を預けてくれた。


「マスねぇ!可愛いんですけど!」


 マユナが猫を見る様な目でマスカリアを見ているのが分かった、確かにそうかもと。


 「あはは〜、楽チンですね〜」

 マスカリアはとってもくつろいでいた。



 私はマスカリアを席に置いた。

美味しそうな匂いがする。目的は朝食を食べること。


 「むふ〜、ハツミありがとなのです!」


 とっても幸せそうな顔をしているマスカリア。


「いえいえ!」


 そう言って私も席に着いた。


 ドゲート軍の面々もすでに席に着いていた。

ドゲートさん直属の部下に女性はいないためなのか、私達はそれなりに好機の目で見られていた。


(「それでか」)


マテハは正統派長身美人。


 黒い長髪に常に浴衣姿。

それに三頂と謳われミリカンテア最強の一角。

容姿に実力が伴えばそりゃ目立つわね。


 ドゲートさん直属の部下には傷を負った者達が非常に多い。

多分それが女性がいない理由かな。

ドゲート軍全体では女性はちらほら見かける。


「凄く引き締まっている」


 私は驚きで声が出てしまっていた。


「ねぇ!凄いよね!彼女達!」


 マテハの顔が近付いてくる。

とても綺麗な。


「えぇ、そうね、凄く訓練されているわ」

とてもスタイル抜群。


(実に良い光景!素晴らしい!!!)


この声は白亜剣。私にしか聞こえていない。


(「ねぇ、折りたいなぁ?」)


 私は究極の笑顔を浮かべていた。


(...モデル級の美女が沢山!良いじゃないか?

こっからは大人の世界だぜ!)


 ダメだこの剣、ただの変態さんだぁ。

私は無意識に口を開けて呆けていた。


 結果、何かが舌を刺激する。


「ハツミ食べたー!」


 イタズラ大成功と言わんばかりのイム。


 なるほど、普通の味覚だったらきっと物凄く辛いのね。ん!?何これ!


「美味しい!」


 私は周囲も気にせず叫んでいた。


 「客人にこの香しい匂いの中で待って欲しいというのは無粋だったかな?」


 ドゲートさんは手を洗った水をタオルで拭き取っていた。笑顔で。


 「いえ、失礼致しました」


 「ハツミ様が食べたー」


 「俺達も待ってるんだぜ!」


 「うわ!うまそー」


 ドゲートさんの部下達も料理を待ちきれない様子です。


 「こら!イム!」


 イムは悪戯な笑みを浮かべて手を合わせてごめんなさいのポーズをしていた。

なんだか楽しくて笑いが込み上げた。


 私は火照る顔を気にしながら机の上に所狭しと並んだ美味しそうな食事に目を奪われていた。


 着ていたエプロンなどを置いてきたドゲートさんが手を合わせると場が一瞬で凍り付くように静まる。


 そして


「いただきます」


と一言。


 大きくも小さくもなく透き通る優しい声がこの場を切り裂いた。

 その直後だった、怒号の様なドゲートさんの部下達のいただきますが駆け抜けた。


 それにしても圧巻。

 ドゲートさんの部下達は驚くほどに気持ちの良いい笑顔と凄まじい食べっぷり。


 美味しくて止まらないってのは私にも分かる。かくいう私も6杯目の大皿を味わっている最中で、


・ミノタウロスのステーキ

・サンダーバードの骨付きチキン

・湖の主の刺身

・クラーケンの天ぷら

・ワイバーンの煮物

をすでに胃に収めていた。


 今堪能しているイフリートのカレーは物凄く辛いみたいだけど、私には問題ないみたい。

 先刻のイムのイタズラの一口はこのカレー。


 そのイムはというと40皿ぐらい大皿を

積み上げていた。

細過ぎるイムの何処に入るのだろう。

私はそんな疑問を抱きつつカレーをまた一掬い口に運んでいた。


 そしてその直後、違和感が突き抜けた。


「ドゲートさん?伏せてね」


ーー得剣投合


 ドゲートさんの横を通ろうとした人間に私は白亜剣を投げて突き刺した。


ーー時空鈍重


 傷の部分の世界を非常に遅くしている為、継続損傷は進まない。

 白亜剣によるダメージが大きかったのか、種族変化の魔法を打ち消していた。

 人の皮が燃え醜悪な漆黒の毛深い細身で筋肉質のミノタウロスに酷似した悪魔が現れた。

 異空間から魔神の斧を取り出しドゲートさんに振りかざそうとした、まさにその瞬間だったそのままの姿で凍り付いた様に滑稽に空間に貼り付けられた。


「グブブブブブブブブ」


 苦しそうな響きが部屋に響くと同時にドゲート軍は武器を構え終えていた。


「あら?ミノタウロスを殺し過ぎたので亡霊かしら?」


 私は敵の数を認知しようとしていた。

空間が騒つくのが分かった。


(「マテハがいるからかしら。いや違う、流石ね」)


 私はチラッとマスカリアに目をやる。

マスカリアがドゲート領規模である空間魔法を瞬時に行使しているのを私は感じていた。


 マテハと私で周囲のイレギュラー警戒は問題無い。

 マテハがあの時私に顔を近付いてきたのは

気付いていたからだと思う。

マテハの目線の先は変化する前の男だったから。


 私は魔法の類が一切使えないであろうドゲートさんを助ける演出をするために悪魔が"何か"行動するまで待った。


「ガフッウウウウウ!」


 悪魔の呻きは醜悪過ぎる。


 私はこの悪魔の主人あるじを確認する必要がある。

よって、


 「何をするの....?」


 驚くマテハの囁く声が聞こえた。


 「決まっているでしょ?私は身体操作とか精神操作はとっても得意よ?」


ーー記憶支配

 私は空間に右手を突っ込んだ。


「ガフフウウウウウ!!!!」


 私は無理矢理、主人の名前を聞くために

固く閉ざされた主人との誓いをこじ開け脳に伝令を与えた。

悪魔の怒りが怯えが恐怖が悪魔自身の生命を蝕んでいた。


「ケサ...ラ...コロ...スさ...ま」


 そこまで語らせて私は引き抜いていた。


 「ドゲート様、そいつ運んで下さる?」


 私は白亜剣を戻した。

私はこの剣をとても便利な剣だと再認識していた。

まるで自由自在な翼以上に全てを翔けられると思う



 不意に悪魔の四肢が空間に囚われ悪魔自身の魔力に蓋がされた。

指を微動させるだけで。


マユナやるじゃない。私は感心していた。


 「ドゲートさん!これで悪魔が暴れる事はありません!ねぇハツミ...悪魔が回復したら

続き...やるんでしょ?」


 マユナは不敵な笑みを浮かべた。


 「そうね、それがきっと楽しいわね」


 私はきっと面白がっていた。

悪魔達を追い詰める事に。

自然と笑顔が出てしまった。

強く成り過ぎて忘れてしまった。

死を一歩ずつ超えて行く楽しさと高揚を久しぶりに感じたいと。


 「行かれますか?」


 マテハはこっそり呟いた。


 「何処へ?」


 「決まっているよね?悪魔の国」


 こちらから乗り込むなんて大胆ね。


 「それも良いわね」


 私は提案を受け入れるように微笑み返した。


 「でも陽動かもよ?」


 意地悪に問いかけた。


 「ハツミ...貴女は強いけど見くびって貰っては困る」


 マテハは高揚していたのが分かった。

そして一呼吸置いて。


「私1人で十分」


 マテハは言い切った。


 「悪魔の虐殺はまだ、やめときましょう」


 私の言葉にマテハは微笑みで返してくれた。


 きっと私達は途方もなく可笑しな事を言っていたに違いない。

 拘束した悪魔は魔物を使役し生み出す魔神クラス。

 大魔王クラスの一部の例外を除けば通常逆立ちしても敵わない。

そんな敵が雑兵の様に見かけ通り手も足も

出なかったのだからドゲートさんの部下達も

押し黙っていた。


 「やれやれ!どうした!?さっさと地下牢に運ばないか!」


「...おう!」「はい、ドゲート様!」「直ちに!!」



「あの悪魔は任されよう」


ドゲートさんの声が響く。


 その後、直ぐに食事は片付けられ私達は旅立ちの為に門前にいた。


 「とても美味しかったわ、またご馳走してね。それにドゲート様?貴方方は神々の怨みを買う事でもしたのかしら?」


 ドゲートさんの部下達がドゲートさんの後ろで闘志剥き出しで並んでいた。

その数、実に5万弱。


 「このミリカンテアはまだ新参の世界...それ故だろう」


 次々に異空間より全身黄金の鎧に包んだ者達が何処からともなく次々に降臨していく。

 羽根を生やし飛ぶ者、魔術で空間に浮かぶ者、空間に片手を突っ込んで宙に浮いている者。その数実に300万はくだらなかった。


 「へぇ...?この地を蹂躙しようと?」


私は指をそっと差し出した。


 「私も"竜王"の1人として名を馳せてしまった。

更にいえばメイユールは"絶対強者"そんな者と対等に闘った者達を放って置く事は出来ないだろう」


 ドゲートさんはここは任せろと私達5人に告げてくれる。


 「でも仕方ないよね、ご馳走して頂いたのだから」


 私はドゲートさんを押しのけて一際強そうな黄金の鎧の一人の前に立った。


「私はアオナ・エカルラート。こちらの城主である竜王の1人であらせられるドゲートに協力を受け入れて貰った。

貴方方がこの地に降り立っても何も得られず、この地より与らるものもない」


ドゲートさんは驚いていた。


 通常神々の寵愛を受けし人類は神々の住まう地に永く存在する事になるので住み続ける事で神に近しくなっていく。

 その影響を十二分に受けたこの優れし者達を恐れ別世界に住む者達は通称"優賊"と呼んでいる。

 最強ランクの侵略者の一角だ

メイユールが退いた隙を狙った非常に効率的な侵略脳を持っていると推測される。


「フハハハハハ!!」「クフフフフフフ!」「キャハハハハ!!!」


 私の名乗りに所々から笑いが溢れる。

実に人間らしい。恐らくこの地にメイユールを誘ったのもこいつらの親玉だろう。


 私が先ほど話しかけた、誰よりも何よりも武に打ち込んでいそうなこも細身の男は手を差し出し笑いを制止させた。

 そしてとても大きな大剣を背負っている。


 「俺の名はラウド。神ディンに全てを捧げし崇高かつ誇り高きユグドラシル騎士団の団長を務めている!!」


 名乗った直後、女性の黄色い声が大津波の様に押し寄せてくる。

 少なく見積もってもこの騎士団の2割は女性だと思う。

更にいえば多分このラウドさんとってもイケメンだと思う。


「全宇宙を偉大なる神ディンに捧げるべく活動を行なっている。

この度偉大なる神ハツミリフィが無念にもメイユールに敗れて殉職された。皆の者!捧げよ!」


 ユグドラシル騎士団はその場に静止して頭を深々と下げた。


 ディンか、色々と辻褄が合うわね。

ディンは魔術に狂った。

いえ、求道的な神様。

メイユールと組んで何を企んでいたのかしらねぇ?


 ユグドラシル騎士団の面々が頭を上げ始める。


「アオナ・エカルラート様!ドゲート様とは大人の契約を契りに来た誠に申し訳無いがそこを通して頂けないか?」


 金属と金属がぶつかり合い武器に手をかける音がする。

強行手段を取られるおつもりみたい。


 強いて言うならば子供でも容赦はしない

さぁどうする?と。

 ドゲートさんに問い掛けていると推測される。

だけど、私は。


「ねぇ!みんなさぁ最期まで私の旅に付き合ってくれる!!?」


 私は叫んだ。


 「何処までも!」


 そう言ってマテハが


 「もちろんよ!」


 そう言ってマユナが


 「お付き合いさせて下さいね!」


 そう言ってマスカリアが


 「私でも良いのかな?」


 イムに私達4人はもちろんと言わんばかりの満面の笑みを向けていた。


 「うおおおおおおお!!!」「やれーーーーー!!!」「三頂の一角の強さを見せてやれー!!」


 「馬鹿野郎!!!!!!少女達に戦わせて

何が"軍"だ!!!!!!俺達が軍に成った意味もう一度身体に教えてやろうか?!!!!!!!!!」


 ドゲートさんの唸りが魂の咆哮がドゲート領を超えて響き渡る。


 「忘れる訳ねぇだろーーーーー!!!」

「娘がもう一度生まれて来て良い様に!!!!」「死んだ兄貴に平和な世界を自慢してやるんだーーーーー!!!!」

「俺の村にあの子達は絶対に帰って来るんだーーーー!!!」


 「ユグドラシル騎士団の団長殿...大人の契約とは何かな?

 私はこのアオナ・エカルラートと正式に契りを結んだ。

 君に用は無い、君の世界に帰ってくれ」


ドゲートさんは言い切った。そして当たり前の様に全てが静まり返る。

これが率いる者の風格と言葉の重み。


 ラウドは一瞬驚いたがすぐさま表情を戻した。


「要件を言おう、ドゲート様我が神ディンが貴方様に直にお会いしたいという事だ。私はその願いは例外なく聞き入れられるべきだと思う」


 ラウドは大剣を後方に置き何も持っていない。

 手を広げ武装を解いたそして天使の様に笑みをドゲートさんに向けた。


 彼の攻撃は凄まじかった。武装を解くに加え笑顔。かなり冷静で自分の実力と仲間を信頼仕切っている。

ドゲートさんはどうするのかしら


 「私はこの地を離れぬ。もし来て頂いたなら会うやもしれんな」


 ドゲートさんは上手だった。

神が出向く事はまず無い要するに両者譲らずに決裂。


 ラウドは後方を確認して頷いた。


「総員構えよ!!!!力尽くで...?」


 マテハが何かを言いかけたラウドの前に立った。


 「高尚な立場の者と見受けられる無礼を許して頂きたいが一騎打ちをして頂けぬか?」


 ラウド軍の後方から笑い声が漏れる。

そしてラウドは制止の意を示した。


 「用があるのはドゲート様だ、そして我等の戦力を前に英断とは言えんな。

 一騎打ちで私が負けても誰が保証する?これは大人の話し合いだ」


(「ふふふふふふ」)


「あはははははは!!!!」


 私は堪えられなかった。

一騎打ちの結果を受け止められれば、まだ格好がついたものを。

 騎士としての誇りが残っているのかと思ったけれどそれをまるで感じられかった。

 実力を推し量れない傲慢の病にかかった

ユグドラシル騎士団に。



ーー声響空勢

 これで私の声が届くだろう。


 私はユグドラシル騎士団全軍に向けて。


「ユグドラシル騎士団に告ぐ即刻この地より立ち去りなさい。

 神ハツミリムの地としてこの"ミリカンテア"は生きている!!

 忠告に反した場合はこのアオナ・エカルラートが魔神を弄んだ力で黄金の偶像300万を全てGAME OVERにします!!!」


 ユグドラシル騎士団も我慢の限界なのね。

強化魔法が飛び交っている、ラウドの号令で雪崩れ込む積もりね。


 「遅いのよ!それにハツミリフィの地は

この地の逆よ形だけなんて不要だわ!!!」


 私は悔しさを叫んだ。


 私がいたから...?友達だったから?ミリフィは神々からもこんなにぞんざいに扱われるの?


 私が思考の海に沈んでいくなか。


 ラウドの号令が天を割る様に響いた。


 「ドゲート様だけは必ず生きて捕らえろ!!!」


 地鳴りが、怒号が、叫びが世界を震わせ轟かせた。

 まがりなりにも歴戦の戦士が300万。

国家の農民の寄せ集めなどとは比べものにならない実力者達。

 武具も魔法も一級品、それが優賊。

人類の英知の先にある剣と魔法の世界最強の高みに到達する次元の強者。


 それでも、私は。そんな優れし者達が奇跡だと崇拝する神々が。

 剣を構えた私の父キレ・ルイデを眼前にして。

 

 剣も構えられず、足を震わせ、恐怖に腰を砕き、あるモノは病に。あるモノはトラウマを。心に抱えて安住の自らの地に逃げ帰る。


 私は父ではないけれども、とっても強い!!!!!!


 私は指で世界をなぞったいつもより0.1㎜だけ長く。

思いと願いを強く込めて。


ーー超圧

ーー龍全流


 その直後、黄金の全身鎧を包み込む様に世界に亀裂が入り怒涛の水が吹き出し更に亀裂を裂いて吹き出した。

 それが幾万の水龍となってユグドラシル軍を駆け巡り総てを飲み込んだ。


 私の水は防護魔法も神話級の武具も神力で高められた肉体も空間に作用する絶技でさえ水圧で細切れにしていった。

 私自身の魔法で作った自身の魔法の行使を受け止める為の世界の一杯一杯まで引き伸ばされ一瞬で無とした。


 余りにも一瞬。

ただただラウドは呆けていた。


 「あなただけは生かしてあげる2度と私達に歯向かわない事ね。神ディン共々」


 ラウドは顔面蒼白し絶望を滲ませた足でふらふらさせていた。


 「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」


 その日ラウドの怒りが悲しみが失意が天に轟いた。

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