第6階 竜王と謳われた男

 異世界ミリカンテア

この世界の最も尊く清い場所にアカナ・エカルラートの凍り付いた時は安置されてある。


 アカナのためのすなわち目印。


 そしてここは神の一柱ハツミリムが座する場所の事もであり、ミリカンテアと神界の狭間の世界であった。


 そして私はアカナの一件を終えて和泉の国に戻っていた。

和泉の国にはアカナの下に優秀な重鎮が2人いて、その名はアルジェント・ゼィルヴェルとシアン・アジュール。


 私は2人に和泉の国の全権を託した。

アカナ・エカルラートの言葉として。


 私は和泉の国の事は御二人に任せようと思う。

無論和泉の国に手を出す者に容赦はしないけど。


それからまた時が経ち、私は成長してミリカンテアのとある場所に向かっていた。

 1番上のお姉さんで容姿と背丈がとっても幼いけれど元気一杯なマスカリア。

 双子でとーっても強いマテハとマユナ。

 1番甘えん坊さんなイムを連れ添って。


 「知っている?人間の幼子の戦闘能力は神様が決めた中でスライムより低位の最下位なんだって」

 

 私は割と道中暇だったので姉妹達と話すのがとても楽しかった。


 「それって1番弱いって事?...いやそうかもしれない」


 マユナはあまり受け入れられない御様子かな。


 「当たりだね、だから成長するんだけどね」


 私は得意げだった。


 「ふむふむー成る程ですねー。でも私達姉妹はそのルールから離れているようですけどね」


 1番お姉さんのマスカリアはいつもニコニコしている。


 「着きましたよ?ハツミ達!」


 和装を着ていていつもよく似合っているのはマテハ。


 「ありがとうマテハ」


 眼前にそびえる少し年季の入った城。

改装しないと崩れ落ちそうで所々つたが絡みついている。


 「ここが竜王の1人。ドゲートさんの城だね?」


 その強さ伝説のドラゴンの如しと謳われる三人の竜王の1人。


 「うわ〜ボロい」


 刹那、自身の口を抑えているイムは取り分け色白で細い。


 「たのもー!!!」


 私は呆気に取られた4人を尻目に元気よく門を開けた。


 「誰だ?お前ら!!....あ!」


 出てきたのは屈強そうだけど細身で上半身裸の男だった。


 「ちょっとまてーーーーー!!!!」


 彼は城の中にダッシュしていった。


 「おいお前らーーーーーマテハさんが来たぞ〜!!!!」


 大声で場内にこだまする。


 「一体何をしたの?」


 「特に何もしていないつもり」


 マテハは細々と答えた。


 「看板をかけての勝負か...?今はお断りしているんだけどな」


 先程の男より明らからに小柄で色白のとんでもない力を秘めた男が出てきた。


 間違いない。


 「貴方がドゲートさんでしょうか?」


 その男はコクっと頷いた。


 「お久しぶりです」


 マテハが軽く会釈をした。


 「マテハ一行か、先刻は実にアルテン共々

お世話になった。そしてこの物凄い強そうな

女子おなごは誰かな?」


 私はドゲートさんと思われる男と目があった。

 そして私はなんだかドゲートさんの柔和な笑顔に癒されていた。


 「私は亡きアカナ・エカルラートの妹のアオナ・エカルラートです」


 「初めまして、ドゲートだ。私には分かる。会えて光栄だ、小さな勇者様」


 ドゲートさんはかしずいた、私に。


 「えぇ、お見通しなのかしら?」


 「私は力量を測る事に関しては一流だよ、私の生命線だからね。

 でも私にもどうしようもない闘志がある。

 元気よく、たのもーと入って来てくれた所だ...試合をしよう!」


 私は頷いた。


 「もし私に勝たせて頂いたら、私に協力して頂けませんか?」


 ドゲートさんはニコッと笑った。


 「私が勝ったら私に協力するという事も添えてくれるならその要件を飲もう」


 私達は城の裏へ移動した。


ーー囲範高 強空間

 世界の強度を上げる。


 私がどれ程の本気を出すか未知数だったから。


 ただし私が連れてきた4人には気付かれる恐れがあったために、かなり高度な次元に設定はしたけれど。


 私は構えた。


 ドゲートさんの陣営の応援は凄まじい。このドゲートという男の人徳かしらね。


 ドゲートさんも構えた。

流石に様になっている。

 私とはまるで違う。


 何でも有りの参った一本勝負。


 「準備はいいかな?」


 ドゲートさんの柔らかく優しい声が響く。


 「えぇ何処からでも」


 私がそう答えるとドゲートさんの目付きが変わった。

 そしてドゲートさんは私に向かってダッシュしてきた。


 その直後ドゲートさんはバランスを崩して

左斜め前に足で強く踏み抜いた。


 私の殴打が右背中より入ったのだった。


 「光が最早止まっている...」


 マテハの呟きが静まり返ったこの場に小さく響く。

更にドゲートさんの陣営の唾を飲み込む音がやけに響く。


 光より速い攻撃を与えたけれどドゲートさんはそれにきっちり合わせてくる。


 「面白いわね、部分的に無敵なんて。

とても素敵なカラクリね」


 「今の殴打の場所は死角なんでね」


 ドゲートさんは底の見えない強さに私は感嘆していた。

 今まで出会った誰よりも深いと。


 それから私とドゲートさんは数十にも及ぶ打ち合いをこなした。


 流石にドゲートさんは武の極み、竜王と謳われるだけの達人である。

 部分無敵を私の攻撃に寸分違わず打ち出してくる。


ーー槍貫全 白亜剣

 私の思いは届く。


 だからこそ、私は力を開放した


 「次で貴方は倒れる。その時どうするか決めて欲しい」


 私の言葉に


 彼は


 ドゲートさんは


 「もう既に答えは決めてあるよ」


 私は思った、試合に勝って勝負に負けたと。


 試合後。


 私はマテハとマユナから質問責めを受けていた。

無敵破りに関して。


 「えぇとだから無敵はその世界の壁の先に相当するからそれ以上の力を加えればいい」


 私は2人に細々と説明していた。


 「ドゲートさんは最強の盾!最強の守護神として無敵発動後は誰も手出しが出来ない!」


 マユナの可愛い顔がとても近い。


「みんな〜出来たよー

食べようぜぇ!」


 その後背後から穏やかに笑みを絶やさないマスカリアがやってくる。

決めポーズが可愛過ぎて何ともいえない。


 ドゲートさんが新しい仲間の私に祝賀会をしてくれるとのこと。

そしてドゲートさんに前座をして頂き場を作ってもらった。


 「それではこの場をお借りして...私は亡き和泉国の女王アカナ・エカルラートの意思を

受け継いだアオナ・エカルラートです。

 此度ドゲートさんには協力者となって頂きました。

私は更に協力者を募っていくつもりです」


 強かったー。最強ー。ドゲート様の次にー。という声が飛び交った。


 挨拶も済んで私は食事と飲み物を楽しんでいた。

私の空のコップに葡萄ジュースを注ぐドゲートさん


 「協力者なら他の竜王にも会いに行くといい。明朝持って行ける様に手紙を二通したためて置く」


 「ありがとうございます!」


 「それからマテハに聞いたが全天にも会いに行く様だがよろしく伝えておいてくれ。

少しは丁重に扱って貰えるだろう」


 全天。

 最強の一族、星一族の主。超位種族にして頂点捕食者。

父に挑み、オリハルコンの剣での剣技を受けて倒れた私が知る限り唯一の男。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る