第154話 布都斯魂大神
「そう言えばディディーが中国にも魔法のアイテムが一つ有るとか言ってたわ」
「ディーディーって誰だ?」
「あ、デクスターよ。ディディー・デクスター」
「お前達、何時の間に下の名前で呼び合う位仲良く成ったんだ?」
DD・デクスターだったらDDDじゃないのか? と優輝は思ったけど口には出さなかった。
あくまでもビジネスライクな付き合いだという事にしておかないと、後々面倒臭い事になりそうだ。
「まあそれはどうでも良いじゃない。それより中国の方よ、一度会ってみる価値は有るのかな?」
「そうすると、今度はロシアも黙っていない様な気がする」
「これに関しては、元々持っていた国と戦争で偶々手に入れた国とじゃ全然意味合いが違うのよねー」
「アメリカは元々持っていた国ではないよね?」
「そう、だから愛着も思い入れも無く純粋に科学する事が出来るのだと思う」
「ロシアもそうじゃなかった?」
「だから、あそこも結構研究が進んでいる気がする」
「じゃあ何で中国?」
「元々持っていた国は、奉って大事に仕舞い込んでいるか、エキセントリックな使いこなし方をしているかのどっちか」
「ああ、何時の時代か分からない程昔から有る宝だったら、国宝とかに指定してそうだもんな」
「日本の様にね」
「そういや、日本にも一つ有るんだっけ?」
日本にも一つ有るのならそんなに急いで訪中する必要も無いのかも知れない。
「ねえ麻野さん、日本が保有している魔法のアーティファクトって何処に保管してあるのか知ってる?」
「それを俺に聞くか?」
その時、
「やっぱり知っているのね?」
「何故そう思う?」
その言葉で
「あなた達の使う『
「鋭いな、だがまあ、想像に任せるよ」
「何よ、歯切れが悪いわね」
「しゃーねーだろ、国家機密なんだから」
「国家機密なんだ? アメリカの方じゃ結構民間というかディディーの会社で研究させているみたいじゃない。日本はそれやって無いの?」
「お前等そんなに仲良いのか?」
「さあ? 想像に任せるわ」
麻野は渋い顔をした。
という事はだ、あの時デクスターと結ばされた契約は、こいつらの思惑に踊らされた上での事だったって事なのか?
アメリカに対して制限を掛けたつもりでいたモノが、実はこちらの行動を制限するモノだったと言う事なのか?
麻野は最初に会った頃の様な厳しい目付きで
しかし
麻野は、
「話を戻すけど、日本所有のアーティファクトは研究されていないの?」
「うーん…… されていなくはない、かな」
「またもー! 話したくないなら自分で調べるから良いわ」
「ちょっと待て、もし真相に辿り着いても、アレには触れないでくれ」
「どういう事よ?」
「あれもお前達と同じ位、日本国にとって大事だという事だ」
優輝と
「もしかして、天皇家と関係あったりする?」
「うーん、無くは、無いかな」
麻野の歯切れが悪いのには訳が有る。
実は
だから、さっきから
結構細かい攻防を繰り広げていたのだ。
普通にクイズ番組とかで質問者と回答者間で良く見られる遣り取りだが、
だから、麻野はそれを回避するために、どっちとも取れる答えを嘘に成らない様に答えている。
人間
自宅のリビングルームに戻った
「日本の魔法のアーティファクトって、やっぱり天皇家の三種の神器の事だったりするのかな?」
「でも、ディディーが日本に有るのは一つだと言っていたわ」
「じゃあ、三種の神器の内のどれか一つ、とか?」
「うーん、それも違う気がする。私が天皇家と関係が有るかと聞いた時、麻野さんは関係『無くは無い』と言ったのよ」
「じゃあ、三種の神器以外の国宝って事なのかな? 例えば、正倉院の宝物庫の中に収められている物の中のどれかとか?」
「そこまでは分からないけれど、もう少し調べてみる必要が有りそうね」
日本の場合、前述の通り魔法のアーティファクトは国宝に指定されている可能性がかなり高い。
そして、大事に仕舞い込まれていて誰も使っていない可能性も高い。
なんなら神様に指定されて名前が付いていたりもするかもしれない。
「ん? という事は、目に見えない心霊的な神様以外に何かの物体が神様に成っているケースも有るという事?」
「それは有るわね。神社に何かの『物』が御神体として祀られていて、それが神様だったりする事は多々有るから」
「そんなの有るんだ?」
「そりゃあ有るわよ。例えば…… ん?」
「例えばね、名古屋に在る熱田神宮の御神体は
「草薙剣って、三種の神器の一つの
「そう、熱田神宮の御神体は
「それは?」
「
日本書紀に記された最古の神宮は、伊勢神宮と
そう、最初から日本最古の神宮を考えればおのずと答えは出ていたのだ。
「
「
「そしてもう一つ、
「んー…… それも知らないな」
「日本神話とか興味無い?
「ああ、ヤマタノオロチなら知ってるよ!」
「その
「じゃあ、
「んー…… 強いって言うかー、
前にも言ったが、『八』と言う数字は『沢山』という意味も有って、七つかも知れないし、九つや十かも知れない。
兎に角、沢山に枝分かれした川が在って、その本流の上流の辺りに製鉄に必要な木材と水の豊富な場所が在り、つまり大蛇の尾に当たる部分に製鉄を生業とする一団が住んで居たのではないか。
神話の時代に
剣は折られはしたが、その鉄剣を持つ集団を破り鉄剣を手に入れた、と言う話なのではないかと推測する。
「つまり、その
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