第3話

 クラス全員から無視されたらと想像してみてほしい。

うん。

正直ね、辛いです。


学校きて、教室で声を発する時は、先生に指名された時くらい。指名されることもほとんどないから、学校では無口。


だから、たまに話し方を忘れる。


もう日本語話せなくなるんじゃないかと思うときもある。




社会の授業で、4人1組を作らなければいけなくなった。こういうの、ほんと苦手。

まず、自分から話しかけられない。コミュ症&日本語話す機会不足のせいで、

あのー、すみません。みたいな声かけもできない。

んで、話しかけないと当然だがいじめられているうちには誰も寄ってこないから一人ぼっちになる。


「華さん、余っちゃったね」


「はい。余っちゃいました」


「誰か、華さんと一緒にやってくれるグループないですか? 5人になってもいいです!」


しーん。

え、つら。

誰もいないんかーい。ま、突然か。


「じゃ、みきこさんのグループお願いできるかな?」


えー!!!

よりによって、いじめっ子みきこのグループかよ。


みきこたちは、ひそひそ何か話している。

うわ、最悪じゃん。まじやだー。

って言ってると思う。


でも、いじめていることを先生たちにはバレたくないのだろう。笑顔で


「わかりましたー! 華さん、よろしくね!」


って、元気に言ってきた。きゃぴきゃぴオーラ全開だ。

そういう人、苦手。


班になり、相談タイムになった。

今回、班で行うのは、フィールドワークとそのまとめだ。

地域教材になるものなら、なんでも良いという。

地域の偉人や観光地を調べて、現地に行き、それをまとめ、発表すればいいのだ。


「華さん。わかってると思うけど、この班に入らせてあげたんだから、フィールドワークからまとめ、全部やってよね?」


「え? 全部?」


「当たり前じゃん。フィールドワークも1人で行ってよね。でも、このこと、先生に言ったらブチギレるからね。殺すよ?」


「わかったよ」


と承諾した。しかし、うちには作戦があった。名付けて


みんなの前で恥をかかせる大作戦!!


大作戦の計画を練り、実行に移すことにした。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る