第5話 活路
アイアンドッグA:「ガア」
ミゼル:「っ」
アッシュ:「危ない」
アイアンドッグA:「ギャン」
ミゼル:「あ、ありがとう」
ミゼル:(アイアンドッグが空中止まったと思ったら近くのアルケミスツリーにたたきつけられた。さっきの弾丸もそうだけど、アッシュ君、いや、テレーゼさんのあの力も人間業と思えない。何か裏がありそうね)
アッシュ:「ミゼルさん」
ミゼル:「う、うん、なに」
アッシュ:「僕たちは今どこに向かってるんですか、またあてもなく森の中を走り回ってるだけですか」
ミゼル:「目的地はあるわ、それでこの状況を打開できるかわからないけど」
アッシュ:「それって」
ミゼル:「今は私の後ろをついてきて。アイアンドッグには私の銃は全く効き目がないみたいだから、アッシュ君のその不思議な力で私を守って」
アッシュ:「っ、わ、わかりました」
アイアンドッグB:「ガウ」
アッシュ:「く」
アイアンドッグB:「ギャウ」
アイアンドッグC、D:「ガオ」「ガフ」
アッシュ:「うおりゃあ」
アイアンドッグC、D:「ギャン」「ギャオ」
ミゼル:(すごい、どんどん襲ってくるアイアンドッグを全くよせつけてない。これなら、思ったより早く目的の場所に)
アイアンドッグE:「ガウ」
アッシュ:「っ、ミゼルさん、危ない」
ミゼル:「え」
アイアンドッグE:「ガー」
ミゼル:「きゃ」
アッシュ:「この……おりゃ」
アイアンドッグE:「ギャフ」
ミゼル:「あ……」
ミゼル:(危なかったぁ、もうちょっとであの極悪な爪で八つ裂きにされる所だった)
ミゼル:「ありがとう、アッシュ君」
アッシュ:「い、いえ、それよりそろそろ目的地に着かないんですか。結構森の深くまで来ましたけど、はあ、はあ」
ミゼル:「近いはずよ、アルケミスツリーばっかりだから確証はないけど、確かここら辺に……あ、あった」
アッシュ:「え、どこですか」
ミゼル:「ここよ」
アッシュ:「…………っ、こ、これは」
ミゼル:「アークシップ、ここまで私を運んできてくれた、長年私と一緒に冒険をしてきた戦友よ」
アッシュ:「すごい、僕、初めて見ました。これが、空を自由に飛んで世界中のあちこちを旅できる夢の船、天空船」
ミゼル:「早く乗って、一刻も早くここから脱出するわよ」
アッシュ:「え、でも……」
ミゼル:「システムは生きてるからここから一番近い町までの道はわかるけど…………」
アッシュ:「オルランドさんたちは、見捨てるの」
ミゼル:「……見捨てるわけじゃないわ」
アッシュ:「じゃあ」
ミゼル:「どうしようもないのよ」
アッシュ:「えっ」
ミゼル:「私たちは人間、できることには限界がある。オルランドさんたちを犠牲にしたいわけじゃない、助けられるなら助けたい。でも、私たちにできることは二人が作ってくれた時間を使って逃げること、それしか、ないの。私たちには」
アッシュ:「そ、そんな」
ミゼル:(オルランドさんたちには申し訳ないけど、私は、こんなところで死ぬつもりはないの。衝突の衝撃でエンジンがだいぶやられちゃってるけど、なんとかアルケミスツリーが届かない上空まで上がることができれば)
ミゼル:「っ、だめ、やっぱりエンジンが動かない。このままじゃあいつらに」
ガシャン
ミゼル:「な、なに」
テレーゼ:「あんたらまだこんなところで油売ってたのかい」
アッシュ:「お、おばさん」
ミゼル:「テレーゼさんどうして……て、ちょ私のかわいいダーリンに何ぶつけたんですか」
テレーゼ:「あん、仮面女」
ミゼル:「仮面女って……えっ」
ムーン・パルティエナ:「き、貴様」
ミゼル:「ちょ、なに危険人物を私のかわいいアークシップに」
テレーゼ:「とっとと逃げろって言ったろなにでかぶつのなかで遊んでるんだい」
ミゼル:「でかぶつじゃない、アークシップ」
アッシュ:「エンジンが動かなくなってるから飛べないんだ」
テレーゼ:「エンジン、んなものがなくても……どっこいしょ」
ミゼル:「うわっ、て、嘘でしょ」
ミゼル:(アークシップを持ち上げちゃった。何トンあると思ってるの)
テレーゼ:「どっちの方向に投げればいいんだい」
ミゼル:「な、投げるって」
アッシュ:「テレーゼさんも一緒に」
テレーゼ:「アッシュ、すまないね。でもあんたは生きるんだよ。」
ムーン・パルティエナ:「貴様、私を無視するな」
テレーゼ:「無視、無視なんてしてないだろ、ほれ」
ムーン・パルティエナ:「な」
ミゼル:「へ、あああああああああああああああああああ」
ミゼル:(この人、人の船を投擲武器みたいに投げやがったああああああ)
アッシュ:「テレーゼさああああああん」
テレーゼ:「今だよ、翼を安定させな」
ミゼル:「ぐ、ぐおおおおおおお…………と、飛んだああああ」
アッシュ:「………………おばさん、おじさん」
ミゼル:(アッシュ君…………)
ミゼル:「とりあえず、この近くにあるダストレイクっていう町に向かうわ」
アッシュ:「………………はい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます