第3話 長かった1日の終わり
おれはブン太を抱えて馬車の中に戻った。
「フレンさん、それでは我が家に行きましょうか」
ゴルドーさんがそう言って馬車が走り出した。
なぜかというとお金の価値を教えてもらってる時に冒険者になるのも登録料が必要なのが分かり、ゴルドーさんがガドリアの街までの道案内だけじゃ、お礼したらないと言われたのでゴルドーさんの家に向かっているのだ。
乗ってから10分位して馬車は一軒の店先の前に止まった。店内には沢山洋服が並んでおり、ゴルドーさんが降りると店の中から人が出てきて、その人と少し話をするとその人は戻っていった。
「フレンさん、此処が我が家です。どうぞお入りください」
そう言われ馬車から降り、馬車の上に乗っていたブン太も飛び降りた。ゴルドーさんに店の奥の部屋におれとブン太が案内され、着替えてくるので少し待つように言われた。ソファーに座り待っていると、先程の人とは違う人が飲み物を持って入ってきた。
「どうぞ、これをお飲み少しお待ち下さい」
「わざわざありがとうございます、申し訳ないのですがこの子に水を頂いてもいいですか?」
ブン太を指して言うと少し戸惑ったが、分かりましたと言い持ってきてくれた。
『われは水かぁ』
「文句言うなよ、普通はネコにやるのもおかしいんだよ、戸惑っていたけど持ってきてくれるんだから黙って飲めよ。おれだってこの飲み物何か分からないけど飲むんだからさ、たぶんお茶っぽいと思うけど」
恐る恐る飲んでみたら、緑茶の味と似てるので安心した所、ブン太の分も来て二人で飲んでいた。しばらくするとゴルドーさんがやってきた。
「どうもお待たせしました。着替えながらお礼を考えてたんですが、とりあえずしばらく滞在する分の生活費として大銀貨10枚、それと見ての通り洋服の商いをしてますので必要な分持っていってください」
と言われ考えた。確かに洋服は有難いな、なにせ仕事に行く服装のままだったからパーカーにジーパンは目立つからね。
問題は生活費だけど、さっき教わったのだと大銀貨1枚が10万円だから日本円で……100万円!!って貰いすぎじゃん。
「洋服は助かりますけど、生活費はで大銀貨10枚って多過ぎですよ。そんなに頂けません」
「いやいや、命を助けて頂いたのだからそれ位は当然です。それにこの街では手広く商売をしていますのでその位差し上げても問題ないので受け取ってください」
だからと言って貰いすぎだろ、どうしようと考えてたら
『そこまで言っておるのだから、貰ってやればいいではないか。しばらく滞在するのだから多い事に越したことはないぞ』
おれとゴルドーさんで話していたらブン太が割って入ってきた。
「何言ってんだよ、ブン太は。確かに武器や宿代とか食費・雑費で必要だけど、こんなにいらないだろ。それにこんな大金、持ち歩いた事ないから不安なんだよ」
「そんな事言わないでください、ブン太様もこう言ってますから、ど・う・か・受け取ってください!」
「……はい」
おれは前のめり状態のゴルドーさんの迫力負けて頷いてしまった。ゴルドーさんはブン太の事を高位の魔物と同類と聞いてからは様付けだもんな。
「それでは食事の準備も出来たみたいなので食べましょうか」
その後、食事をしながらゴルドーさんにこの街の事について沢山教わった。
「フレンさん、助けて頂き本当にありがとうございました。今日は何かとおつかれでしょう、お部屋を用意してのでゆっくりおやすみください」
使用人に案内された部屋にブン太と一緒に入った。
「めっちゃ疲れたぁ」
そう言いながらおれはベッドに倒れこんだ。
『フレンよ、1日でいろんな事が起きて疲れるのも分かるが、今後の予定を決めないといけないぞ』
おれの顔の脇に飛び乗り、座りながら器用に前足で腕組みをした状態でブン太が言ってきた。
「ちょっと休ませてよ、やっと周りを気にせずにゆっくり出来るんだからさ」
『いや、その様子だとフレンは寝落ちするからな、い・ま・だ!』
まったく、親と同じ事言うなよな。それから明日からの事をブン太とよく話し合い、明日はまず冒険者ギルドに登録した後、依頼を受けて武器屋に行く事に決めた。
そしておれは布団で横になった。
ようやく長かった1日が終わりを告げる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます