ハイファンタジー・SF系 机に宇宙
『ネコと和解せよ』
ネコを見つけた。
その生き物はただかわいいというだけで貢がれ、時にはトラック等を破壊したらしい。
「空想上の信仰対象、ギリシャ神話等の神と同義だったものと思われる。」
後世の研究者がそう歴史書を結んでいるのを、タイムトラベラーは吹き出して笑った。
『そりゃ寿命も短いわ』
21世期ではGWという1週間ほどの長期休暇があったらしい。
“現代”では考えられない話だ。
「7日間の休みでデートして寝て旅行して買い物して。21世期人バイタリティありすぎだろ。」
365連休の初日、ぬるいビールを飲みながら31世期生まれの男は恋人と笑った。
『竜遅れ』
転生してたらドラゴンだったけど、二度寝したら世界が滅んでいた。
途中呼び声がしてパラメータ操作をした記憶はある。
それが終わったら猛烈に眠くなってしまった。
泣いて起こそうとしていた女神もいなくなっている。
世界には異形頭ばかり。空から女神を探してみるか。
『特価¥198』
組み立て式の物は面倒で大嫌いだ。
3年前買ったこれも、組み立て式と知っていたら買っていなかった。
こうして必要に迫られなければ、材料のまま捨てていたかもしれない。
「組み立て式相棒ロボ、起動しました。ご用件をどうぞ。」
「早急にここから逃げたい。力を貸して。」
『噂広めちゃダメだよ』
美しく危険な星があると小さなコミュニティで言い伝えられていた。
「美しいって何?」「大きくなること?」「違う」「ブラックホール?」「違う」
「青く瑞々しいのに触れず燃えてしまうんだって」「見に行こう」
それが流れ星が大気圏で燃え尽きる理由です。
『人類滅亡1万年後、神は退屈していた』
「失われた文明があるんや!」
「何が失われたん?」
「知らん!それを調べる!」
地球に緊急着陸した宇宙人はその言動をとち狂ったかと笑われた。
宇宙は広くとも、天啓と予言という概念は失われて久しかった。ちょうど1万年経つくらいに。
『ジーンズを履いた救世主』
宇宙人に世界を滅ぼされそうなので、千年前に封印された破壊神を解放することを命ぜられた。
詳細は伝わっていない。あらゆる古代兵器を起動して操れる、と上層部の一部に伝わっていた。眉唾すぎる。
私はやけくそぎみに解放の呪文を唱えた。
「ヘイ!Siri!」
『ランニングしたい』
自分のクローンが作られていると男は警察から知らされた。闇の組織の実験体として作られたらしい。
悩んだ末、男は自分を引き取る覚悟を決めた。
「ずっと部屋をぐるぐる回ってます。本当に引き取りますか?」
男は泣き崩れた。確かに彼は陸上競技が大好きだった。
『イワシの頭が世界を救うんだ』
失われた万能薬を求めて、タイムトラベラーは過去へと時間跳躍した。
古今東西の怪盗も青ざめる冒険の末、厳密に保管された薬の製造方法を彼は読み上げる。
「これは信じる人間が増えるほど効く薬です。必ずこの事実を知らない人間に製造させてください」
『エンジニアは大切に』
「我々は人知れず人々を助けてきた
救助後は記憶を消して日常に戻していた
それで疑われることとなるとは」
「記憶処置にバックドアつけときました
助けられた記憶を思い出させられます」
「でかした」
…
「まさか人口の3割がトラウマで発狂するとは」
「こんなに働いてたんですね俺たち」
『天地無用』
「ここは天国さ。家だって車だって5ドルで買える。」
「店主は馬鹿だな。地獄じゃ高く売れるものをわざわざ天国で売るなんて。」
『嘘つき作家さん針山に山盛り』
新刊の嘘告知をした作家だけが落ちる地獄があるらしい。
鬼はため息をつく。
「4/1のエイプリルフールだけでなく、365日毎日受刑者が増えるから、激務なんですよ」
『おいしくなってカロリー0!』
長く険しい山道を登って、ついにおれはユートピアにたどり着いた。
地下では味わったことのない美食が無料で味わえる。雨風を凌げる場所や整備された道のおかげで生活に不自由はない。
夢にまで見た食っちゃ寝の生活をしている。
不思議と最近身体が軽い。
『余程のつぶやき報告』
インターネット空間のデータ量が有限なことが判明し、人類が書きこめる文字数の制限ができてから50年。
書きこまなくなったことになれた私は、ついに50年以来に書きこみを行うことにした。
「飯食べた」
大地震後、真っ暗な夜のことだった。
『これだから未来は』
旅行先で手乗り像を買うのが好きだ。
奈良の大仏や自由の女神像を始めとして、集めた像は500体以上。妻は呆れていた。
1000年後、博物館に「この地に実在されたとされる陶芸家の作品群:3021年5月出土」と展示されるとは、誰も知る由もなかった。
『書き仕損じた、◎でいっか』
俺には脳疾患の遺伝子があるらしい。
今までの健康診断で見つからなかった欠陥に、泣き崩れたのは妻だった。
「ここでお別れね」
そう言った娘の頭をなでたのは、彼女の将来を案じたからだ。
遺伝情報がわからない時代に生まれたかったな。
『ヒューマンラン』
ドッグランならぬヒューマンラン法が施行されてから三年経った。
事故防止や治安維持のためにヒューマンランでないと走れない。
「止まれ、走るならヒューランに行け」
「うるせえ!こっちは仕事なんだよ!」
配達屋の俺には面倒極まりない法だった。
『二日ぶり百回目』
俺は生まれた瞬間からクローンを作っている。
作られたクローンは、俺の活動停止と同時に起動する。
ベルトコンベアから流れてきた自分の顔を見るのは何度目だろう。
【記憶の引継ぎ完了】
「俺」のクローンはもう二日しか保たなくなっていた。
『謝られてもむかつく』
未来の私は喧嘩の末、一昨日きやがれと言ったらしい。
「俺がタイムマシンの開発者でよかったな!明後日喧嘩するから、謝っとく。許せよ!」
冷蔵庫の常備菜が食べられていて、容器だけ冷えているのを見つけたのは、未来の彼を見送った後だった。
『ロビンフッドが敗けた国』
留学先の家庭がおかしい、らしい。
朝に利き手を噛んで地面に擦りつけるのもこの国では伝統的な文化なのか。
一週間前に到着したばかりで、違和感が異文化によるものなのか、わからない。
私は故郷の文化で切り落とした右腕の付け根をさすった。
『前世の縁(運命)』
異世界転生者2人が魔王と勇者となった。
魔王「太郎」は勇者に寝返る。
異世界より親友の「駿」がいいと彼は言う。
勇者は困り果てた。今生は魔王退治に費やした。王命も犠牲もある。
「遊びに行こうぜ駿」
異世界俺ツエーは前世の縁を無視できるか?
『平均寿命30歳』
転生システムと異世界を博士ナオが解明した。
理不尽な死は来世ステにボーナス+1、人を助けてボーナス+2。
戦争はボーナスだらけ。来世があるから平気。
人類の異世界侵攻のたび優秀な若者が増えていく。
ナオは死のうとする平凡な友人に縋って泣いた。
『異世界転移もの』
三年前私はこの世界に自らやってきた。今は後悔している。
美しい青い星でも戦争があるなんて。しかも転移直後巻きこまれた。
はぐれた皆は元気だろうか。転生者の隣人やらが助けてくれるから私は元気だ。
私は東京の街並みを見下ろしてピザをかじった。
『インタビューウィズヒーローズ』
この水没国家は昔先進国だった。
今は水没したビル街をロープで移動し、廃ビルに海底の土を撒いて畑にして生きている。
なぜこうなったか、皆「未来視持ちとタイムループ能力者が諦めたからだ」と言う。
私はインタビューすることにした。
『する』
おいkた起きたら、居ろ色が、
「今日は誤字る日だな」
呟いた作業者を通報する。
「種族詐称、クビだ」
人間が連れてかれる。
今時ロボットでないと働くのも難しい。
「私はロボットです」私は注意深かった。
五時は人間だとバレる原因だ。私はへまっはしない。
『世界の終りのクソ映画バカ』
世界が終末の危機を迎え男は喜んだ。
彼はクソ映画好きだ。
クソ映画にありがちな終末を楽しんでいた。
しかし彼は気がついた。
クソ映画には無理やりなハッピーエンドが欠かせないことを。
彼は終末世界を自らクソ映画にすることにした。
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