第4話

「昨日はありがとうございました。また飲みに行きましょう」

翌日彼からきたLINEを見ながら昨夜の事を思い出し沙彩は急に恥ずかしさが込み上げてきた。

「昨日は何だか色々ごめんなさい。また飲みましょう」

昨夜のアルコールがまだ残っているのを感じながらそう返信した。

そして2人はLINEのやり取りの中でお互いの好きな音楽の話や好きな食べ物の話、たわいもない話をたくさんした。好きな音楽も料理が好きなのも何故か不思議と一致していた2人。

再会までにさほど時間は必要なかった。

彩綾は友達と飲みに行く口実で家を飛び出し待ち合わせ場所へと向かった。

ドキドキした気持ちが抑えきれず思わず顔が緩んでしまうのをすれ違う人に必死に隠しながら彼の姿を見つけた。

音羽も同じ気持ちだった。はやる心を押さえて照れ臭そうに彩綾に向かって歩き出した。

でもあの夜と違ったのは周りを気にして歩く2人の姿だった。

私は既婚者だった…。

彩綾はそんな自分の立場を忘れるほどはしゃいでいた。

音羽はそんな彩綾と違い彩綾に気を遣って少し前を歩いた。

音羽に会う前に美容院でトリートメントした髪が5月の夜風にキラキラとなびいた。

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