第3話
あの日は久し振りに会う友人と2人で飲みに行く約束をしていた。
結婚してからの私は主人以外と飲みに出掛ける事はめったになかった。
でもこの日は元気がない友人を励そうと馴染みのお店を予約した。
ハイボールを飲みながら友人と話に夢中になっている時に友人の携帯が鳴った。
「もしもし今、女友達と飲んでるよ。」
そんな会話を電話相手としていた友人の事はその時さほど気にしてなかった。
それから30分位経って背中越しのお店の扉が開いた。
隣に座っていた友人が席を立ちお店に入ってきた男性を私の隣の席に案内した。
突然の合流者に驚きはあったが軽く会釈だけして暫くお店の大将と話す事にした。
「こちら歯医者の奥さんの彩綾ちゃん」
友人が私の紹介をするとその見ず知らずの彼は少しはにかんだ様な笑顔で
「突然合流しちゃってすみません。仲中谷です。」と言ってビールを注文した。
そこからどんな会話をしただろうか今はあまり覚えていないがお互いの事をほんの少し話しただけだろう。
しばらくしてお店を出た私達はもう一件はしごする事にした。
ちょっと近くで用事を思い出した女友達は後で合流すると言って私と中谷さんは2人でお店に向かう事にした。
さほど遠くないイタリアンまでの道を手を繋いで向かった。
それは本当に今まで感じた事がない不思議な感覚だった。私達はまるで吸い寄せられる様に手を繋ぎキスをした。
ずっと前から探していた様な肌が引き寄せられるような繋いだ手のひらが溶け込んでいくような本当にあの夜の感覚は今でも手のひらと唇が鮮明に覚えていて私から離れない。
5月14日
私の人生を大きく変えた忘れる事の出来ない出逢いの日だった。
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