希畔の有力者たちと眼鏡の去来大師 1
両開きの大扉の前に立つと、明良は
(気は重いが、好機かもしれない……)
半刻ほど前――動力大師との
冷たい床に
彼の元に、例の受付員が
『少年! スゴいよ!』
ゆっくりと彼女に目を向けた明良。
どこか面白がっているような彼女の姿を、明良は心なしか遠く感じた。
『「ハ行
『……大師?』
正直なところ、その時の明良にとって、その言葉は、
『ウチの
明良の様子には
「議会」。
呼称はそれぞれ違えど、首長を置き、その下に施策立案や
だが、都市運営の実態は、
人々の旅路の始まりから、日々の営みの補助、
歴史上に衝突もあったことから、首長に魔名教会員が就くことは現在ではほぼないものの、どの町、どの都市においても評議会の場には多かれ少なかれ、魔名教本部から派遣され、その町に駐在する高位の魔名教会員が関わっている。
そして、その発言力は評議会内でも絶大であった。首長の決定でさえも、魔名教の者が首を縦に振らなければ通らないことはままある。
とある大陸を除いて、居坂の町の、村の、人里の、
「
『なかなか姿を見せないし、見かけても遠くだったりするしで希少なお方なんだよね。でも、「議会」……、それも議題は、「大師による智集館襲撃について」だもの! 同じ大師同士のことだから、絶対に姿をお出しになるわ!』
明良はふざけるな、と思った。
大師など……、事後の話し合いなど知るものかと、苦み走った。
そんな話はふいにして帰宅の途につき、通例よりも多くの重しをつけ、「
だがつと、思い直した。
明良は「議会」の間に続く、大扉の
(……この中にいるのは、希畔の「重役」たちだ。この町に顔の広い者だ。
生唾をゴクリと呑み込み、黒髪の少年は重厚な扉を引き開いた。
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