第5話 運命の少女

ロリポップ「お姉ちゃん♪」


 風珠に乗って、この世界で言う上側こと北側に向かう道中。

 この子はあの国に慣れているのか、安心した様子でマリアンナさんに甘えている。


聡「ロリポップちゃん、御機嫌だね♪

 プレシアの国も、きっと優しいお姉さんが多いんだね」


ロリポップ「そうなの♪」


 この子を撫でているマリアンナさんは、柔らかく微笑みながらも少しだけ不安気な瞳をしていたね。 隣の憂いという言葉が有る様に、減法法で大型種の筈のプレシアはスノードロップの彼女には優しいながらもその戦力が怖れられている美麗大型種と言った印象なのかも知れないね。



ツリピフェラ「サニア様は、一見尖った姫君だけれど小型種想いで筋を通す良い子に見えるの」


 僕の様子を伺ってから、そう切り出したツリピフェラちゃん。

 ……あれ? その特徴を持つ女の子って、この世界では珍しい筈だよね。


聡「もしかして、そのサニア様って、この世界では珍しく強気な流し目とかの似合うツインテール……髪を両サイドにまとめている女の子かな?」


マリアンナ「聡様は、サニア様を御存じなのですか!?」


ロリポップ「偶然とは思えないの」


ツリピフェラ「あの時に聡お兄さんと縁を持ったのは、二人だけではなかったのね」



 いつも通り、一人だけ反応が違うけれど。


聡「ツリピフェラちゃんは、本当に1を聴いて8を察する子なんだね。

 モノトーン……ドレスと同じ黒リボンのサニアちゃんも理知的な雰囲気だったし、再会が楽しみだな」


ツリピフェラ「流石に表情を含まない0からは予想できないし、知り合いでも初対面は特別だけれど、そう言う事なの」


ロリポップ「雰囲気だけでも、4割位なら分かるのね」


マリアンナ「セレーネ様を前にしたコーティス様みたいですよね♪」


聡「彼女等の場合は似ているからだと思うけれど、僕があの子に辞書を持ち帰らせた時にこちら側の湖と繋がっていたのは二カ国だけではない事に良く目が行くよね」


ロリポップ「ああ、そう言う事だったの♪」



 ツリピフェラちゃんの御蔭で話が早いのは良い事だけれど、東洋が最強で線が細く黒を基調としたサニアちゃんが珍しいとなると、この世界の小型種に初見で懐かれる事って実はハードだったんじゃないかな?


 CM界隈では男子向けの物には動きが、女子向けの物には言葉が多いと言う事には思い返せば頷ける筈だけれど、中型種が愛情深いこの世界の少女達にはアクション系の様な強気な立回りや水系以外の攻撃魔法を怖がる傾向が有る筈だし、無口な分理解しに行ってあげる必要が有るツリピフェラちゃんにはチョコのOPみたいな上向きな重たさが似合う訳だし。


 もしも女性がこの異世界に転移をする場合は、なるべく明るい色合いのウェーブやポニーテールの髪に白や黄緑辺りの髪留めと言った柔らかな統一感と、弟分の前では子供に囲まれても温和を保てる優し気な雰囲気で近付いた方が良さそうだよね。



ロリポップ「……それにしても、聡お兄ちゃんはサニアちゃんの事が気に成っていたのね」


聡「そうだね。 一時期は僕もあの子の事が一番好きなんじゃないかなとも思ったけれど、年下の男の子を恋人みたいに大切にできるスノードロップのお姉ちゃんを見た時に、あの子に肩入れをして来た僕と似ているなって思ったんだよ」


マリアンナ「私達と同じで、愛情深かったからですね!

 そう言えば、(小声)コーティス様も、子供とか好きなんですよ♪」


 深い角度で腕元に抱き付かれて背中を支えられた僕は、つつましく耳元で囁かれた流れでトロトロにして貰いたくなってしまう。



マリアンナ「本当に女性が好きなんですね♪

 貴男は真面目ですから、行為はこの一件が解決してコーティス様の所に戻ってからになるとは思いますが、(小声)甘えた声で頼って下されば、お姉ちゃんはいくらでも面倒を見て差し上げるんですよ♪」


聡「流石にそれは、ロリポップちゃん配慮が足りないと言うか……僕は、行為についても小型種扱いはしたくないし」


ロリポップ「行為って、なあに?」


 頭上に?とヒヨコが浮かんでいそうなロリポップちゃんと、珍しくもピンク色の瞳を赤くしたツリピフェラちゃんの様子に、僕等はクスクスと笑い合う結果となった。



 ……その11時間後。

 スノードロップの中央からプレシアの国のセイレーン寄りに有る御城まではかなりの距離だったけれど、円形の湖沿いに風珠の速度で進んだのだから夕方までに着けた分も良しとしよう。


 途中に有った対スノードロップの防衛拠点や街の配置を眺めるだけでも、彼女等の国が硬派である事は見て取れる訳だけれど、城壁に囲まれた中核都市に国民の大半を集めている所を見ても市民のための国防を意識した賢帝らしい国造りだよね。

 マリアンナさんを連れている訳だし、ここは小型種の御二方に続く形を取ろうか。


ロリポップ「門番さん、こんにちはなの♪」


プレシア兵「おや、ロリポップ様が陸地側からやって来るとは珍しい。

 それに、その風珠は東洋怪異の物ですよね」


ツリピフェラ「今の東洋は、1000年前とは違うと言う事なの」


プレシア兵「その様ですが、これにはサニア様もさぞ喜ばれる事でしょう。

 それでは、謁見の準備を致しますので私に付いて来て下さい」


聡「宜しくお願いします」



 通い慣れたロリポップちゃんを連れている御蔭で、氷の魔法アクセサリーで速めに飛んでいても周囲の目線は穏やかだ。

 途中、東洋の有力者が同行している様に報告された事についてはもう慣れっこだけれど、何も言わない所に注目すると、どうやらこの国の女性陣は木本プリバドを信頼しているみたいだね。


サニア「え、湖のお兄さん!?」


 案の定、城内で僕等を迎えた姫君の一言目はこれだった。


聡「再会ですが、初めまして。

 僕は志方聡と申しますが、ツリピフェラちゃんから話は聞いておりました」


彼女の母親らしい女性「先日の湖越しの恋文から期待して御待ちしておりましたが、やはり貴男でしたか。

 私はサニアの母親のソフィア=セレイティスと申しますが……成程。

 中々ステキな御方ではないですか♪」


 まるで愛情深いのですねと続けたそうに僕等を見遣った黒ドレスのソフィアさん。

 大型種の国らしく彼女も190cm位有る訳だけれど、やっぱり水系属性の似合う繊細なお姉さんなんだね。



サニア「驚いて言い遅れたけれど、私がサニア=セレイティス。

 見ての通り幼少だけれど、れっきとしたこの国の姫君よ。

 それにしても、どこから言及したものかしら?」


 サニアちゃん的には、どうしてこうなったなラインナップなんだね。

 一番疑っている筈の魔道生産種族の片方と木本に東洋の風珠が、ここに通い詰めている小さい子と一緒に現れた訳だから。


聡「無理もありませんが、今は恋よりも事態の収拾に尽力したい所存であります。

 水系属性のプレシアも難しい局面に居る事とは存じますが、ここは一つ私達に任せてはいただけないでしょうか?」


サニア「……まあ、順当に考えたらそうなるわよね。

 それでも、丁度私も今回の一件の収拾のために小型種の連立国の潔白を証明する事から始めようかと思っていた訳だから、安心してよね」


聡「御理解、感謝致します」



サニア「ところで、湖と向こうは必ずしも1:1の関係で結ばれていないとしても、女性が9割のこの世界の王宮では一夫多妻が主流な訳だから、貴男あなたさえ良ければだけれど……」


 そこまで言ってから真赤になって俯いた、可愛過ぎるサニアちゃん。

 やっぱり、普段は強気だけれどこう言う時には繊細なツインテの妹分って、守ってあげたくなって良いよね。


聡「その事についてですが、私もこの世界の常識や彼女等の恋愛観を考慮して、先日スノードロップの国の姫君と婚約して頂いたのですが、これについては遠隔での指揮をどちらかに取って頂くと言うフォローも視野に入れての判断なので御安心を」


サニア「先を越されたのは悔やまれるけれど、思えば今よりずっと小さい頃から貴男に興味を示していた私にいつも満足するまで手を振ってくれていた貴男が、私の事を考え無しに置いて行く訳が無いものね」


ツリピフェラ「そう言う事だけれど、もっと聡お兄さんの事を信じてあげてなの」


サニア&プレシア兵「えっ! 今何て……」


 ある意味予想できた流れだけれど、予想外の人物のフォローに場は騒然となった。



サニア「どうやら、私達も木本の事を良く分かってはいなかったみたいね。

 この事をサラマや東洋に伝えれば、わざわざ私が動かなくても貴方達の無実は証明される筈よね」


ツリピフェラ「サニア様、ありがとうなの」


サニア「でも……聡お兄さんには、できればもっとお兄さんらしく話して欲しいな」


聡「それじゃあ、サニアちゃん、ありがとう」


サニア「ちゃん付け……嬉しいかも」


 恥ずかしそうに俯きながら、その言葉と共にシックトーンな水色ツインテの片方を指先で丸め始めたサニアちゃん。

 真赤になったその反応に、周囲と混ざってクスクスと微笑み合っていると。



ソフィア「サニア、良かったわね♪

 ところで、今の状況を考えると模擬戦は中止した方が良いと思われますが、その分芸術展を早めては如何でしょう?

 総マナ消費が非常に多くなっていると言うのも、生活に役立てるための技術革新の結果と言う可能性も有る訳ですし、この際各々のマナを検知するのも手でしょう」


サニア「言われてみると、そう言う話ならサラマ辺りの新しいタクティカの駒に大量の温泉マナとかが使われている可能性も無いとは思うけれど有り得るからね。

 それでも、その話題だったら下手に疑いを掛けられたくない中型種の魔道生産種族の特産品とかは逆に違う筈よね」


マリアンナ「御理解、感謝致します」



サニア「……それでいて魔法具の性能的にセイレーンやフェアリーは違うとなると、もう残るは東洋を含むあの二カ国の武装応用か、移住して来たあの種族に隠し事でも有るのかと言った位だけれど、これだけ目途メドが立っていれば特定は早そうね」


ロリポップ「やっぱり、サニアちゃんは頭が良いのね♪」


サニア「まあ、これでも姫君だからねと言うと貴女もよね」


マリアンナ「クスクス……寛容なのですね♪」


 何だか、異世界賢者からの聡明だなと、シェリナさんからの女性的ですねの仲間が同時に飛び交った気もするけれど、どちらもやっている本人に他意は無いよね。

 大型種の国ではこの位包容力の有る女性の方が人気が有るのかも知れないねと言うのも使い処によってはその仲間だけれど。



サニア「それでも……いや。 それなら尚更、この国で一泊して行かない?

 セイレーンはとても良いお姉さんだけれど、常に貴方達の味方とは限らないし」


聡「それもそうですね。

 その性格を考えた時に小蔭ちゃんと東洋の国とが別物である様に、シェリナさんとセイレーンの国にも同じ様な事が言えるのかも知れませんし」


ロリポップ「ロリには良く分かんないけれど、そう言う物なのね」


ソフィア「小型種の連立国は、皆さん揃って仲良しですからね♪」


ツリピフェラ「そう言う事なの」


 あれ? さっき言い方が若干明るかった気がするけれど。

 ああ、それがこの子なりの喜び方なんだね♪



 その晩。 マリアンナさんの提案で前半組と後半組とに分かれて入浴した僕等は、この国であの子のメイドをしているシャンナさんの提案によりサニアちゃんとの2人部屋状態で行為無き初夜を迎える運びとなった。


サニア「本来なら、こう言う時は何か男が喜ぶ事をするべきなのでしょうけれど」


聡「難しい情勢に無い、年頃の恋人ならそうだろうね」


サニア「それだと、コーティスさんもそこまでの事はしていない訳ね。

 そんなに好きなら私の事を待ってくれなくても良いのに、ありがとね」


 ベッドに腰掛けながらも、嬉しそうに俯いて微笑んでくれるサニアちゃん。


聡「僕も、サニアちゃんと小蔭ちゃんの一件以来、ずっと妹みたいな子が欲しかったと言うと恋人扱いが良いと思う筈だけれど、女の子の方が年下の本当に両想いな恋人関係って妹の事を本当に大切にしているお兄さんの立回りと似ていると思うんだよ」



サニア「まあ、スノドとかの恋愛小説には行き過ぎた愛情だったかも知れないみたいな言い回しは良く有るものね。 それにしても、お兄ちゃんは特別だと思うけれど」


 御互いに、嫌ではない沈黙。

 一緒に居るだけで嬉しいと言うのは、こう言うのの事を言うのかも知れないね。


サニア「ねえ、お兄ちゃん。

 私は大人になったらあの国のお姉さん達よりも理想的な女性として貴男を振り向かせてあげるから、一発で惚れない様に女性に強くなっておいてよね」


聡「それじゃあ敢えて女性に弱いままでいて、一発でガン惚れさせて貰おうかな」


 悪戯っぽく微笑むこの子が相手だと、ついつい本音で話してしまう。


サニア「もう……お兄ちゃんのバカ」


聡「バカで結構。

 それでサニアちゃんが喜んでくれるなら」


サニア「完敗よ。

 聡お兄ちゃんがお兄ちゃんで……本当に良かった」



聡「ところで、昨日僕はサニアちゃんと話す夢を見たんだけれど、それだけ出会いを待ち望んでいたと言う事かな?」


サニア「嬉しい! 私もお兄ちゃんの事を考えたら中々寝付けなかったけれど、何となく色付きの夢でお兄ちゃんと手を振り合った気がするわ」


聡「良かった。 それじゃああの子は本当にサニアちゃんだったかも知れないんだ」


サニア「私も。 お兄ちゃんと心が通っているみたいで嬉しい……それじゃあ、今日は仲良く一緒に寝ましょう♪」


聡「そうしよう。 手を繋いで寝たら、また一緒の夢を見られるかも知れないし」


 御互いにベッドに入った途端にきゅっと左腕に抱き付いて来たこの子の可愛さに、僕は髪を撫でて応えてあげた。



 翌朝。 寝相は素直だからか御互いにしっかりとくっつき合っている体勢で起きた僕等は、あの提案をしてくれたシャンナさんに御礼が言いたいと一旦別行動をする事になった。 彼女は姫君のメイド同士と言う事でマリアンナさんと同室らしい。


 サニアちゃんを優先していた昨日までは言わなかったけれど、赤髪ポニーテールのシャンナさんも当然だけれど良く姫君慣れをしたマリアンナさんとは別路線で魅力的な明るいお姉さんなんだ。

 起きてるかな? とノックをすると、予想よりも早くドアは開いた。


マリアンナ「御早う御座います♪

 丁度二人で起こしに行って差し上げようかなと話していた所だったのですよ」


聡「まだ朝食まで1時間は有るのに、シャンナさんも僕と御話がしたかったの?」


シャンナ「それでは、貴男もなんですね♪ 私も、昨日までの間サニア様から聡様の御話を聞く内にまだ見ぬ貴男に憧れに近い感情を抱く様になっていたみたいで、特に昨日はあの子に譲るために寂しい思いをしていたのです」



聡「愛情深い、ステキな人だなと思っていたら、そう言う理由があったのですね。

 僕は元々昨日の提案の御礼をしに来たのですが、そう言う事でしたらシャンナさんもマリアンナさんの様に……僕の恋人になりませんか」


シャンナ「敢えて側室にと言わない辺りが愛情深さの表れですよね♪

 それでは、御互いに昨日は我慢した分も今朝は大人の行為を致しましょうね」


マリアンナ「丁度向こうにジェリーキューブも有りますし、良いですね♪」


 僕がサニアちゃん相手に我慢するであろう事は傍から見ても察しが付くとしても、行動……間違えたかな?


 そこから先はヒールのヒール版が完全ヒールしていた様な大人な行為に匹敵する、女性の都合意識版の濃密な二人掛かりジェリーキューブトロトロをいつもの耳かきASMRの強化版的にされ続けた訳だけれど、あのピンク色のナース服も似合いそうな面倒見の良さも柔和で包容力の有る御姉さんの魅力なのだろうね。



聡「うう、こう言う時にしか見せない表情ばかりしてごめんなさい。

 お姉ちゃんは、普通に大切にし合うだけでも魅力高いのに」


シャンナ「良いんですよ♪ 好きな人と一緒に居ると男はいつかそうなる訳ですし、我慢ばかりさせていたら大切な貴男が可哀想ですからね」


マリアンナ「いつもこうだと困りますが、貴男みたいな真面目な小柄君は、たまにはこうやって思いっきり甘えてくれた方がお姉さんも嬉しいんですよ♪」


聡「シャンナお姉ちゃんも、マリアンナお姉ちゃんも、甘えさせてくれて有難う。

 小柄と言うのは相対的にだし、メイドさんもナースさんも自分の行為にプライドを持ってやっている訳だから可愛いって思い過ぎるのは違うと思うけれど、お姉ちゃん達には本当にそう言う優しいのが似合っているよ」


マリアンナ「そんな風に言うから、優しいお姉ちゃんに挟まれちゃうんですよ」


シャンナ「そうですね♪

 聡様の言葉には、不思議と嫌らしさが有りませんし」


 そうやって、御互いに余韻をたのしんでいると。



サニア「上手くやっているみたいで、シャンナも良かったじゃない」


 え、サニアちゃん!? と驚いて振り向く僕とは裏腹に。


シャンナ「はい! 聡様が愛情深い御方で良かったです♪」


マリアンナ「同感です♪ 聡さんも、甘えたくなったらいつでも言って下さいね!」


聡「いつもそうだと困るって言ったばかりの癖に……」


サニア「あら、女性の都合ばかり考える貴男には、丁度良い薬だと思うけれど」


 サニアちゃん、それだと媚薬だよ。



ロリポップ「わぁいなの!

 今日はソフィアさんとの御食事なの♪」


聡利「ロリポップちゃん、御機嫌だね」


ツリピフェラ「それは聡お兄さんもだけれど、そう言う事なの」


サニア「色々な意味で安心したけれど、何だか複雑ね。

 それにしても、先代2人の影響力を保ちながら姫君が代替わりした上で恋人ができたら御食事は分かれてする筈だけれど、御母様もどう言った風の吹き回しなの?」


聡「今は内政よりも外との和睦と言った話かな」


サニア「あの見た目でセイレーンを目指している彼女らしいわね。

 と言っても、私も少しはその仲間なのだけれど」


 直結の娘な訳だし、きっとメンタル的な意味で言っているよね。



マリアンナ「クスクス……コーティス様が興味を持たれた事にも頷けますね」


シャンナ「本当に、そうですね♪」


聡「同感」


ロリポップ&ツリピフェラ「同感なの♪&同感なの」


 無自覚系じゃなくても、これについては何の事だと言う主人公は多そうだけれど、小さい頃に小蔭ちゃん達と縁を持った僕には何の事だか良く分かる。

 それからは、小柄組に心地良い世話を焼きながら朝食を頂いた訳だけれど、僕等が

いざセイレーンの国を目指そうとした矢先に意外な人物から連絡が入った。



聞き覚えのある声「聡殿、少しだけ良いか」


聡「もしもし、小蔭ちゃんに何か有ったのですか?」


通信越しの蛇姫「そう言う訳では無いのじゃが、本当に小蔭思いなのだな。

 今回連絡を入れたのは別の用で、小型種の連立国に向かってからの日数を考えると早ければセイレーンの国が視野に入る頃合いだと思うが、プレシアの方角から風珠に乗って入る事だけは避けた方が良いと思うぞ」


聡「確かに、この話題で一番抑止力に気を遣うのは彼女等ですからね。

 サニアちゃんと相談してみます」


通信越しの蛇姫「サニアちゃんか……我等の方こそ、余計な心配事が多過ぎたのやも知れないな」


聡「東洋怪異も含めて、この世界の人達は女性的ですからね。

 直接的な衝突が少ない分、そう言う話も有りましょう」


 これについては闇が深いねと言う層も居そうだけれど、音響的にもB♭はメジャー7thの時点から色々有ったが重たい柔和な寒色だからね。


通信越しの蛇姫「それでは、小蔭は元気にしておるから早く戻って来るのじゃぞ」


聡「分かっております。 それでは」



サニア「蛇姫様も、相変わらずね。

 さしずめ、私達の国からセイレーンに向かうのはどうなのよと言った内容かしら」


 正確には視察団用の風珠に備え付けられていた携帯用の魔法具越しでありながらも何となく一例をしてから切った僕に掛けられたのは、いつも通りの一言だった。

 エスパーかよと思った人は、もう少しツリピフェラちゃんに近付きましょう。


聡「内容はそうだけれど、彼女もこの話題で劣勢に立たされるセイレーンの事があの子の恩人である以前に心配なんだよ」


マリアンナ「あの辞書の一件は今や全土の常識ですが、そう言う事ですね」


聡「それじゃあ、シェリナさんに連絡を入れてみるから……サニアちゃん、番号とか有るのなら押してみてよ」


サニア「それじゃあ、セイレーン・時期姫君」


 まさかの音声認識!? とは言え、僕等の居場所を知ったシェリナさんの二言目はそれ以上に予想外の物だった。


通信越しのシェリナ「聡様ですね。

 フェアリーの森林で合流しますから、御話はそちらで致しましょう」

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