第4話 正妻への決意

マリアンナ「まあ♪ ぎゅっておなか抱っこして、すっかり可愛くなりましたね!

 御主人様……耳かき御奉仕、満たされます♪」


コーティス「マリアンナさんも、幸せそうで何よりです♪

 わたくしもこの子を撫でられて嬉しいですが、思えば恋愛体質のスノードロップに出会いの無い姫君の御付きは荷が重かったのですよね」


ロリポップ「そう言うコーティスお姉ちゃんも、今まで独身だったよね」


コーティス「私には強国に挟まれた姫君としての務めが有りますし、結婚するなら各国の情勢を見通せる年下の子が良かったので」


 ああ、やっぱりそうだったんだ。

 これだけ面倒見の良いお姉さんなら、恋愛にも興味は有るよね。

 言い遅れたけれど、今の僕は耳かきASMRみたいな状況に置かれている。

 敢えて違いを挙げるとすれば、日本的な写実のこの異世界の中型種は、身長以上に清楚で胸周りも少女の様に控えめだけれど。



ツリピフェラ(良い子良い子)


コーティス「やはり、木本の女の子も心は私達と同じなのですね。

 ですが、私達は一際愛情深いスノードロップのお姉ちゃんなのですよ♪」


マリアンナ「ああ、嬉しかったのですね♪

 声に出さなくても、お姉ちゃん達は仕草や表情で分かってあげられるのですが……私、やっぱり寂しかったのよね」


 一転して、憂いの有る表情をしたマリアンナさん。

 とっても優しいお姉さんだけれど、愛情深い分悲しみも大きいんだね。


聡「お姉ちゃん、泣かないで」


マリアンナ「心配してくれて嬉しいけれど、私には貴男あなたが居てくれれば大丈夫よ。

 こんなに良い子に甘えて頂けて、女性冥利に尽きます♪」


聡「嬉しそうで、何よりだよ」


 きっと彼女等なら、小蔭ちゃんを前にした僕の様に、女性の意向を尊重しても良い異性に尽くす中でいずれは子作りをして幸せに暮らしたいと言いそうだけれど、それでいてこれ程柔和ともなると、強者への畏敬の念こそ有っても人種意識は少ないこの世界の中で彼女等が他種族に侮られないか心配にもなる。


 そう言う僕も、カオス系には行かない初見豪傑辺りだから多少の事なら耐えられる自信が有るけれど、重責の中でお兄ちゃんが欲しかったのであろうドレスのあの子や白系の似合う従順な清楚だからか少女らしい煌びやかな可愛さや勢いのE音響の対岸に位置するB♭のシェリナさんとどこまで噛み合うのかには不安が残る。



ロリポップ「……お姉ちゃん、凄いの。

 聡お兄ちゃん、すっかり大人しくなっているの」


聡「僕にも色々と思う所が有るからね」


ロリポップ「しゃべったー!?」


 ロリポップちゃん、それはハッピーなアメリカンレストランだよ。


コーティス「考察勢なのですね♪」


ツリピフェラ「お兄ちゃんは、プリバドみたいなお兄さんなの」


 耳かき中だから言わないけれど、そこは木本じゃないかな?

 それだけの親近感を持ってくれているなら良いけれど。



コーティス「確かに、中型種にしたプリバドみたいですよね♪」


 それだとスノードロップが清楚なアイスドラグーンみたいだよ。

 女性的なメンタル強者と言う意味では湖を前にしたシェリナさんも割と似ている訳だけれど、この世界が何となく人を選びそうな理由も、それでいて単独で動ける光側が中型種の民意だからかも知れないね。


 この世界になら実在する水時計や温泉チェスが有っても違和感は無いけれど、人物の心情は嵌まりの音響に対応するの感覚で考えるとB♭音響のマイナームーブと音の性格が似ているD♭は古典東洋の繊細な女性的にも行ける上にライト版の孤独の調に聞こえる位他の調で変わりにくい5♭キーだし。


 現世側で単体でも動ける強い系と言うと古典ではAm、ダークファンタジーだとFmの周辺が主流に見える様に上向きなそれはあまり居ないタイプに見えるし、同行する仲間に恵まれる上にストレートなフレーズと仲良しなGの対岸にそれが居る事に注目すると、なろう界隈ではこの調が一番居なくても遜色がない子として扱われていても頷けるやつだよね。 これみたいな恋愛物の一部には、居ないと困る子だけれど。



コーティス「もっとでていたい所ですが……本題に入りましょうか。

 ツリピフェラさんが事前に動くのは、きっとこれが初めてですよね」


ツリピフェラ「ツリが知る限りでは、これが初めてなの。

 ツリも本当は怖かったけれど、これも聡お兄さんの御蔭なの」


マリアンナ「まあ♪ 良いお兄さんなのですね!」


コーティス「私もこの様な情勢でなければ是非ともめとって頂きたいものですが、その分も私達は何でも協力致しますからね」


聡「コーティスお姉ちゃん、有難う」


 ……ツリピフェラちゃんは、怖かったながらも付いて来てくれたんだ。


ツリピフェラ「それなら、コーティス様なりの方法で聡お兄さんを支えてあげて」


聡「きっと、それが一番だね」


コーティス「木本のこの子をそこまで信頼しておられるなんて、私の事もより一層理解して頂きたくなりました♪

 是非とも、本日を初夜として御主人様になって頂きたいです」


 不安気ながらも、芯の強そうな瞳をして僕に好意を伝えてくれたコーティス様。


聡「マリアンナお姉ちゃん。 立ち上がるから手を休めてね」


マリアンナ「はい♪」



聡「お姉ちゃんみたいな美人に御嫁さんになって貰えるのなら喜んで結婚しますが、女性を大切にしたいのに、すっかり誘惑されて愛情の事しか考えられなくなっちゃうのが怖いの」


マリアンナ「クスクス……怖いのですって♪

 でしたら、お姉ちゃんに甘えて安心すると良いですね!」


聡「うう……マリアンナお姉ちゃん、優しい。

 それなら、お姉ちゃんも一緒に僕と結婚して側室になれば、既婚の姫君のメイドとしての難しい立ち位置に苦労しなくても済むよね。

 勿論、御相手が僕で良ければだけれど」


マリアンナ「まあ♪ こんなに良い子に大切にして頂けて、私は幸せ者ですね!

 このマリアンナ、一生御主人様を御慕いして付いて行きますね♪」


聡「マリアンナお姉ちゃん、大好き」


 きっと僕にも、あの子の様な恋愛体質が備わっているんだろうな。

 恋をした少女の様にどこか赤ちゃん返りをしながらもマリアンナさんにも好意を示した僕は、心からそう思った。



マリアンナ&コーティス「御主人様♪」


 目配せした様に両腕に抱き付いてくれる清純な御二方に幸せを感じていると、予想通りの人物の意外過ぎる発言にその沈黙は破られた。


ロリポップ「ねえ、お兄ちゃん。

 お兄ちゃんは、お兄ちゃんを女性にした様な優しい人がいっぱい居る世界観から、ロリ達の世界を救うために来てくれたんだよね?


 それなら、お兄ちゃんの世界に帰ってスノードロップのお姉ちゃん達よりも女性的な人達と仲良く暮らす道も有ったんじゃないの?」


 この子は純粋だから無理も無いけれど、急所を突いて来たな。

 ある意味当然な疑問だけれど……どう答える?



聡「スノードロップのお姉ちゃんは、僕から見ても近年稀に見る位異性として魅力的だから、この地にとついで皆と仲良く暮らしたいって思ったんだよ」


コーティス「御謙遜を♪」


マリアンナ「それでも、そこが御主人様のステキな所ですよね♪」


ツリピフェラ「何となく、分かったの」


 スノードロップ慣れをしているロリポップちゃんには柔らかい雰囲気で子供に優しいお姉さんの方が何となく合いそうだけれど、音響の嵌まりで考えても闘争心のDmや高揚感のEm、Fm周辺の重厚、特にラシが♭のナチュラルの方のCmとかに嵌まる落差と深みのdim add6系統はこの子には合わなそうだからね。


 もしかしたら、ifストーリーを考察する人達の中にはこれに近い事を提案する層も出て来そうだけれど、丁度シ♭辺りの嵌まる所でシェリナさんが子供と一緒にピアノをする時もラとシが普通なメロディックの方のCm7上のE♭ムーブで

(楽し気に) ミ♭ッソッシー シラッソー

(高音からの下行) ミ♭ッドドララソッ ソラソソファ♪

 と言った動きはしても赤い花やパイナップルの様な動き方はしない筈だからね。

 何にでも嵌まり役って有るでしょう?



 今回は考察編みたいな雰囲気だから難しい立場に有るセイレーンには全面協力して貰えない可能性も有る第六話の前に色々話すけれど、木本プリバドことツリピフェラちゃんも幼少期の僕がそこまでは予想できずに渡した辞書の写本の全解読から僕等の世界の語彙の闇に気付きながらも、この子達の常識からそれは殺伐とした作風の神話で使われる用語や個体差と推察して聞かないでいてくれたのだろうし……これ以上は考えないでおこう。 後で考えずに済んだ分もロリポップちゃんには感謝をしよう。


 この際だからシェリナさんに嵌まりそうなキー選択にも触れておくけれど、例えばフリーの音楽ソフト上でD♯mをF♯mに上げると分かる様に、同じメロディーでも起点の音ごとの性別や色合いもかなり有るからね。


女性的   E♭、B系4種、G♭、F♯m、大人びたE7(7thは大人寄り)

中立    Fの快活、C、G、C♯m、G♯m、葛藤のD♭7、A♭

強さや勢い m15や51の多く、17の殆ど、Fの重厚、快活のD、A


追記 A~Gはラ~ソの事で、Mや省略はライト感、mは色々有ったやダーク系

   Cはドミソの3段という様に、黒鍵を含んで3~4音先の2段飛ばしは仲良し

   古典東洋のD37抜きはD上2461ことEm7の東洋ムーブ寄り


   E♭36他1下行はGmの繊細寄りという様に現代の王道は若干特殊

   Cm37多用はE♭寄りという様にm37型は同じ構成音のライト側の調寄り

   B♭mも低音156は重厚、6♭6♯の所の早くて強いにはD♯m読みの方が合う



コーティス「それでは、話もまとまりましたし、私は皆さんを説得して参りますね」


ロリポップ「説得って?」


聡「本日を初夜とするって言っていたでしょう?

 僕等がこの国に一晩泊めて貰うための提案ですよね」


コーティス「その通りで御座います♪

 本当は私達も付いて行きたい所ですが、陰ながら協力させて頂きます」


聡&ツリピフェラ「宜しくお願いします&宜しくなの」


マリアンナ「それでは、私も……」


コーティス「これからは、マリアンナさんも御主人様を優先して頂いて大丈夫ですからね」


 ……敬語?

 マリアンナさんも、同じ事を思ったみたいだね。


コーティス「私は恋に敏感なスノードロップの姫君ですからね。

 恋人の前では、姫君や側室と言うのは無しにしましょう♪」


マリアンナ「有難う御座います」


 ステキな人だなと見惚みとれる僕に、コーティス様は温かな笑みを返してくれた。



マリアンナ「それでは、もう一度おなか抱っこしましょうね♪

 メイド服越しですが、とても心地良い重さなんです」


聡「マリアンナさん位愛情深いお姉さんには、そう言うのも似合うけれど……僕は、勿論嬉しいけれど、お姉ちゃんの事をもっと女性として大切にしたいかな」


マリアンナ「恥ずかしいお姉ちゃんの事を、ちゃんと分かってくれてありがとうね♪

 私、恋にあこがれていましたから」


聡「そこは僕と一緒なんだね」


 柔らかく撫でてくれるマリアンナさん。

 この人なら、小蔭ちゃんやシェリナさんとも仲良くなってくれる。

 そう確信した瞬間だった。



コーティス「お待たせ致しました。 全く……こんなに可愛い子を相手に、御母様は女性である以前に元姫君なんですから」


 何を話したんだろう? 予想はできるけれど。


マリアンナ「私も、この国に残りましょうか?」


聡「その御話についてですが、姫君としての役割が有るコーティスお姉ちゃんはこの国に残る代わりに、マリアンナお姉ちゃんに同行して貰って姫君の魅力を教えて頂くと言うのはどうでしょうか?


 僕は、こう見えてもこちら側の200吉日以上の間ドレスのあの子に遠距離ながらも肩入れして来た経験が有るので、一緒に動いたからと言ってマリアンナさんを都合の良い女性みたいに扱う様な事はしませんし、離れ離れはお姉ちゃんも寂しいよね」


コーティス「……流石は、私達の御主人様ですね。

 こう言って頂けた事を皆さんに伝えれば、きっと理解も得られるでしょう」


ロリポップ「コーティスお姉ちゃん、良かったね♪」


ツリピフェラ「聡お兄さんは、女性理解のお兄ちゃんなの」


マリアンナ「そう言う事ですね♪」



 こうして、スノードロップの皆さんにも話を通した僕は、セフィリカさんには誰に正妻になって貰いたいか決めた事を伝えておいた。

 立回り上シェリナさんに連絡を取れないのが難点だけれど、難しい立場に有る今のスノードロップには二重の意味で言わぬが花という事も有るだろう。


 こうして、質素な中にも豪奢ごうしゃを感じた夕食後。


コーティス「それでは、そろそろ御風呂に入りましょうか」


聡「結婚したとは言えここはお姉ちゃん達の御城だし、ロリポップちゃん達も先に入って来ておいでよ」


マリアンナ「あらあら。 甲斐性かいしょうが有ると思いましたら、聡様はスノードロップの習わしを知らなかったのですね」


コーティス「無理も有りませんが、それでは私がたっぷり教えて差し上げましょう。

 スノードロップが氷魔法の恋愛大国と言われる所以ゆえんを♪」


 まずい。 良く分からないけれど、何か対処法は……


聡「それじゃあ、ツリピフェラちゃんも付いて来てよ」


 流石に、幼女が居る前では極端な動きはできないだろう。


ロリポップ「あっ、それじゃあロリも付いて行くの!」


コーティス「やっぱり、御主人様も恋愛体質なのですね♪」


 ……判断、間違えたかな?



 こうして僕が迎えた状況は、何て言うか……あれ、これって新ジャンルじゃない?


 黒系を合わせて尖っているキャラに使われ易い銀髪ストレートに愛情の黄緑目白服を組み合わせている時点で割とレアケースなんだけれど、男性の好みが設定基準のCDFカップという名前のFGH辺りなのか、できる年上のお姉さんに作画胸Bの設定通りって金髪ショートカット以外ではあまり居ないから、これは何か別の物に被せようとするよりも恋愛体質が突き抜けている所も含めて新ジャンルのお姉さんと考えた方が良さそうだね。


 一部からはASMRとクラシックを足した様な可愛さと言われると思うけれど、声の方の事務所の都合とかで詳しくは放送できない、御互いの幸せを包み隠さず喜び合うあのスタイルを許容できれば、彼女等は本当に女性的なお姉さんなんだろうな。



コーティス「……翌朝には、たれるのですよね」


 こう言った所も含めてね。

 結婚初夜の翌朝には離れ離れという落差を考えたら当然だけれど、子供が生まれた後の雰囲気を実感したいから大型のベッドに3人+間に小柄な御二方と言った提案も恋愛体質な彼女らしい。


聡「それまでは一緒に居るし、この一件が解決したらきっとここに戻って来るから、心配を掛ける僕の事を許してね」


コーティス「御先に言われてしまいました。

 先程も含めて、本当に似た者同士なのですね」


ツリピフェラ「聡お兄さんは、お姉さんみたいなお兄さんなの」


ロリポップ「あっ、それロリも思っていた事なの♪」



マリアンナ「ロリポップ様も、いい子ですね♪

 勿論、御主人様も♪」


 ロリママ風ASMRとかが似合うお姉さん向けの描写にはなるけれど、一歩身を引いた所から辺りを見渡して控えめに微笑んでいるマリアンナさんに内面的な異性を感じていると、愛情の人が大好きな僕はまたもや甘えたくなってしまう。


聡「マリアンナお姉ちゃん、さっき愛して貰ったばかりなのに、嬉しいよお」


 時に女性が目指すサキュバスと合意恋愛をした男性の様に、優位な立場でリードをしながらも行為面ではすっかりと愛でられてしまっている僕。

 別の界隈には、あら、ペットの子が来ているわよ♪

 と言ったセリフも有るけれど、ペット愛は時に恋人への愛情を超えるからね。


コーティス「素直に甘えられて、良い子ですね!

 それでは、コーティスお姉ちゃんがいっぱい愛情をそそいであげますからね♪

 と言いたい所ですが……そろそろお目目が重たそうですね。

 お姉ちゃんは、そう言う所も分かってあげられるんですよ♪」


聡「うう……お姉ちゃん、有難う」


 僕は、初体験の多い異世界の中で重たくなった瞳を閉じると、彼女等の深過ぎる愛情を受けながら満たされた眠りに就いた。



???「正妻は仕方無いとしても、貴男あなたは私とこの子のどちらを選ぶのかしら?」


 その言葉と共に、ドレスのあの子はうつむいて瞳をらす。

 隣に居るのは、不安気に横を向いて僕の様子を伺っている小蔭ちゃんだね。

 これは……明晰夢めいせきむだろうね。


 いかにも格式の有る雰囲気のあの子ならこう言うのも似合うし、僕も一時は誰よりもこの子の事が好きなのではないかとも思ったけれど、小蔭ちゃんのこんな姿を見せられては、僕は余程の理由が無い限りこの子の味方をしないではいられない。



聡「ねえ、僕にとっては君の事も小蔭ちゃんの事も昔からえんの有った大切な妹分なんだよ。

 だから、この世界の中では、立場や恋愛体質に合わせて正妻こそ決めても、正妻とか側室になった順番を理由に優劣を感じて欲しくはないと言ったら、我儘わがままかな?

 こう言った世界観だし、僕はもっと自由に考えても良いと思うんだよ」


???「そんなの、分かっているわよ。

 でも、私は、私だから……割り切れないのよ」


 ツインテとしては珍しく……いや、ツインテの恋人だからか、ドレスのあの子は弱々しく流し目をする。

 敢えての楽観は男性側だからそう思えるとも捉えられ兼ねないけれど。


聡「大丈夫。 明るいのが苦手でも、プライドが高くても、僕は君の味方だよ。

 勿論、立場の弱い小蔭ちゃんも」


小蔭「お兄ちゃん!」



???「小蔭さんが、貴男に懐いている理由が分かった気がしたわ。

 私は、貴男との遠距離恋愛をする中で1:多ってどうなのよって思った時期も有るけれど、貴男や小蔭さんが相手なら……今の私にはやっぱり難しいけれど、前向きに考えさせて貰うわね」


 ドレスのあの子は、複雑な様子で切り出したものの、最後にはりんとした面持ちで言い切ると、安心した様子でゆっくりと振り返った。


聡「待って! 君が、君自身である証拠を教えて。

 確かに、凄くリアリティの有る夢だけれど、僕のこう言って貰いたいに君を合わせさせているとしたら、僕は……」


 夢の中だからか、器用な言葉が出て来ない。


???「そんな風に思えるのは、お兄ちゃんが優しい人だからね。

 あーあ、この分だと、今日はきっと大変ね」


 暗い水色のツインテールが似合うドレスのあの子は、意味深に別れを告げると逆光の彼方に消えて行った。



聡「……恋愛体質か」


 目覚めた僕の第一声は、これだった。

 流石の僕も、あの言葉に何も感じない程鈍感ではない。

 コーティス様とマリアンナさんは、気品を保ちながらも無防備に寝入っているね。

 僕を撫でながら寝入ったのが、本当に嬉しかったのだろうね。


 ……あれ? 3時間も寝れば大丈夫なあの子が居ないね。

 そう言えば、今のあの子にこそ僕の支えが必要だね。 あの子の心境を考えると、この寝室に近い窓辺から庭園の木々を眺めていると言った所かも知れないし。



聡「やっぱり、ここに居たんだね」


ツリピフェラ「聡お兄さん……お兄さんも元居た世界との板挟みで寂しかったの?」


聡「あんな夢を見た位だから、そうかも知れないね。

 あの二人は、僕が現世に居た時に誰よりも心を通わせて頼ってくれた、妹分みたいな女の子達だから」


ツリピフェラ「ここは死界ではないけれど、そう言う事だったの」


 こう言う時は、この子の鋭さが有難い。


聡「それでも、これからはツリピフェラちゃんも大切な女の子だからね。 こう言う時に分かって貰える分も、僕は君のどんな所を見ても信じて味方でいるからね」


ツリピフェラ「……ありがとうなの」


 無表情ながらも、安堵した様子で身を寄せてくれるツリピフェラちゃん。

 自分は、自分自身だから……本心には嘘をつけないと言うのは、僕も同じなのかも知れないね。



コーティス「もっと一緒に居たい所ですが……私が見送りますから、早くの内に出発した方が良いでしょう」


 翌朝、目を覚ましたコーティス様は、僕との別れに後ろ髪を引かれながらも最大限の配慮をしてくれた。

 スノードロップの皆も理解は示してくれたけれど、思い至る所はある意味であの子と似ている彼女等も一緒なんだね。


聡「そうだね。 コーティスお姉ちゃん、この一件が解決したら絶対にここに戻って来るから、またね!」


コーティス「はい! また御会いできる日を、楽しみにしております♪」


ロリポップ&ツリピフェラ「またねなのー!&またねなの」


マリアンナ「コーティス様、行って参ります♪」


 僕等は風珠の後方部から柔和な姫君に手を振ると、ドレスのあの子が待っていると思われるプレシアの国を目指した。

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