第2話 ぬくもり
12年前の藤崎に告白した日に戻っている?
そんなことがありえるのか?
走馬灯というやつなのだろうか?
走馬灯なんてみたことがないけれども、これはリアルすぎる、、、
おれは、そんなことを考えながら神社のベンチで一人、頭を抱えていた。
考えては携帯を開いて、
また考えては携帯を開いて、
これを数回繰り返すと、おれは考えるのをやめて実家に帰ってみることにした。
この頃、母親と二つ上の姉貴と三人で、築40年は経つ木造2階建て、3DKのアパートの1階に住んでいた。
神社をでて、坂道を30分上っていくと実家のアパートへとつき、玄関のドアノブを回したが鍵がしまっている。
チャイム<インターホン>を鳴らしてもだれも出てこない。
母親は日曜日も仕事にでており、姉貴は高校の吹奏楽部の練習に行っているのか?、
まだ、だれも帰ってきていない。
自分は鍵を持っていなかった、、、
そういえば、家族三人に対して鍵は二つしかなく、玄関を見て右側に裏のベランダへと行く細道があるのだが、その細道にはいってすぐにトイレの小窓がありそこを開けると家の鍵が置いてあることを思い出した。
トイレの小窓を開けると、そこには鍵があった。
おれが高校2年生になったときに祖母が亡くなり、祖父が一人になるからと地元の2階建て古民家を買い、祖父と家族三人で暮らすのたが、
当時、おれはやっとこのボロアパートからでれると喜んでいたが、
玄関をあけて中へ入ると、懐かしい家具や匂いがして少し泣きそうになった。
泣きそうになるのをこらえ奥に入ると、
だれも帰ってきていないはずなのに、そこには家族のぬくもりを感じ、こらえたはずなのに、目から涙がとまらなかった。
泣いてしまった。
涙がとまり、リビングでボーッとしてしると日が暮れ始めていることに気がついた。
そろそろ母さんや姉貴は帰ってくるのだろうか?
そんなことを考えていると、いてもたってもいられなくなり、冷蔵庫をあけ、食材を確認して料理を始めていた。
ピーマンの肉詰め、豚汁、ツナサラダ、冷奴にほかほかの白米とテーブルに並べていると、
〔ガッチャ〕
玄関が開き、
「ただいま~」と言う声。
おれは「おかえり」と言い、玄関の方へと歩いていくと、そこには知ってる顔だけど、少し若くて懐かしい顔の女性が二人いた。
「なんかいい匂いする。」と赤色のメガネに黒髪ショートヘアー、紺色のセーラー服を着崩さずにきている姉貴が言う。
「ほんとね。もしかしてノハルがご飯作ってくれたと?」と黒の女性用のスーツを着て髪は軽く巻いていて赤茶色の母さんが意外そうな目でこちらを見ながら問いかけてくる。
おれはそれに対して「うん。」とだけ答えた。
母さんはおれがこんなことするはないと言わんばかりに意外そうな目で見ていたが、テーブルに並んでいる料理を見て
「ありがとう。めっちゃおいしそう。早く食べよ。」と微笑みながら言った。
「ノハル、なんかあった?なんか怖い。」と姉貴がいい。
「うるせっ。」とおれは小さな声でかえし、家族が帰って来るという当たり前のことがおれには嬉しくて、胸から目にかけてなにかが込み上げてきそうになるのを堪えて、家族で晩御飯を食べた。
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