第35話 別れ
それからの日々は何が起こるわけでもなく修行と勉強の日々が続いた
将来についても特に思い付かない為何も考えていなかった
ある日の朝、師匠が真剣な表情になった
「ルーカスここでの修行は終わりだ」
「え、終わりって、またどこか行くんですか?」
「あぁ、人類大陸に行く」
「え?人類大陸…なんで…」
師匠の言ってる意味が理解出来ない
僕は用済みになったのか?
「お前は人類大陸で騎士高等学園に通うんだ」
「……な…んで…」
頭が上手く回らない
「ぼ、僕が駄目だったんですか!?なんで今更っ!!」
「違う!落ち着け」
師匠は縋りつく僕の両肩を掴んで落ち着かせる
「お前が修行を始めた理由はなんだ?」
「理由……?」
少し落ち着いた僕は問いの答えを考える
僕が修行を始めた理由?
完全に落ち着いた僕の頭にはデブの顔が浮かんでくる
そうだ…僕はあいつに勝ちたい
今なら、今の僕なら…
「すいません…ここの居心地が良くて忘れてました」
「そう言ってくれるのは嬉しいもんだな」
師匠が少し照れてるちょっとキモい
「お前今キモいと思ったろ」
「えっ、いっ、いや〜」
「まぁいい、本来なら人類学園の卒業認定がないと高等学園には入れないだが騎士高等学園はちょっと特別でな、認定がなくとも入れる」
「なるほど…」
「お前の宿敵は特進クラスだったな?なら魔法高等学園に進学するはずだ」
「それじゃあ会うことなんて…」
「いやある!年1回学園交流会と呼ばれる物があって騎士学園と魔法学園で試合をするんだ」
師匠は僕も知らないような事を知っている
なんでこんなに人類大陸に詳しいのだろう
「わかりました!騎士高等学園に通います」
だがそんな疑問はどうでもいい
大事なのはあいつに勝つチャンスがあるって事だけだ
「明日には出発するから準備しとけよ」
明日ってまた急だな
急いで準備をしていたらクレアがやってきた
「え、なにしてんの」
僕が出ていく準備をしているのが分かったのか驚いているクレアに昔の事にはあまり触れず説明をした
「そう…」
反応は薄くクレアは考え込む
「いつ出発するの?」
「明日だって。僕もさっき聞いたのにほんと師匠は急な人だよ」
「分かったわ!じゃあわたしも今日は帰る」
翌日の朝、出発の準備を終え朝ごはんを食べた僕はクレアを待ちながら思い返す
気付くと2年近くここにいた
人類大陸にいた頃よりずっと濃くて、楽しくて素敵な友人も出来た
ここに来てよかった、師匠に出会えてよかった
感慨に耽っているとクレアがやってきた
なんか既に泣きそうになっている
「おはよ」
「うん、おはよう。泣いてる?」
いたずらっぽく笑いながら言う
「我慢しようと思ったけど無理だったわ」
いつもみたいにムッとすると思ったが凄く素直なクレアはとても可愛いかった
「絶対会いに来なさいよ」
「うん、絶対」
「わたし待ってるから」
そう言って僕の腕にリストバンドを付ける
クレアの髪のように赤いリストバンド
どんな意味があるのかわからないけど嬉しい
クレアは涙を流しながら真っ直ぐ僕の顔を見る
僕もクレアを見つめ返す
彼女の顔を見ていたら涙が溢れ出しそうになる
「じゃあ行くね」
泣いた事を悟られないよう告げる
振り向くと行くのを躊躇ってしまいそうだから振り向かない
さぁ戻ろう人類大陸へ
あいつをぶっ飛ばして魔大陸へ戻ってこよう
〈第2章〜完〜〉
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