第33話 デートという言葉の響き
師匠という人間は強引という言葉に服を着せたような人間である
だがその強引さは決して悪いものではない
そう、今の状況のように
僕は今魔大陸にある都市タルルトの街を可愛い女の子と2人で歩いている
あの後2人とも師匠に拉致され服屋の試着室にぶち込まれた、店員さんにされるがまま服を着せられ気付いた時には師匠の姿は消えていた
「せっかくだし街を散策しましょうか」
「そ、そうね、仕方ないわよね」
僕は白のシャツにジーパンという格好になっていた、まともな服なんてほとんど来たことのない僕には変な感覚だった
クレアはピンクのワンピースに白いカーディガンという格好で、赤い髪によく似合っていて素敵だった
「可愛い…」
僕が思わず呟いてしまったのも仕方ない
クレアの顔が少し赤い
「熱でもあるの?大丈夫?」
「だ、大丈夫よ。行くわよ」
大丈夫らしい
クレアは勢いよく僕の手を掴んでズンズンと進んで行った
クレアに手を引かれ色んな所に行った
ゲーセンにアクセサリー店、服屋におもちゃ屋さん買うわけではないけどあれが可愛いとかあれが面白いとか言って見て回る
なんだか修行より疲れた
「ちょっと休憩しませんか?」
「なによ、体力ないわね。仕方ないからあそこで休憩しましょう」
クレアが指さしたのはオシャレな雰囲気の喫茶店、店内はカップルや女の子ばかりだった
「え、ちょ、あそこはやめません?」
「なによ!やなの?」
クレアは少し残念そうな顔で言う
んー仕方ない
「イヤジャナイデス」
「ほんと!?行きましょ」
花が咲くような笑顔で僕の手を引っ張っていく、その笑顔を見れただけでよしとしよう
店内に入ると案の定オシャレな空間が広がっていた男同士で来てる客はいないし、僕みたいな冴えない男もいない
女の子同士でキャッキャッしてたり
カップルがイチャコラしてる
あまりに甘ったるい空気に胸焼けをおこしそうだし居心地が悪い
クレアが頼んだホットケーキがくる
「ここのホットケーキ食べたかったけど一緒にくる人いなくて困ってたのよね」
ウフフとでも言いそうな表情でホットケーキを食べる
は?クソ可愛いやんけ
だが僕も成長している
昔の僕なら惚れていた、だが可愛い顔した女に惚れるとロクなことがない
女なんて好きにならないバリア発動!!
「あなた何歳?」
「今年で12歳です」
「同い年じゃない敬語やめなさいよ」
「いや、これは癖なんで」
「ダメよ!姉弟子命令」
「わかりま…わかった」
「特別にクレアって呼んでいいわ、わたしはルーカスって呼ぶわね」
「クレアさん」
「なに?」
「……」
「なに?」
「…クレア」
なんか強引さまで師匠から学んでないかこいつバリア発動してなかったら完全にやられていたぞ
ホットケーキを食べながらなんでもない話をしていい時間になったので帰宅した
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