第32話 姉弟子
大会が終わると表彰式があった
優勝は金色のカップ
準優勝は銀色のカップ
以下6名は賞状が渡された
だが表彰式にはシュバルツの姿は見えなかった
優勝出来なくて悔しいけど生まれて初めて賞状を貰った僕は凄く嬉しかった
表彰式からの帰りに通路で肩を叩かれる
「やあ」
振り向くとカイトがいた
「な、なに?」
「良かったら僕の師匠の所にこない?」
「なんで僕?他にも強い人はいくらでも…」
「この大会で僕の次に強かったのは君だ。それに素質もある、どうかな?」
「今は決められないよ」
「そっか、気が向いたら教えてよ」
カイトは名刺を渡して去っていった
そこには魔闘術道場門下生 カイトと書いてありその下には番号が書いてあった
翌日は成人の部を観戦した
少年の部とは迫力も規模も技のキレも段違いで僕が勝てるような人は1人もいなかった
師匠とどちらが強いのか聞いてみたがはぐらかされた
あの様子だと師匠の方が強い気がする
というか師匠も出ればよかったのに
凄すぎて学ぶことはあまり無かったが見てるのは興奮したし楽しかった
こうして僕の初めての魔大陸闘技大会は幕を閉じた
翌日は休息日ということで特にやることもないし1日寝ようと思っていた
昼前に師匠に無理矢理起こされる
「もー今日は休みって言ったじゃないですか」
「予定変更だ」
寝ぼけながら起きて小屋から外に出ると赤い髪の少女がいた
これは夢か、もう一度寝よう
「どこいくんだ!待て」
師匠に首根っこを掴まれる
あれ、現実だ
「師匠痛いし、変なのいるんですけど」
「変なのって何よ!あんたの方が変でしょ!」
フンっと顔を背けながら怒る少女
この動き見た事ある
あれ、こいつクレアか?
「なんでこいつが?」
「言ってなかったか?クレアも俺の弟子の1人だ」
「今初めて聞きましたし、他に弟子いる事自体知りませんでしたよ!!」
「ハッハッハ、すまんすまん忘れてたわ」
ほんとこの師匠ポンコツ過ぎる
「で、こいつも弟子だとしてなんでいるんです?」
「そうよ先生!わたしもなんで呼ばれたのか聞きたいわ」
「明日から一緒に修行する」
「「はぁーーーーー!????」」
盛大にハモった
「声揃えてもう仲良しじゃないか」
ニヤニヤしている師匠ウザい
「「仲良くないっ!!」」
「ちょっと!真似しないでよね」
「君のほうこそ僕の真似してるのでは?」
からかわれて恥ずかしくなった僕らはそんなことを言い合いながらフンっと顔を背ける
「もっと仲良くなってもらう為に今日は2人で街に出掛けてもらうぞ」
こうして僕の久々の休息日をゆっくりする計画は師匠の気まぐれによって崩された
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