第30話 VSカイト

「決勝トーナメント第1試合!カイト選手対ルーカス選手ー!!」


司会の声と共に闘技場へあがる


「カイト選手は予選でほとんど攻撃をせずに勝利を納めました、一体どんな戦いを見せてくれるのでしょうか!対するルーカス選手は、なんと今大会唯一の人間の出場者です!その力はどこまで通用するのかー!」


カイトを観察する

年は…どうだろう上っぽい

金髪に整った顔でモテそう

身長は僕よりも高く160くらいありそう

ボロいローブに身を包んでいる為武器や骨格等は分からない


「それではっ!試合開始っ!!」


開始の合図を聞いてすぐさま[身体強化]を発動[魔力弾]を放つと同時にカイトの背後へ走る


カイトは[魔力弾]を避けることなく手で弾く、弾かれた[魔力弾]は加速して僕の方に飛んでくる


「やばっ!」


咄嗟のことに回避が間に合わず[シールド]で防ぐ

なんで素手で[魔力弾]弾いてんのあの人ヤバすぎでしょ

次は肉弾戦でいくか


今度は正面から突っ込む

カイトに接近して勢いそのまま右足で蹴りを放つ、カイトは左手でそれをいなす

防がれることは想定済なのでそのまま横に一回転して左足で蹴りを放つ

今度は右腕でしっかりガードして防がれる


[身体強化]使ってるはずなのに余裕で対応されてる、しかも相手は[身体強化]を使ってる気配がない


両足の[身体強化]を強くする

これは[部分強化]の応用で[身体強化]を発動したまま一部の強化をさらにあげられるようにしたものだ


これで僕のスピードはさっきより速くなる

スピードで翻弄しながら打撃を加えては離れを繰り返す

致命傷は与えられてないがしっかりとした感触はある為ダメージはあるはず


僕の連撃によりカイトの周辺は砂埃が舞っていた

一旦手を止め様子を見る


「ハァ、ハァ、ハァ」


砂埃が消えた後そこには何事もなかったように立つカイトの姿があった

確かに手応えはあったのにどういう事だよ

ローブすら乱れてない


「バケモンかよ…」


「バケモンとは心外だな君も人間にしてはかなりやると思うよ」


カイトが無表情でそう言う

なんというか声までイケメンだった

ちくせう


なんかこのなにやっても勝てない感じ師匠と戦ってる時の感じに似てる

だから出し惜しみはやめる

[身体強化]を一旦解き一息つく


んでもって僕の切り札[身体強化フルバースト]を発動する

修行によりある程度の時間なら発動出来るようにはなった


「訂正しよう君はその年では相当強いみたいだね」


カイトが少し驚いたような表情を見せる


「そりゃどうも!っと」


全力で地面を蹴りカイトに殴りかかる

カイトは両手を前に出して防御するが衝撃を抑えきれず少し後ろに飛ぶ

追撃をかけるため殴りかかる

が、お腹あたりに衝撃を感じ後ろに吹っ飛ぶ

カウンターを合わせられたみたいだ


フルバーストを使ってなお勝てない

だが勝てないと分かっていても諦めたくない

フルバーストを解く

接近戦では勝ち目がない

遠距離攻撃も弾かれる

なら弾く間もないほどの密度で攻撃する

完成した必殺技[魔力指弾]で倒す


両手をカイトの方に向け[魔力指弾]を10本の指全てから放つ

流石のカイトも弾いたりせず横に走って回避する

追いかけるように[魔力指弾]を放つ

辺り一面が砂埃で埋め尽くされた

僕は残った魔力を振り絞り両手を横に広げ回転しながら全方位攻撃をする


「くらえぇー!!!」


限界近くまで魔力を使った僕は砂埃が消えるのを待つ

闘技場内にはカイトの姿がない


「勝っ…た?」


「なかなか楽しかったよ」


上から聞こえる声

あぁ、負けた完敗だ

カイトの攻撃で僕は意識を失った

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