第22話 岩は硬い(真理)

とりあえずやってみるか

魔力を纏うとか言ってたな

お腹の辺りの塊を

広げてー

広げてー

広げてー

イメージしながら岩を殴ってみる


「せいっ!!」


痛い


当たり前だが岩は割れないし普通に痛い

一体何をやらされているんだろう


「何やってんだ?」


「いや、痛いんすけど」


「そりゃ素手で殴ったら痛いに決まってんだろ?バカか?」


いや、師匠にだけはバカって言われたくないんだけども!!


「第2段階とはいったがこれにはステップが存在する、ステップ1魔力を動かしてみよう!だ」


「だからそれが分からんのですよ」


「似た感覚は最初に感じたはずだぞ?」


んー?そんなんあったっけ

あー、魔力門こじ開けた時の師匠の魔力か!

あの時の感覚を思い出して魔力を動かす


「う、うおおぉぉぉぉ!」


ちょびっと動いた?いや、分からん

師匠は?もういないし

これ少しやっただけなのに異様に疲れる


⇒1週間後


「薄々感じてたがお前致命的にセンスがないな」


「分かってましたけど普通直接言います?僕だって傷付くんですけど!!」


未だに魔力を少し動かすことしか出来ていない


⇒1週間後


「や、やっと出来た〜」


「んじゃ、ステップ2魔力を身体中どこまでも高速で動かしてみよう!だ」


「んひぃ〜」


⇒3日後


「こんなもんすかね?」


「おっ、普通よりは遅いけど出来てるじゃねぇか」


「いや、一言余計っ!」


「そんじゃま、ステップ3魔力を纏ってみよう!だ」


「はいっ!」


身体中に塊のまま動かすことは出来た

その応用で全体に押し広げるイメージで…


「はっ!」


魔力が身体中を覆ったと思った瞬間霧散する

思ってた以上に難しい


今度は魔力の量を増やしてみる


「はぁーはっ!」


その瞬間僕の身体が白く光る


チュドーン!


魔力暴走による爆発で僕は死んだ…

これにて僕の短い人生は幕を閉じ…


「る…訳ねぇだろ!!くっそ痛てぇ」


爆発した僕を見ながら遠くで師匠が爆笑していた、絶対許さんぞあいつ


⇒1週間後


あれから続けてはいるけど一向に出来る気がしない


「俺には無理なのか…」


「しゃーねぇな、少し手伝ってやるよ」


そう言った師匠は僕の手を掴む


「ほれやってみろ」


言われるまま魔力を広げてみる


「あれ?」


今回は霧散しなかった

どうなってんだこりゃ


「この感覚を覚えろ」


分厚い服を身体中に着ているような?

なんとも言えない感覚だった


⇒3週間後


気付けば魔力門を解放してから2ヶ月近く経とうとしていた


「で、で、出来たー!!」


「ようやっと出来たみたいだな、最後にあれやっとくか?」


「あれ?」


首を傾げる僕に師匠は真っ二つ割れた岩を指差す

頷いた僕は岩の所へ向かう

集中して魔力を広げて…押し留める

よしっ!これでっ!


「はっ!!」


岩を思いっきり殴る

真っ二つに割れたりはしなかったが少しひびが入っていた


「よくやったな!それが魔力操作の基本の1つ[纏い]だ」


師匠は笑顔で僕の頭を撫でてくれた


生まれて初めて何かをやり遂げた達成感からか自然と涙が流れた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る