第20話 師匠
目が覚めた
空は青く晴れ渡っている
夜起きた時より調子がいい
声も出る気がする
辺りを見回す
昨日の男の人はいない
が、スープがある
湯気がでているし作りたてだろうか?
お腹が鳴る、食べようかな
しかし勝手に食べるというのはどうだろうか?人として駄目な気がする
「おはようさん」
葛藤している僕に挨拶をしてきたのは
昨日白湯をくれた男の人だ
「おはようございます、えっと………」
「名乗ったのに覚えてないのか?悲しいねぇ
俺の名前はライム、坊主は?」
「僕はルーカスです」
返事すると同時にお腹がなる
「ハッハッハ腹がへってんのか食え食え」
ライムさんにもらったスープを飲む
温かい
イジメられていた時や
エリーに裏切られた時でも涙はでなかったのに自然と涙が流れた
ライムさんは僕が泣き止むまで頭を撫でてくれた
落ち着いた僕はこれまでの話をする
ライムさんはなにも言わずに僕の話を聞いた
聴き終わったとき何か考えるよう表情になった
「坊主…いや、ルーカス。俺と一緒に魔大陸へ行くか?」
「へっ?いや、なんでですか?」
「このまま人類大陸にいたらいずれ見つかると思うぜ、その点魔大陸まで行けばその心配はない」
「なるほど…でも魔大陸に行って何を?僕にはやりたい事もなりたいものもないんです」
「強くなりたくないか?」
ライムさんの言葉に鼓動が速くなる
「ピートに勝てますか?僕に見向きもしなかった奴らを見返せますか?」
「勝てるし見返せる」
ライムさんは自信満々の表情で頷く
「強く、強くなりたいです!!」
「じゃあ決まりだ!今日から俺の事は師匠と呼びな、さっそく明日から魔大陸へ向けて出発するぞ」
「はい!師匠!」
明日から長距離を移動することになる為今日は早めに休んで体力を温存することとなった
翌日早朝
まだ日が昇る前の暗い時間帯に動き始める
森を出た僕らは街道を走る
「え?走るんですか」
「当たり前だろこれも修行だ」
「せ、せめて自転車とか」
「あ?諦めて戻るか?」
「が、頑張ります」
僕は師匠を選び間違えたかもしれない
大陸を越えるのに走っていくだなんていったい何キロあると思ってるんだ
「ハァッ…ハァッ…ハァッ…」
昼までぶっ通しで走った
死ぬかと思った
師匠の様子を見るが息切れ1つしていない
化け物か?
「お前なんで身体強化魔法を使わない?」
「いや…ハァッ…僕…は…ハァッ…魔力…少ないんで…ハァッ」
「何言ってんだ、お前の魔力は普通の人間より多いぞ」
「ハァッ……ふぅ…そんなことないですよ…学園でちゃんと魔力計りましたもん」
僕がそう言うと師匠はなにか考え始める
「測ったってあれか指に変なのつけるやつか」
「そうですけど、変なの?他に魔力計なんて無いでしょ」
「なるほど分かった、ちょいとばかしプラン変更だ」
師匠は呆れたような表情でそう言った
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