第18話 僕が歩く道

心が折れた僕は引きこもりとなった


母は僕を心配して何か言っているみたいだが僕の心には響かないし、届かない


学校の先生が来て何か言うが理解出来ない

というかイジメられてる僕を見て見ぬふりしていた奴らが今更何の用があるのだろう


僕の居場所はこの部屋にしかなかった


この真っ暗な部屋でご飯を食べ、寝る

そしてぼーっとする


朝か夜か分からない

気を失うまでぼーっとして

目が覚めたらご飯を食べる


髪は伸びてボサボサになり

体からは異臭がする

だからといって部屋から出る気にはならないしそれらを不快に思う心すらなかった


寒い日々が続いていたのだが

気が付くと3月になり暖かくなっていた

僕は変わらず部屋で生活していた


生きていると呼べるか怪しい僕だが

死にたいと思った事は1度もない

ピートにイジメられて死んだりなんかしたらそれこそあいつが喜びそうだ

復讐する力なんてないし気力もないが

あいつが喜ぶことなんて絶対にしない

それにここまで育ててくれた母に申し訳ない

ただそれだけの想いで僕は生き続けていた


僕が反応しないから母は僕に何か言うのをやめた、その辺から先生が来ることもなくなった

だがある日母が僕の部屋をノックする


「開けなくてもいいから聞いて欲しいの」


母の懇願するような声


「お母さんね再婚することにしたの」


は?今なんて言った?


「ルーカスがそんなになった事に気付かなかったお母さんもね悲しくて落ち込んでいたの、そんなお母さんを支えてくれた人がいてその人と再婚するのよ」


少し嬉しそうな母の声

だが言っている意味がわからない


「ルーカスくん僕は君のお母さんと再婚することになったんだ!本当のお父さんと思ってくれていい僕とお話しないかい?」


男の人の声がする

理解できない

母も結局そうなのか?

僕なんてどうでもいいのか?

気付くと僕は家を飛び出していた


初めて出来た友達

初めて好きになった女の子

…彼女は急にいなくなりいつの間にか彼氏が出来ていた


初めて学校で話かけてくれた人

笑顔を好きになった女の子

…彼女は僕の心を折るために近付いた


いつも支えてくれた母

頑張って働いて育ててくれた母

…知らない間に出会った男と再婚を決めた


僕は誰にも見て貰えない

誰にも愛して貰えない


嗚呼…なんて

なんて地獄なんだろう


僕が歩く道は…まるで地獄だ



〈第1章〜完〜〉

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