第17話 ピート③

あれから下校時はほぼ毎日エリーと一緒だ

初めは僕の緊張を解すため互いに質問をしあうことから始めた

共通点が多く打ち解けるのに時間はかからなかった


エリーといるのは楽しいし、話も弾む

僕がこれまでボッチでいたのはこの時の為では?とさえ思ったほどだ

学校でいくらイジメに遭おうが気にならない

早く放課後にならないか、そればかり考えていた

僕は2度目の恋をした


エリーとの下校が始まって1ヶ月

12月になり季節は完全に冬となっていた

学校では無理かもしれないが休日にもエリーと出かけたいし、遊びたい

あと2週間もすれば冬休みが始まる

その前にエリーに告白をしようと決めた


「明日の昼休憩に体育館裏へ来てちょうだい」


ある日の帰り道エリーが僕に告げた


それを聞いた僕はドキッとした

もしかしてエリーも僕と同じ気持ちなのかもしれない

だとすると女の子に言わせるのはどうなんだろう、いっその事僕から言ってしまおうか


妄想と期待で膨れ上がった僕は結局眠れずに運命の日を迎えた


午前の授業は僕の好きな歴史と世界があったのだが全く耳に入ってこず、普段の倍以上時間が経つのが遅く感じられた


やっと昼休憩がきた!

いても経っても居られなくなった僕は給食を飲み込むように食べ体育館裏へと急ぐ


するとそこにはエリーとピート、取り巻きの男子生徒ABCがいた


「え、エリー?なんでそいつらと?」


訳が分からない僕は声を震わせながら聞く


「わたしがあんたに近付いたのはピートからの依頼だからよ」


エリーから理解の出来ない言葉が発せられ僕はパニックになる


「い、意味がわからない!いつもあんなに楽しそうにっ!!」


僕が叫ぶとエリーは汚いものを見るような目を向けてくる


「エリーの代わりに俺が説明してやろう」


ピートが笑いながら近付いてくる


「お前がなかなか心折れてくれないからよ、とっておきの作戦を決行したのさ」

「イジメで傷付いたお前を誰かに癒してもらい、仲良くなった所で突き落とす」


ピートは誇らしげに説明するが全く理解出来ないし、息が詰まりそうだ


「そう、お前のその顔が見たかったんだ」


ピートは僕の顔を見て心底嬉しそうな表情を浮かべる


「わたしもういいかしら?報酬はちゃんと貰うわよ」


興味なさそうにエリーは去っていく

その姿を見てようやく僕は理解出来た

それと同時に好きになった女の子からの裏切り、さらにそれがピートが仕組んだことだと分かり心が完全に折れた

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