関口 陽(ひなた) (17)

「ぐひゃあッ‼」

「ホギャあっ‼」

 周囲で次々と剣呑ヤバい「異界」への「門」が開き……だが、そこから出て来る魔物や悪霊は悲鳴を上げ浄化される。

 しかし、浄化された「気」へと変貌した魔物や悪霊は……奴に吸収される。

「マズいのか?」

 霊感ゼロのランは相変わらず……。

「とってもマズい」

「とりあえず……やるか……」

「ああ……」

「オン・アニチ・マリシエイ・ソワカ」

「オン・バサクシャ・アランジャ・ソワカ」

 私と笹原ささのはらはヤツに「気弾」を放つ。

 私の「気弾」は炎のかたまりに、笹原ささのはらの「気弾」は太陽の光のように「観」える。

 しかし……。

「何かやったかな?」

 先月末に千代田区Site01で戦った銀色の狼男と同じだ。

 あくまで一時的にだが……ヤツの「気」「霊力」の量は、ウチの最高幹部7人全員の「気」「霊力」を合計したのよりデカくなってる。

 ストロー級のボクサーが一〇〇㎏を軽く超えるアメフト選手を殴り付けたら、どうなるか?

 多分、余程、当り所が良くないと……大したダメージは与えられないだろう。

 今の私達とヤツの差は……それ以上だ。

「はああああッ‼」

「ふざけんじゃねぇ‼」

「何だか知らねえが、おっね」

 「四谷百人組」と「原宿Heads」の奴が1人づつ、ヤツに向って行く。

 両方共、テーブルに飛び乗り、ジャンプを繰り返して……。

 一方で奴は、首根っこを掴んでいた改造人間を床に落し……。

 まず、「原宿Heads」の奴の蹴り。

 続いて、「四谷百人組」の奴の斬撃。

 更に続いて拳銃の発射音。

「昨日の晩に見た『仁王姉弟』のと同じ術か?」

 蹴りも斬撃も……そして、ランが放った拳銃弾も、せいぜい、服と皮1枚だけを破いたのみ。

「ああ……『仁王姉弟』よりも技量うでは下だから燃費は悪いだろうけどさ……」

「その代り燃料は山程有る訳か」

 そして……奴は、ゆっくり私達の方に近付いて来る。

 その足下には……。

「あと……何が起きた?」

 アイツを攻撃した筈の「原宿Heads」と「四谷百人組」の奴が床に倒れ伏していた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る